黒バス(2012.10~2017.12)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部活帰り、黒子の「今日はどうしますか」という問いに対して、真司は迷わず答えた。
いつかは行きたいと思っていた場所。
もし土曜日に声をかけられたなら言おうと思っていた真司にとって、待ちに待った誘いだった。
「ぼ、ボクの家…ですか」
「うんうん!駄目?」
「いえ、駄目ではないですが…」
黒子の視線が真司から外れて宙を彷徨う。
なるほど、家に招いて良いか判断する為の様々な問題が浮かんでいるのだろう。
例えば、部屋汚いかも…とか、家族が煩いんだよな…とか。
「あれ、テツ君って一人っ子だっけ、だよね」
「はい。あ、いえ、別に家族を気にしたわけでは無いです。ただ…」
「ん?」
「君が…ボクの部屋に来ることといいますか…その、ボク自身の問題というか」
覗き込んだ黒子の頬が赤らんでいる。
それにつられて咄嗟に身を引いた真司の顔も熱くなりそうで、照れ隠しに黒子の背中をペチンと叩いた。
「いた…っ」
「変な事言わないでよ!べ、つに俺そういう事考えてないから!」
「わ、分かってます。いいですよ。ついて来て下さい」
勿論多少のことはアリかなとか考えるけれど、土曜日の夕方なんて間違いなく家族は勢ぞろいだろうし。
真司は黒子のせいで考えてしまった雑念を消し去る為に、ぺしぺしと今度は自分の頬を叩いた。
・・・
黒子のお母さんに挨拶をして、珍しく猫を被りまくってぺこぺこ頭を下げて。
黒子の部屋でだらりと脱力した頃には、もう外は真っ暗になっていた。
開けっ放しになっている黒子の部屋のカーテンを閉めて、青い色の毛布が掛けられたベッドに腰掛ける。
意味も無くぽふぽふとベッドを片手で触り、にやっと緩む頬をそのまま真司は一人ふふっと笑った。
黒子はお菓子やら飲み物やら気を遣って持ってきてくれるらしい。
部屋主がいない今がチャンスだと何か探したいものだけれど、無駄な程あるのは本くらいで、物の少ない黒子の部屋にこれといって面白いものは見られなそうだ。
「とはいっても、ちょっといろいろ見ちゃおうかな」
すっとベッドから腰を上げて、たくさんの本が並ぶ本棚の前に立つ。
今時の少年らしい、コミックだとか絵柄の凝ったものは一切見られない。
真司は数冊本棚から取り出し、ぺらぺらと捲って戻すという行動を暫く続けてから「ううん」と唸った。
「面白みないなあ…。っと、このデカいのなんだろ」
本棚の一番端。そこに他の本とは違う厚みのものを見つけ、くいと手を引っ掻けた。
「お待たせしました」
「あ、テツ君」
「今日は泊まっていって良いそうで…って、何してるんですか」
片手にペットボトルとコップの乗ったお盆を持っている黒子。
かちゃ、と背中でドアを閉めながら、真司の手の先に気付いた黒子の顔が青くなった。
「とりあえず…落ち着いてその手を放して下さい」
「え?」
「そもそも勝手に人の部屋漁っちゃ駄目です」
暫くきょとんとして黒子の言葉を考える。
まあ、そりゃあ一つや二つ見られたくないものはあるだろうが、見ている限りそういうものは無かった…、いや待て。
真司は自分の指で触れている本をそのまま引き出した。
「これ?」
「待ってください。それは、駄目です」
「…あ、分かった。分かったかも!」
この厚み。そしてこのシンプルなデザイン。
真司はお盆を置いて手を伸ばしてきた黒子を避けて、その本らしきものを抱えたままベッドに飛び込んだ。
分厚い表紙を捲れば、薄い色素の髪と大きな瞳の男の子の写真が張られている。
「わーっ、やっぱり!これテツ君でしょ!」
「……烏羽君…」
「なんで嫌なの、すっごく可愛い…わあ、わあ…!」
今の黒子とは違って、笑顔が眩しい表情豊かな男の子。
「これは幼稚園かな?これは小学校?」
「はあ…」
「こっちも、こっちも可愛い…!」
真司は暫く足をばたつかせながら食い入るように眺め、ちらと横でふてくされている黒子を見た。
「ふふ、今のテツ君も可愛い」
「酷いです。何と言われようと、そういうのは恥ずかしいので見られたくなかったです」
「いいじゃん!可愛いけどちゃんと男の子って分かるし。俺なんて小さい頃何度女の子と間違えられたか…」
大きな本、もとい黒子のアルバムに貼られた写真をなぞりながら目を細める。
童顔で可愛らしいけれど、間違いなく男の子だ。
「…分かりました」
「ん?」
「今度君の写真も見せてもらいますから」
「……え」
「それで許します」
黒子の真ん丸の瞳がじいっと真司を見つめる。
もぞっと体を起き上らせて黒子を見つめ返すも、その視線は「許しません」と言わんばかりに真司から逸らされた。
「…じゃ、じゃあ、約束する…からもうちょっと見ても良い?」
「今見るんですか?ボクがいるのに」
「……、わ、分かったよ。今度、今度にするから!」
こちらを見ない黒子にも聞こえるように、ぱたんっとアルバムを閉じる。
それを聞いた黒子は真司の期待通りに視線を真司に戻し、にっこりと笑った。
「そういえば、君の小さい頃は全く知らないので、楽しみです」
「…うう」
「恥ずかしいですか?」
「恥ずかしい。ごめん、テツ君。でもテツ君可愛かった…」
一枚持って帰りたいくらい。
と正直に言うと、黒子はむすっと眉を寄せて静かに「やめてください」と言って真司の額を小突いた。
なんだか今日は黒子の表情がやけに豊かな気がする。写真の中の黒子程ではないけれど。
真司はベッドから降りて黒子の隣に寄ると、意味も無くへらっと笑った。
「何ですか」
「ふふ、今日はテツ君のこといっぱい知れそうな気がする」
「…キスして良いですか」
「え」
唐突な黒子の返しに驚いている間に、近付いてきた顔を拒否することなく重なる。
軽く触れるだけのキスでも全身を包む黒子の匂いにどうにかなりそうで、真司は黒子の胸を押し返した。
「あ、あ、後で!」
「?」
「寝る時まで我慢する!」
「は…?」
「だって、ほら、一緒にベッドで寝るでしょ?」
あまり大きくない部屋にはベッドが一つ。
そのベッドも一人用で大きくはないが、真司と黒子なら何とか一緒に寝れるだろう。
というか部屋に入った瞬間からベッド一つは確認していたし、それに対してちょっと期待もしていたのだ。
「…一応、もう一枚布団を持ってきて床に敷くつもりだったんですけど…」
「え…!」
そういう配慮をしてくれる事など一切考えていなかった真司は、かあっと顔を赤くした。
そりゃ普通ならそうするのだろう。
今まで人の家に泊まるというパターンで、別々に寝る事がなかったから“普通”など知らなかった。
「は…ずかし…ごめん、勝手に期待してて…!」
「いえ、そうですね。一緒に寝ましょう。暖かいですし」
「え、いいの?」
「ボクだって君がそれで良いならそうします。そうしたいです」
寝る時が楽しみですね。
黒子が笑いながら真司の頭をぽんぽんと撫でる。
小さい頃とは違うけれど、穏やかな笑顔は今も変わらない。
それが自分に向けられていることが嬉しくて、真司は堪らず黒子の首に自分の腕を回して抱き着いた。
いつかは行きたいと思っていた場所。
もし土曜日に声をかけられたなら言おうと思っていた真司にとって、待ちに待った誘いだった。
「ぼ、ボクの家…ですか」
「うんうん!駄目?」
「いえ、駄目ではないですが…」
黒子の視線が真司から外れて宙を彷徨う。
なるほど、家に招いて良いか判断する為の様々な問題が浮かんでいるのだろう。
例えば、部屋汚いかも…とか、家族が煩いんだよな…とか。
「あれ、テツ君って一人っ子だっけ、だよね」
「はい。あ、いえ、別に家族を気にしたわけでは無いです。ただ…」
「ん?」
「君が…ボクの部屋に来ることといいますか…その、ボク自身の問題というか」
覗き込んだ黒子の頬が赤らんでいる。
それにつられて咄嗟に身を引いた真司の顔も熱くなりそうで、照れ隠しに黒子の背中をペチンと叩いた。
「いた…っ」
「変な事言わないでよ!べ、つに俺そういう事考えてないから!」
「わ、分かってます。いいですよ。ついて来て下さい」
勿論多少のことはアリかなとか考えるけれど、土曜日の夕方なんて間違いなく家族は勢ぞろいだろうし。
真司は黒子のせいで考えてしまった雑念を消し去る為に、ぺしぺしと今度は自分の頬を叩いた。
・・・
黒子のお母さんに挨拶をして、珍しく猫を被りまくってぺこぺこ頭を下げて。
黒子の部屋でだらりと脱力した頃には、もう外は真っ暗になっていた。
開けっ放しになっている黒子の部屋のカーテンを閉めて、青い色の毛布が掛けられたベッドに腰掛ける。
意味も無くぽふぽふとベッドを片手で触り、にやっと緩む頬をそのまま真司は一人ふふっと笑った。
黒子はお菓子やら飲み物やら気を遣って持ってきてくれるらしい。
部屋主がいない今がチャンスだと何か探したいものだけれど、無駄な程あるのは本くらいで、物の少ない黒子の部屋にこれといって面白いものは見られなそうだ。
「とはいっても、ちょっといろいろ見ちゃおうかな」
すっとベッドから腰を上げて、たくさんの本が並ぶ本棚の前に立つ。
今時の少年らしい、コミックだとか絵柄の凝ったものは一切見られない。
真司は数冊本棚から取り出し、ぺらぺらと捲って戻すという行動を暫く続けてから「ううん」と唸った。
「面白みないなあ…。っと、このデカいのなんだろ」
本棚の一番端。そこに他の本とは違う厚みのものを見つけ、くいと手を引っ掻けた。
「お待たせしました」
「あ、テツ君」
「今日は泊まっていって良いそうで…って、何してるんですか」
片手にペットボトルとコップの乗ったお盆を持っている黒子。
かちゃ、と背中でドアを閉めながら、真司の手の先に気付いた黒子の顔が青くなった。
「とりあえず…落ち着いてその手を放して下さい」
「え?」
「そもそも勝手に人の部屋漁っちゃ駄目です」
暫くきょとんとして黒子の言葉を考える。
まあ、そりゃあ一つや二つ見られたくないものはあるだろうが、見ている限りそういうものは無かった…、いや待て。
真司は自分の指で触れている本をそのまま引き出した。
「これ?」
「待ってください。それは、駄目です」
「…あ、分かった。分かったかも!」
この厚み。そしてこのシンプルなデザイン。
真司はお盆を置いて手を伸ばしてきた黒子を避けて、その本らしきものを抱えたままベッドに飛び込んだ。
分厚い表紙を捲れば、薄い色素の髪と大きな瞳の男の子の写真が張られている。
「わーっ、やっぱり!これテツ君でしょ!」
「……烏羽君…」
「なんで嫌なの、すっごく可愛い…わあ、わあ…!」
今の黒子とは違って、笑顔が眩しい表情豊かな男の子。
「これは幼稚園かな?これは小学校?」
「はあ…」
「こっちも、こっちも可愛い…!」
真司は暫く足をばたつかせながら食い入るように眺め、ちらと横でふてくされている黒子を見た。
「ふふ、今のテツ君も可愛い」
「酷いです。何と言われようと、そういうのは恥ずかしいので見られたくなかったです」
「いいじゃん!可愛いけどちゃんと男の子って分かるし。俺なんて小さい頃何度女の子と間違えられたか…」
大きな本、もとい黒子のアルバムに貼られた写真をなぞりながら目を細める。
童顔で可愛らしいけれど、間違いなく男の子だ。
「…分かりました」
「ん?」
「今度君の写真も見せてもらいますから」
「……え」
「それで許します」
黒子の真ん丸の瞳がじいっと真司を見つめる。
もぞっと体を起き上らせて黒子を見つめ返すも、その視線は「許しません」と言わんばかりに真司から逸らされた。
「…じゃ、じゃあ、約束する…からもうちょっと見ても良い?」
「今見るんですか?ボクがいるのに」
「……、わ、分かったよ。今度、今度にするから!」
こちらを見ない黒子にも聞こえるように、ぱたんっとアルバムを閉じる。
それを聞いた黒子は真司の期待通りに視線を真司に戻し、にっこりと笑った。
「そういえば、君の小さい頃は全く知らないので、楽しみです」
「…うう」
「恥ずかしいですか?」
「恥ずかしい。ごめん、テツ君。でもテツ君可愛かった…」
一枚持って帰りたいくらい。
と正直に言うと、黒子はむすっと眉を寄せて静かに「やめてください」と言って真司の額を小突いた。
なんだか今日は黒子の表情がやけに豊かな気がする。写真の中の黒子程ではないけれど。
真司はベッドから降りて黒子の隣に寄ると、意味も無くへらっと笑った。
「何ですか」
「ふふ、今日はテツ君のこといっぱい知れそうな気がする」
「…キスして良いですか」
「え」
唐突な黒子の返しに驚いている間に、近付いてきた顔を拒否することなく重なる。
軽く触れるだけのキスでも全身を包む黒子の匂いにどうにかなりそうで、真司は黒子の胸を押し返した。
「あ、あ、後で!」
「?」
「寝る時まで我慢する!」
「は…?」
「だって、ほら、一緒にベッドで寝るでしょ?」
あまり大きくない部屋にはベッドが一つ。
そのベッドも一人用で大きくはないが、真司と黒子なら何とか一緒に寝れるだろう。
というか部屋に入った瞬間からベッド一つは確認していたし、それに対してちょっと期待もしていたのだ。
「…一応、もう一枚布団を持ってきて床に敷くつもりだったんですけど…」
「え…!」
そういう配慮をしてくれる事など一切考えていなかった真司は、かあっと顔を赤くした。
そりゃ普通ならそうするのだろう。
今まで人の家に泊まるというパターンで、別々に寝る事がなかったから“普通”など知らなかった。
「は…ずかし…ごめん、勝手に期待してて…!」
「いえ、そうですね。一緒に寝ましょう。暖かいですし」
「え、いいの?」
「ボクだって君がそれで良いならそうします。そうしたいです」
寝る時が楽しみですね。
黒子が笑いながら真司の頭をぽんぽんと撫でる。
小さい頃とは違うけれど、穏やかな笑顔は今も変わらない。
それが自分に向けられていることが嬉しくて、真司は堪らず黒子の首に自分の腕を回して抱き着いた。