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カカシ夢(2011.04~2016.09)
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どれ程のスピードが出ているのか想像もつかない。
ただ風が体に吹きつけ、ごうっという音が耳に入ってくるだけ。
ずっと会話も無しに時だけが流れる、それを遮ったのはデイダラだった。
「あー。思い出したぜ」
煩い声に驚いて顔を上げれば、至近距離にあるデイダラの顔が若干引きつっていた。
「お前、ナルトと一緒にいた奴だろ、うん」
「…そーだけど」
「おい。やっぱりお前は思い出さねーのか」
「暁」
「お!分かってんじゃねーか、うん!」
ナナとデイダラが直接やり合ったことはない。
しかし、一度だけ。我愛羅を助けに行った時に顔を合わせた。ような気がする。
曖昧な記憶を辿って、はっきりした事態にナナはふっと笑った。
「は…暁と、カブトが…組んだっての、本当だったんだな」
「ん?その解釈はちっと違うな、うん」
「…?」
今まさに、デイダラはカブトの命令に従ってナナの元に来た。
そうであるのなら、ナナの言葉通りにしかならないはずだ。
きょと、と目を丸くしてデイダラを見上げる。しかし、デイダラは口を閉ざしてしまった。
「何だよ…教えろよ」
「奴に直接聞いてくれ。オイラはまだ消えたくねーからな、うん」
操られている、にしては自我がある。
カブトの言うことを聞かなければならない状況にあるのだとしても、消えるとは一体。
それでなくても体が熱くて仕方ないのに、余計なことを考えて頭が痛くなる。
ナナは上げた顔を下げて、静かに目を閉じた。
「お前さ」
今度はぽつりと囁かれた。
「このまま奴の所へ行って、どうなるか分かってんのか、うん?」
奴、とはカブトのことだろう。
ナナの腰に回されているデイダラの手に、少し力が籠った。
「…あまり、想像したくない」
「奴のお前への好意は、明らかに異常だぜ」
「はは…そうだろうな」
デイダラにカブトが自分のことをどう説明したのか、知りたくもない。
しかし、すぐに知る事になるのだろう。奴の目の前に立てば、嫌でも感じることになる。
「どうせ…玩具ぐらいにしか思っていないんだろうけどな…」
また、この体を良いように扱われるだけだ。
そのくらいなら、まだ耐えられる。どうせ一度体験した身であるから。
ナナは自分にそう言い聞かせて、本来なら敵であるはずのデイダラに身を預けた。
それから、あまり時間はかからなかった。
閉じた視界は暗くなり、じめっとした空気が覆う。
「着いちまったぜ」
その声と同時に、ナナは地面に降ろされた。
薄らと開けた視界に映るのは、申し訳なさそうに眉を下げるデイダラ。その他は暗くて確認出来ない。
「歩けるか?うん?」
「待…っ」
カブトとの距離が縮まっている証拠だ。
体の疼きは確実に強まっていて、もはやまともに動くことなど不可能な状態に陥っている。
「手、貸してくれるか…?」
「ほら」
ぎゅっと握ったその手に体温は無い。
それに何故か寂しさを感じながら、ナナは足を一歩進めた。
こんなにすぐにたどり着けるとは思っていなかった。
覚悟は決めたが、状況に心が追いついていないのだろう、呪縛とは別に汗が頬をつたう。
「ッふ…」
「あ、おい」
急にぞくっと走った感覚。
それは間違いなくカブトが近くにいるという証拠だった。
「よく来たね」
ナナを支えようと伸ばされたデイダラの手がぴくっと震えて、それと同時にナナの体も震える。
ゆっくりと顔を上げれば、既にそこに目的だった男が不気味な笑みを浮かべて立っていた。
「ナナ君」
「あ…っ!」
この声に何度も侵された。それでも尚、また逃れられない支配に縛られる。
「…カブト」
暗い闇の向こうに、ぼんやりと見えるその顔。
カブトを纏う黒い装束は、以前のカブトの印象と異なり、暁のモノとも似て非なる。それは、今デイダラが着ているものと同じものだった。
「デイダラ、君は下がっていいよ」
「下がるってどこにだよ、うん?」
「もうすぐ始まるからね。戦いの準備でもしておくといい」
ぱっとデイダラの手がナナから離れる。
途端に床に膝をついたナナをカブトが見下ろしていた。
「始まるって…戦争か…?」
「まぁそうなんだけど、君とはそんな話ししたくないな」
膝から伝わる床の冷たさ。
暗闇に伏せた目は少しずつ闇に慣れ始めて、その床が真っ直ぐ奥まで続いていることに気付く。
そこに立つカブトの顔もまた、ナナの目で確認出来てしまった。
「…ハッ…すごいことになってんな、あんた」
「すごいだろう?ボクは大蛇丸様の力を完全に手に入れた」
「っ、」
カブトの姿は以前に増して、元あったカブトのものでは無くなっていた。
目元は完全に大蛇丸、肌も人間のものとは思えないヒビが入っている。
「君がここに来た理由は分かっているよ」
「…?」
「その術を解いて欲しいんだろう?」
近付いてきたカブトがナナの首に触れた。撫でるように肌の上で滑り落ちる手が胸の上で止まる。
そこにある呪縛。大蛇丸の力を継いだカブトにしか解けない術。
「はぁ…っ、ぅ…」
「そんなに気持ち良さそうにして」
「し、てない…!」
「相変わらず、可愛いな。君は」
フードの隙間から見えるカブトは恍惚の表情を浮かべて、ナナを見つめている。
腹が立つ。今すぐにでもぶん殴ってやりたい。
ナナはその気持ちを押さえて、カブトの手をぎゅっと握りしめた。
「…頼む」
どんな手段を使ってでも、今はこの呪縛を解いてもらうことが最優先事項なのだ。
熱い頬、疼きを訴える体を堪えて、じっとカブトを見上げる。
「いいよ」
「…え」
それは驚く程にあっさりと受け入れられていた。
思わず目を丸くして言葉を失うナナに対し、カブトは変わらない笑みを張りつけたままでいる。
「そんなに驚くことないだろう?」
「だって、あんた…っ、」
洗脳を解いてくれたとはいえ、その後もカブトがこのナナの体を楽しんでいたのは確かだ。
ナナにとって有難いことだとはいえ、何となく信用出来ない。
カブトはそのナナの心を察してか、浮かべていた笑みを消した。
「それは元々大蛇丸様のかけた術だ。ボクのものじゃない」
「…今じゃ、あんたが大蛇丸、っみ、たいなもんじゃ…」
大蛇丸という名前に体が反応する。
それはやはりカブトの言う通り、大蛇丸の術だからだろう。
とはいえ、目の前にいるカブトは大蛇丸と二で割ったかのような姿。別の人間と考えることの方が不思議に思える。
しかし、ナナの言葉はカブトの何かに触れてしまったらしい。
「…ボクはカブトだよ、ナナ君」
「あっ!?」
急に押された体は、その力に従って後ろに倒れていた。
「いっ…!」
カブトが覆いかぶさる、それだけで体が期待して脈打つ。
そう、初めからなんの条件無し、なんて甘いはずがなかったのだ。
「服、全部脱いで」
「っ、ぁ…」
「出来なきゃ、解いてあげないよ」
嫌なのに、もどかしい。
服を脱いだ後に訪れる状況をどこかで待ち望んでいる。
ナナは震える手を自分の服にかけた。
暗い洞窟、それがカブトのアジトだった。
目的は呪縛を解いてもらうことと、捕まったというヤマトの様子を確認すること。
その方法はいとわない、そう覚悟も決めてきた。
「今更、躊躇う程のことじゃないだろ」
「…っ」
これだって一番想定出来た事態だ。
それでもいざとなると頭が真っ白になって、心が拒否して、体が震えてしまう。
「仕方ないな。手伝ってあげようか?」
「…触んなっ」
伸ばされた手を弾き、ナナは自ら腰に巻かれた額当てを解いた。
額あてがキンッと高い音をたてて落ちる。
「(駄目だ…情報を、聞き出さないと…)」
頭はまだ正常だ。それでも、手が自分の殻を剥いでいく。
仕込んできた盗聴器も服もろとも地面に転がった。
布の擦れる音がナナの欲を刺激して、早く早くと急かしてくる。
「ん…」
「はは、触ってないのにもう感じちゃってるんだ」
「黙れ…誰のせいだと…っ」
「だから解いてあげるって言ってるんだろ。早くしなよ」
カブトはそう言うと、さも興味が無いかのようにナナに背中を向けて座った。
今までなら、服なんて気にせずに触ってきたのに。
カブトの目の先には、何かテーブルゲームの土台のようにも見える枠。そしてその上に置かれた石。
「何…してんだよ、あんた…」
「教えるわけないだろ。君は敵なんだから」
「…そりゃ、そーだ…」
当然のことを返されて、言葉を失った。
いつもに増して真面目な空気だ。今までのカブトの姿の方が嘘だったかのように。
「…んだよ」
こんな、明らかに興味なさげな反応を見せられて、一人服を脱ぐなんて馬鹿げている。
ナナは自分の脱いだ服を拾おうと、腰を曲げて手を伸ばした。
「何してるの。術、解かなくていいのかな」
「っ…、あんた、その気ねーだろ…」
「あるよ。ボクの言うことをちゃんと聞いたらね」
そう言いながらも、カブトは振り返りもしない。
ナナは残るインナーと下着をどうするべきか、手をさまよわせた。
だって、こんな。自分から脱ぐなんて。
(期待してるみたいになるだろーが…)
じっと座ったままのカブトの背中を見る。
この熱くなりきった体に背中を向けて、誘うとでも思っているのだろうか。
「この術が…、どれだけ酷いものか、あんた…っ、分かってないんだよ」
「分かってるよ。そろそろ、限界なんじゃない?」
「…っ、なら…」
「触って欲しい?」
ここに来てぱっと振り返った蛇の目が、ナナの姿を捕らえた。
ぞくっと、足から頭にかけて熱が走る。
「ほら、早く脱ぎなよ」
「…」
「戦争、始まってるんだよ」
「…!」
急に、現実に引き戻されるような感覚に陥った。
戦争は始まっている。ナナがこんなことをしている間にも、皆は戦っているのだ。
そしてこのカブトは敵陣の上に立っている人間。
今ナナに背中を向けているカブトが、戦争の手を考えているのだとしたら、今ナナに出来ることは。
「…か、ぶと…早く、何とかしろよ…っ」
「ん?」
ぱさっと服が落ちる。
全身に鳥肌が立つのを感じながら、ナナ#はカブトの真後ろに立った。
「早く…解けって…」
ぐっとカブトの肩を掴み、熱のこもった目を向ける。
不本意極まりない。そう思う頭はまだ残っているが、体は完全に出来上がっている。
何が本心なのか。かろうじて理性が勝っているが、触られた瞬間に崩れ落ちるだろう。
「可愛いね。足、擦ってるよ」
「ッ…」
「言いなよ、ボクが欲しいって」
「く、そ…」
下唇を軽く噛んで、カブトを見下ろす。
本来なら屈辱的なことなのに、今はカブトが自分を見てくれたことが嬉しい。
「欲しい…」
「へぇ、珍しく素直だね」
カブトがナナを求める。そうすることで、戦争を目論むカブトの行動を邪魔することが出来る。
そう思うことで、ナナの心にもゆとりが生まれたのだ。
この、持て余す熱を、カブトに。
「う、ぁ…っ」
しかし、もぞもぞと足にすり寄ってきたのは、カブトの体の下から湧いてくる蛇だった。
その蛇が足を伝ってナナの体に這う。
まさか、そんな。
身に起こった想定外の事態に、ナナの目が大きく見開かれた。
「ま、待てよ!こん、な、止め…ッ」
「そいつらはボクの分身みたいなものだから、安心していいよ」
「ちが…ぁ、こんなの、求めてなっ、あ」
「でも声、甘くなってきてるよ。相変わらずやらしい体だね」
ざらざらとした蛇の感触が体を這う。更に割れた舌で舐められれば、それだけでナナの膝がかくんと折れた。
「んっ!」
「大丈夫、ちゃんと後で相手してあげるからね」
「嫌だ…っ」
最悪だ。これでは襲われるだけ襲われて何のメリットも無い。
術を解いて欲しい。こうすれば術を解いてくれる。
そんなはず無いのに。こんな男を少しでも信じて、少しでも求めた自分が憎くて仕方ない。
「痛ッ、の、ヤロ…!」
蛇が足に噛みついたのが分かった。
痛みももはや快楽と変わらない。ぞくぞくと鳥肌が立って、ナナはそこに崩れ落ちた。
「も…頼む、から…解いてくれ…」
「思ったよりも早かったな。やっぱり進行してるのか…ボクが近いからかな」
もう策略だとかそんなことを考える余裕さえ失って、ナナの腕は無意識にカブトの服を引いていた。
「カブト…!」
「可愛いから、許してあげる」
「んなこた、ど…でも、いいっ、あ!、舐め、んな…っ」
蛇の舌が張り詰めた体に襲いかかる。
真っ赤になった頬に潤んだ瞳。それを視界に捕らえたカブトは嬉しそうに笑い、そしてナナの肩を強く押した。
力に従って後ろに倒れる。
これで少しは役に立ったかな。そんなことをぼんやりと考えて、ナナはカブトに身を任せた。
カブトの長い舌が体を這う。
何匹かの蛇が足に絡み付いて、縛り上げるように手首に巻き付いた。
「いっ…」
「痛い?でもこのくらいが気持ちいいんでしょ」
「っ…」
何か言い返したかったが、口を開いたら変な声が出てしまいそうで、きゅっと口を噤む。
その閉ざした唇をカブトの指がなぞって、押し込むように指が入り込んだ。
「声、出しなよ」
「っ、」
「ボクを満足させてくれないと、解いてあげないよ」
「ひ、卑怯だ、んなの…っ」
解いてあげない。そう言われたらナナは逆らえない。
何に代えても、今はこの呪縛から解き放たれなければならないのだ。今我慢すれば、ナナとカブトを繋ぐものはなくなるのだから。
「自分から股開いてさ、色っぽく誘ってみなよ」
「で、出来るわけ…!」
「出来ないんだ」
口角を吊り上らせて、カブトが体を起き上らせた。
カブトは、別にナナにそんなことをさせたいわけではない。こうしてプライドを折られていくナナの姿を見たいだけだ。
覚悟を決めて身を任せても、残る理性が否定する。悔しくて、涙が頬をつたった。
「泣いてるの?可愛いね」
「こんなことをしたって…俺は、あんたのモノにはならない…っ」
「知ってるよ。でもこの戦争で木ノ葉がつぶれてくれたら、君の居場所はなくなるね」
「な…!」
「さて、はたけカカシは生き残るかな…?」
後ろを向いたカブトが、こんっと石を動かす。
カカシの命と、自分のプライド。天秤にかけてどちらを優先すべきか、なんて。そんなもの考える必要は無かった。
ナナは蛇が絡み付いて自由の奪われた腕を、カブトの首に回した。
そのまま体重をかけてカブトを押し倒しその体に跨る。
「はぁ…っ、くそ…」
カブトの体を包む装束に手をかけ、震える指でそれを剥ぐ。
ようやく見えたカブトの肌に手を乗せて、態度とは裏腹にしっかりと反応しているモノを握り込んだ。
「はは…そんなに戦争が怖い?はたけカカシが死ぬのが…」
「分かり切ったことを言うな」
「腹が立つよ。こんな状況にあっても、君はボクを見ていない」
「…え、うわっ!?」
ぐっと腕が引っ張られ床に叩きつけられる。
そのまま腰を掴まれると、酷く重い感覚が体を貫いた。
「あァ!あっ!」
「もういいよ。たっぷり犯してあげる」
「痛、い…!やめ、あ…っあ、ッ」
髪の毛をきつく掴まれて、地面に押し付けられる。
無様に腰を上げて、揺さぶられながら、ナナは自分の腕を床に叩き付けた。蛇が小さく声を上げて潰れる。
「あんた、は…っ、なんで、こんなことっ」
「ボクのものになるって言えばいい」
「ひ、…っや、ッあ、いやだ…!」
置くまで入り込む感覚。気持ち悪いと思う心と気持ち良いと感じる体。
どちらも自分で、どちらも自分じゃないようで。
「も、も…ッ、やめ…」
「違う。もっと、でしょ」
「違う、ちがっ、あ…!はぁ、あ、」
ここで抵抗することを止めてカブトに身を許してしまったら、その瞬間にナナの心は砕けてしまうだろう。自分の体などどうでも良くなっていた、あの頃のように。
ナナは細い腰を捻って、カブトの体と密着するのを避けた。
少しでも逃れる意識を持っていないと、自ら求めてしまいそうになる。それほどの感覚が体を突き抜けている。
「そんなにボクが嫌い?」
「き、らいだ…!」
「…なら、もっと嫌いになればいい。ボクのことが憎くてたまらなくなる程に。忘れられなくなるくらいに」
「な…!?」
肩を掴まれ、体の向きが反転する。
目の前に映ったカブトの顔はフードのせいでよく見えないが、乱暴な手つきからして怒っているのだろう。
無理矢理足を持ち上げられて、激しく打ち付けられる。痛みは無い、ただそこにあるのは快感と屈辱だけ。
「っはぁ、くそ、が…!」
「もっとボクを、体に染み込ませてあげる」
「あ、あ…!」
「もっと、ボクのことを」
激しすぎる刺激にナナの視界がぶれる。
意識が遠のくのが分かって、それでも自分ではどうすることも出来なくて。
ナナはカブトの体温を直に感じながら、ゆっくりと目を閉じた。
・・・
隊の隊長として忍を率いているカカシの前には、嘗て戦いそして倒したはずの敵が立ち塞がっていた。
穢土転生、死んだ者を生き返らせて動かせる術。しかも厄介な事に、奴等は意思を持っているのに無理やり動かされているらしい。
これも、穢土転生を使っているカブトの思惑通りなのだろう。
「再不斬…」
第七班、初めての難易度の高い任務で対峙した忍。
敵でありながら仲間を思う気持ちを強く持つ、ナルト達にとって良い教訓になる相手だった。
「オレも、愛しい者を見つけたよ、再不斬」
彼にとって、“白”という少年は何にも代えられない存在だった。
その白は再不斬を守って死んだ。そして再不斬も、白を思い涙を流して息絶えた。
その二人と、こんな形で再び会う事になるとは。
「もう、こんな戦いは終わりにしよう」
カカシの手にチャクラが集まる。
そう、こんな無駄な戦いをしている場合ではないのだ。
ナナがどこに向かったのか、戦争が始まる前に綱手の側近であるシズネから聞かされた。知っておいた方が良いだろうと。
忘れもしない、ナナが以前カブトに襲われた事。
「…っ」
それでも、勝手な行動は出来ない。今は目の前にいる敵を倒して進むしかないのだ。
皆に指示を出しながら、皆を守りながら。
「サイ、お前の根の封印術を使う。オレに続け」
「え…でも、あの術はまだ」
「お前の実力は確かだ。感情を抑える必要はない!」
カカシの眉が自然に吊り上る。ここ数年無かった程に怒りが込み上げていた。
この、死闘を繰り広げ亡くなっていった忍への侮辱である穢土転生。そして何も言わずに離れたナナ。
「千の術をコピーしたコピー忍者のカカシ…!これより通り名通り暴れる!」
マスクに隠れた顔だが、その目元だけで怒りが伝わる。
カカシはその怒りを露わにしたまま、倒しても倒しても次々現れる敵へ向かって進んで行った。