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カカシ夢(2011.04~2016.09)
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中忍試験日、第七班となった四人には微妙な空気が流れていた。その原因は、急遽チームメイトになった青年、ナナにある。
ナナが三人の少年少女と顔を合わせたのは数日前のことだ。
「彼は、新しい第七班のメンバーだよ」
「はぁ!? なんだってばよそれ!?」
事前の説明もなく突然紹介されたナナは、当然のように歓迎されていなかった。
「だってだって、なんだっていきなり……」
「彼は五色ナナっていって木ノ葉に先日来たばかりでね。ま、チームが必要だったのよ」
「第七班じゃなきゃなんねーの?」
「ここが一番いい。そういう判断がされたんだよ」
カカシが適当に説明しているが、それは少し事実と異なる。居場所がなかったところをカカシが引き取っただけだ。
「なんか納得いかねーけど、ナナ、お前ってば強いの?」
くるっと振り返った少年、ナルトと目が合って、ナナは思わず顔をしかめた。
純粋な目。好奇心や不快感がそのまま顔に表れている。
「少なくとも、お前みたいなガキよか強いだろうな」
「なっ!! カカシ先生! こいついけ好かねーオレの嫌いなタイプだ!」
こんな奴と仲良くなんて無理だ! と叫ぶナルトに、極め付きのセリフを吐いたのはナナだ。
「安心しろ、仲良くする気なんてねぇから」
……そんな調子のまま迎えた特別な日。
「な…なぁ」
最初に口を開いたのはナルトだった。
その言葉はナナに向けて放たれたが、その本人はナルトに視線を送っただけ。それに若干イラつくのを抑えてナルトはもう一度話しかけた。
「ナナは、強いんだろ?」
「なんだよ急に」
「だからそんなに、無関心でいられんのか?」
何に、と問いかけそうになって、それが中忍試験のことだと感づいたナナは面倒そうにため息をついた。
「お前なら大丈夫だ、とでも言って欲しいのか?」
「っそういう態度が腹立つってばよ……!」
ナルトとサクラは、この慣れないメンバーと中忍試験への緊張からソワソワしている。一方で、サスケとナナは気にしない様子でそっぽを向いていた。
そもそも、班の人数が有利になる試験において、ナナは今回の受験を認められなかったらしい。まさに他人事である。
「試験なんだろ、受かるか落ちるか以外に何がある」
「落ちたら意味ねぇじゃん!」
ナナの発言に怒ったナルトが殴りかかろうと腕を振り上げる。それと同時にナナの手がナルトとサクラの頭を掴んだ。
びっくりして動きを止めたナルトと目を丸くしたサクラを見て、思わずナナはくすっと笑ってしまった。
「ガキはガキらしく、固いこと考えんなっての。目の前のことにぶつかってけばいいんだよ、ガキは」
「ガキガキ言うな!そんな年変わんねぇくせに!」
ぎゃーぎゃー騒ぎたてるナルトの横で、サクラは安堵していた。
試験への緊張も少しやわらいだのと同時に、この班が案外なんとかなるんじゃないかという安心。
ナナは思っていた通り大人で、思っていたよりも優しい人なのかもしれない。
「おい、ナナ」
「今度はサスケか? なんだよ」
何も言わずに三人の様子を見ていたサスケがようやくナナに声をかけた。
「自信があるようだな」
「……は?」
「負かしてやる」
今までの一連の流れをだいぶ違うようにとったサスケだけはナナに敵対心を向けていた。
・・・
第七班の三人を試験に送り出した後、ナナはカカシに呼び出されて演習場に来ていた。
「今から試験しようか」
カカシは小さな鈴を取り出してナナに見せつける。
「この鈴を、オレから力ずくで奪え」
「それが試験だって?」
「そ、オレ流のね」
面倒そうに目を細めていたナナは、暫くすると腰にかける刀に手を置いた。それを見て、カカシも鈴を腰につけると真剣な表情に変わる。
「さっさと終わらせる」
「オレを甘く見ない方がいいと思うけどね」
チリンッと音が鳴るのを合図に、ナナは鞘から刀を抜いた。
炎を纏った刀に呼応するかのようにナナの瞳は赤く光り出す。五色の性質変化は瞳と刀の色に現れる。五色の有名な特徴の一つだ。
一瞬見惚れかけながらもナナの一振りを避けたカカシは、続く青い光に目を見張った。
刀を突き刺した地面から水があふれ出ている。
「なるほど、炎に水。性質変化を使いこなすっていうのは本当なんだな」
「炎に水、だけじゃないぜ」
ナナの言葉にハッとした時には遅く、カカシの足が氷つき始めていた。
「なるほど」
それに気付いたのと同時に、ナナが刀をカカシに向かって投げつけた。動きが鈍くなっているとでも思ったのか。
カカシは冷静にそれを避けた、つもりだった。
目の前にナナが突然現れる。その手にはもう鈴が握られている。
「刀が、ナナになった……!?」
カカシは見た通りのことを言ったが、ナナはバカにしたようにカカシを笑った。
「この刀のことは知られてないんだな。安心した」
「その刀には何かあるのか」
五色の刀は色が変わるだけではない。持ち主の五色の人間と繋がった状態であり、そのものだ。
「わかりやすく言えば、空間忍術、っていうのか」
刀の位置に瞬間的に移動出来る。戦闘向きでない以上、この能力を使う五色は滅多にいないので、知られていなかったのだろう。
「悪いけど、俺の勝ちだな」
「不意を突かれたとはいえ、こんなに早く取られるとは思ってなかったよ」
苦笑いするカカシを見て、ナナは満足げに笑みを作って鞘に刀をしまった。
「ナナは綺麗だね」
「な、なんだよ」
「元もそうだけど、戦っている姿が綺麗な忍はなかなかいないよ」
悪い気はしないが、むず痒い感覚にナナはカカシを睨んだ。
「変なこと言うな、気持ち悪い」
「はいはい、ごめんね」
そうして二人が和やかな時を過ごしている頃、ナルトたちは命がけの試験を行っていた。
そんなことを知るはずもないナナは、一人何も知らされることなく皆が到着するまでの数日間、暇な時間を過ごすのだった。
・・・
一次試験は筆記、二次試験はサバイバル形式の演習。
それを終えて帰ってきたナルトとサスケとサクラは体に無数の傷を作りながらも、続く第三の試験に参加していた。
一対一で行う対戦形式の試験。ここでようやく観覧が可能になり、ナナは彼らの戦いを見守るところだった。
第一試合に出場したサスケの様子は、途中から明らかにおかしくなった。
ケガをしたのか手で押さえていた首元から不気味な痣が広がり、苦しそうにするのをナナは自分の目で確かに確認している。
試合終了と同時にカカシがサスケを連れ出したのが何よりの証拠だ。
妙な胸騒ぎに、ナナは彼らの後を追いかけていた。
薄暗くて不気味な場所。その真ん中にカカシと、倒れたサスケの姿があった。
「あれ、ナナ!? どうしてここに」
「サスケ、どうしたんだ? 普通じゃなかったように見えたけど」
「ちょっとした術をかけられてたんだけど、もう大丈夫。何、心配してきてくれたのか」
「別に……」
ナナがチームメイトを心配してくれたということに嬉しくなるカカシだったが、歩み寄ろうとした足をピタと止めた。
カカシは珍しく大きく目を開き、ナナの後ろに視線をおくっている。
カカシの様子を不思議に思い振り返ろうとしたナナもまた、動けなかった。
「強くなったのね、カカシ」
「……アンタは、大蛇丸」
そこに現れた大蛇丸は、人質をとるかのようにナナの首に触れた。
「嬉しいわ。この場にサスケくんとナナくんの二人を連れてきてくれるなんてね」
どくんどくんと心臓がうるさい。ナナには大蛇丸の顔を見ることも叶わなかった。
次元が違う。口を開いたら、目を見たら一瞬で殺されるのではないかという錯覚に陥る。
「何故、サスケを付け狙う」
「欲しいのよ……彼の目が。ついでにナナくんも手に入ったらいいのだけど……」
大蛇丸の蛇のような長い舌がナナの頬に張り付いた。気持ちが悪い。心臓がうるさい。
「俺に、触るな……」
「あら、案外強いのねぇ……精神面はもっと脆いと思っていたわ。思っていた通り、可愛いわねぇ」
「そいつに触るな!」
カカシは戦闘態勢をとると、得意とする忍術、雷切を発動した。
その光景はナナにとって衝撃的だった。稲妻のように具現化されたチャクラ。あれで攻撃されたら一溜りもないだろう。
しかし、それを見ても大蛇丸の態度は何も変わらないどころか、カカシに向けて殺気を発した。
「あなたに私は殺せない」
カカシは何も言い返せなかった。立ち去る大蛇丸の姿を、見ていることしか出来なかった。
大蛇丸がいなくなると、ナナはその場に崩れていた。
直に大蛇丸の殺気を受けたのだ。カカシでも耐えられないそれに、ナナが正気でいられるはずがなかった。
「っナナ! 大丈夫か!」
「ッはぁ、なんだよ、あれ……聞いてない、あんなのがいるなんて……」
荒い呼吸をなんとか戻そうとするナナをカカシは強く抱き寄せた。
「っ、なぁ、アイツ……俺を知ってた、……なんだ欲しいって、サスケは一体……」
「落ち着け、ナナ。もう、大丈夫だから」
そのまま、しばらく二人はそのまま動くことが出来なかった。
・・・
「あー! ナナ、今までどこに行ってたんだってばよ!」
あの後、カカシの腕の中で気を失ったらしく、ナナは別室で目を覚ました。
横でサスケが眠っているのを見て先ほどの嫌な感覚を思い出したが、そのまま試験会場へと戻り、騒々しい歓迎を受けている。
「あまり、大きな声を出すな。頭が痛い」
「もう試験終わっちまったぞ」
「……そうなのか。悪かった、見てやれなくて」
ぼそ、とつぶやいたナナの言葉にナルトとサクラは驚いて目を見合わせた。
「いえ、その。カカシ先生に聞きました。何か、大変だったんですよね」
「……まぁ」
「仕方ないですよ、ねナルト」
「ちぇ……オレたちあんな頑張ったのにぃ…」
ナルトとサスケは試験を通過し、一か月後に行われる最後の試験に向けて準備を行うことになる。
自分も強くならなければ、簡単に捻りつぶされる。ナナの頭の中には、大蛇丸への恐怖が色濃く残っていた。
2022/05/04
ナナが三人の少年少女と顔を合わせたのは数日前のことだ。
「彼は、新しい第七班のメンバーだよ」
「はぁ!? なんだってばよそれ!?」
事前の説明もなく突然紹介されたナナは、当然のように歓迎されていなかった。
「だってだって、なんだっていきなり……」
「彼は五色ナナっていって木ノ葉に先日来たばかりでね。ま、チームが必要だったのよ」
「第七班じゃなきゃなんねーの?」
「ここが一番いい。そういう判断がされたんだよ」
カカシが適当に説明しているが、それは少し事実と異なる。居場所がなかったところをカカシが引き取っただけだ。
「なんか納得いかねーけど、ナナ、お前ってば強いの?」
くるっと振り返った少年、ナルトと目が合って、ナナは思わず顔をしかめた。
純粋な目。好奇心や不快感がそのまま顔に表れている。
「少なくとも、お前みたいなガキよか強いだろうな」
「なっ!! カカシ先生! こいついけ好かねーオレの嫌いなタイプだ!」
こんな奴と仲良くなんて無理だ! と叫ぶナルトに、極め付きのセリフを吐いたのはナナだ。
「安心しろ、仲良くする気なんてねぇから」
……そんな調子のまま迎えた特別な日。
「な…なぁ」
最初に口を開いたのはナルトだった。
その言葉はナナに向けて放たれたが、その本人はナルトに視線を送っただけ。それに若干イラつくのを抑えてナルトはもう一度話しかけた。
「ナナは、強いんだろ?」
「なんだよ急に」
「だからそんなに、無関心でいられんのか?」
何に、と問いかけそうになって、それが中忍試験のことだと感づいたナナは面倒そうにため息をついた。
「お前なら大丈夫だ、とでも言って欲しいのか?」
「っそういう態度が腹立つってばよ……!」
ナルトとサクラは、この慣れないメンバーと中忍試験への緊張からソワソワしている。一方で、サスケとナナは気にしない様子でそっぽを向いていた。
そもそも、班の人数が有利になる試験において、ナナは今回の受験を認められなかったらしい。まさに他人事である。
「試験なんだろ、受かるか落ちるか以外に何がある」
「落ちたら意味ねぇじゃん!」
ナナの発言に怒ったナルトが殴りかかろうと腕を振り上げる。それと同時にナナの手がナルトとサクラの頭を掴んだ。
びっくりして動きを止めたナルトと目を丸くしたサクラを見て、思わずナナはくすっと笑ってしまった。
「ガキはガキらしく、固いこと考えんなっての。目の前のことにぶつかってけばいいんだよ、ガキは」
「ガキガキ言うな!そんな年変わんねぇくせに!」
ぎゃーぎゃー騒ぎたてるナルトの横で、サクラは安堵していた。
試験への緊張も少しやわらいだのと同時に、この班が案外なんとかなるんじゃないかという安心。
ナナは思っていた通り大人で、思っていたよりも優しい人なのかもしれない。
「おい、ナナ」
「今度はサスケか? なんだよ」
何も言わずに三人の様子を見ていたサスケがようやくナナに声をかけた。
「自信があるようだな」
「……は?」
「負かしてやる」
今までの一連の流れをだいぶ違うようにとったサスケだけはナナに敵対心を向けていた。
・・・
第七班の三人を試験に送り出した後、ナナはカカシに呼び出されて演習場に来ていた。
「今から試験しようか」
カカシは小さな鈴を取り出してナナに見せつける。
「この鈴を、オレから力ずくで奪え」
「それが試験だって?」
「そ、オレ流のね」
面倒そうに目を細めていたナナは、暫くすると腰にかける刀に手を置いた。それを見て、カカシも鈴を腰につけると真剣な表情に変わる。
「さっさと終わらせる」
「オレを甘く見ない方がいいと思うけどね」
チリンッと音が鳴るのを合図に、ナナは鞘から刀を抜いた。
炎を纏った刀に呼応するかのようにナナの瞳は赤く光り出す。五色の性質変化は瞳と刀の色に現れる。五色の有名な特徴の一つだ。
一瞬見惚れかけながらもナナの一振りを避けたカカシは、続く青い光に目を見張った。
刀を突き刺した地面から水があふれ出ている。
「なるほど、炎に水。性質変化を使いこなすっていうのは本当なんだな」
「炎に水、だけじゃないぜ」
ナナの言葉にハッとした時には遅く、カカシの足が氷つき始めていた。
「なるほど」
それに気付いたのと同時に、ナナが刀をカカシに向かって投げつけた。動きが鈍くなっているとでも思ったのか。
カカシは冷静にそれを避けた、つもりだった。
目の前にナナが突然現れる。その手にはもう鈴が握られている。
「刀が、ナナになった……!?」
カカシは見た通りのことを言ったが、ナナはバカにしたようにカカシを笑った。
「この刀のことは知られてないんだな。安心した」
「その刀には何かあるのか」
五色の刀は色が変わるだけではない。持ち主の五色の人間と繋がった状態であり、そのものだ。
「わかりやすく言えば、空間忍術、っていうのか」
刀の位置に瞬間的に移動出来る。戦闘向きでない以上、この能力を使う五色は滅多にいないので、知られていなかったのだろう。
「悪いけど、俺の勝ちだな」
「不意を突かれたとはいえ、こんなに早く取られるとは思ってなかったよ」
苦笑いするカカシを見て、ナナは満足げに笑みを作って鞘に刀をしまった。
「ナナは綺麗だね」
「な、なんだよ」
「元もそうだけど、戦っている姿が綺麗な忍はなかなかいないよ」
悪い気はしないが、むず痒い感覚にナナはカカシを睨んだ。
「変なこと言うな、気持ち悪い」
「はいはい、ごめんね」
そうして二人が和やかな時を過ごしている頃、ナルトたちは命がけの試験を行っていた。
そんなことを知るはずもないナナは、一人何も知らされることなく皆が到着するまでの数日間、暇な時間を過ごすのだった。
・・・
一次試験は筆記、二次試験はサバイバル形式の演習。
それを終えて帰ってきたナルトとサスケとサクラは体に無数の傷を作りながらも、続く第三の試験に参加していた。
一対一で行う対戦形式の試験。ここでようやく観覧が可能になり、ナナは彼らの戦いを見守るところだった。
第一試合に出場したサスケの様子は、途中から明らかにおかしくなった。
ケガをしたのか手で押さえていた首元から不気味な痣が広がり、苦しそうにするのをナナは自分の目で確かに確認している。
試合終了と同時にカカシがサスケを連れ出したのが何よりの証拠だ。
妙な胸騒ぎに、ナナは彼らの後を追いかけていた。
薄暗くて不気味な場所。その真ん中にカカシと、倒れたサスケの姿があった。
「あれ、ナナ!? どうしてここに」
「サスケ、どうしたんだ? 普通じゃなかったように見えたけど」
「ちょっとした術をかけられてたんだけど、もう大丈夫。何、心配してきてくれたのか」
「別に……」
ナナがチームメイトを心配してくれたということに嬉しくなるカカシだったが、歩み寄ろうとした足をピタと止めた。
カカシは珍しく大きく目を開き、ナナの後ろに視線をおくっている。
カカシの様子を不思議に思い振り返ろうとしたナナもまた、動けなかった。
「強くなったのね、カカシ」
「……アンタは、大蛇丸」
そこに現れた大蛇丸は、人質をとるかのようにナナの首に触れた。
「嬉しいわ。この場にサスケくんとナナくんの二人を連れてきてくれるなんてね」
どくんどくんと心臓がうるさい。ナナには大蛇丸の顔を見ることも叶わなかった。
次元が違う。口を開いたら、目を見たら一瞬で殺されるのではないかという錯覚に陥る。
「何故、サスケを付け狙う」
「欲しいのよ……彼の目が。ついでにナナくんも手に入ったらいいのだけど……」
大蛇丸の蛇のような長い舌がナナの頬に張り付いた。気持ちが悪い。心臓がうるさい。
「俺に、触るな……」
「あら、案外強いのねぇ……精神面はもっと脆いと思っていたわ。思っていた通り、可愛いわねぇ」
「そいつに触るな!」
カカシは戦闘態勢をとると、得意とする忍術、雷切を発動した。
その光景はナナにとって衝撃的だった。稲妻のように具現化されたチャクラ。あれで攻撃されたら一溜りもないだろう。
しかし、それを見ても大蛇丸の態度は何も変わらないどころか、カカシに向けて殺気を発した。
「あなたに私は殺せない」
カカシは何も言い返せなかった。立ち去る大蛇丸の姿を、見ていることしか出来なかった。
大蛇丸がいなくなると、ナナはその場に崩れていた。
直に大蛇丸の殺気を受けたのだ。カカシでも耐えられないそれに、ナナが正気でいられるはずがなかった。
「っナナ! 大丈夫か!」
「ッはぁ、なんだよ、あれ……聞いてない、あんなのがいるなんて……」
荒い呼吸をなんとか戻そうとするナナをカカシは強く抱き寄せた。
「っ、なぁ、アイツ……俺を知ってた、……なんだ欲しいって、サスケは一体……」
「落ち着け、ナナ。もう、大丈夫だから」
そのまま、しばらく二人はそのまま動くことが出来なかった。
・・・
「あー! ナナ、今までどこに行ってたんだってばよ!」
あの後、カカシの腕の中で気を失ったらしく、ナナは別室で目を覚ました。
横でサスケが眠っているのを見て先ほどの嫌な感覚を思い出したが、そのまま試験会場へと戻り、騒々しい歓迎を受けている。
「あまり、大きな声を出すな。頭が痛い」
「もう試験終わっちまったぞ」
「……そうなのか。悪かった、見てやれなくて」
ぼそ、とつぶやいたナナの言葉にナルトとサクラは驚いて目を見合わせた。
「いえ、その。カカシ先生に聞きました。何か、大変だったんですよね」
「……まぁ」
「仕方ないですよ、ねナルト」
「ちぇ……オレたちあんな頑張ったのにぃ…」
ナルトとサスケは試験を通過し、一か月後に行われる最後の試験に向けて準備を行うことになる。
自分も強くならなければ、簡単に捻りつぶされる。ナナの頭の中には、大蛇丸への恐怖が色濃く残っていた。
2022/05/04