黒バス(2012.10~2017.12)
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秀徳高校バスケ部。強豪というだけあって日々の練習は欠かさない。
休日ではありながらも休む間なく学校に集まった面々は、ピリピリとした空気の中練習に励んでいた。
「真ちゃんってさー、真司と連絡とったりしてねーの?」
そんな空気をぶち壊したのは、1年の高尾和成。
休憩の時間が設けられたとはいえ休憩しない者が多い中、突然緑間の肩に手を乗せそう問いかけた。
「…何故そんなことを聞くのだよ」
「真司が普段メールとかしねーって言うから、キセキの世代ってこういうとこ迂闊じゃね?って思って」
「何が言いたいのか良く分からんな」
興味もなさげに高尾の手を肩から引き剥がす。
そんな緑間のブレない態度に、高尾は肩をすくめてニシシと笑った。
「オレと真司、今メル友なのよねーん」
そう言う高尾の手にはいつの間に手元に持って来たのか、新しい機種だろうすっきりしたモデルの携帯がある。
それをじとっと見つめた緑間は、はっと目を見開いた。
「高尾、まさかこの前オレの携帯を勝手に見ていたのは…」
「真司の連絡先ゲットするためでっす!」
「…貴様…」
どこまで本気かなどと気にしたことは無いが、高尾も当然のように真司に魅入られた一人だ。
緑間はやられたかと柄にもなく考えたが、だからどうという事も思い浮かばず、調子にのっている友人から目を逸らした。
「…で?真ちゃんはなんで真司にメールしたりしねーの?」
「別に、話すことなどないからなのだよ」
「っはー、分かってねーな」
では貴様は何を分かっていると言うのだよ。
内心イライラし始めながらも、緑間は気丈に振る舞い流れる汗をタオルで拭った。
勿論焦りから流れた冷や汗では無い。練習直後故の汗だ。
「寝る前のおやすみとか?真ちゃんなら毎朝のおは朝情報とか?なんでもあんじゃん」
「そ…んなこと連絡してどうなるのだよ」
「嬉しいだろ?そういうことで真司と繋がってられんだぜ」
人差し指を立ててひらひらと左右に振る。そんな上からな態度をして見せた高尾は、すぐさま自分の携帯の画面に視線を落とした。
やらしく笑った奴の目には、恐らく真司からのメッセージがあるのだろう。
そういうば高尾と真司は知らぬうちに知り合って、知らぬうちに親しくなっていた。まさかこんな所でその親しいという証拠を見せつけられるとは。
「ま、オレとしては?そーやって真ちゃんが油断してる間に真司と仲良くなっちゃうからいいけどな!」
「……ぶ、文面は、何でも良いのだな…?」
「いーんじゃね?あ、でも質問とかハテナつきだと返信しやすくて良いと思うぜー」
「そ、そうか…」
「ふはっ、真司のことンなると素直でいいな真ちゃん!」
ケラケラとやはり肩に手を乗せて笑う高尾の手を、素早く引き剥がしてそっぽを向く。
こいつのアドバイスなんて聞きたくないのに、焦っているのか自分は。
緑間は妙に苛立ち焦る自分を抑えるように、ボールを手に持ってゴールを真っ直ぐ見据えた。
「あーあ、オレって優しー」
そんな緑間を見てぽつりと漏らすのは高尾だ。
黙って真司と仲良くなればいいものを、こう駄目な相棒を見ているとどうにも手を貸してやりたくなってしまう。
「お前等二人揃って誠凛のチビにご執心かよ」
「そーいう宮地先輩も?甲斐甲斐しく慰めたりハンカチ貸したりしたくせに」
「あ?そりゃ成り行きだ…っつかなんで知ってんだよ…!」
カッと顔を赤くする宮地を見れるのも真司のおかげか。
ああもう、秀徳に来れば良いのに。なんて自分がどこぞのモデルと同じことを考えているなんてことも知らず、高尾はふーっとため息を吐いて緑間の手から離れたボールを横取りした。
・・・
遅くまで学校の体育館でバスケに励み、帰宅したその日。
真司はお風呂上りに、そのままぽすんとベッドに腰掛けた。
さすがに毎日続くとどんなに体力があろうとも、じわじわと疲れがたまってしまう。
寝る時間には少し早いが、今日はこのまま寝てしまおうかな。そう考え充電器にさした携帯を手に取った真司は、「あ」と小さく声を漏らした。
チカチカと光る小さなランプはメールが来ていることを示している。
何気なく電源を付けて見た真司は、驚き自分の目を疑った。
「緑間君…!?」
表示されている名前は、ここ最近頻繁にメールをしてくる高尾ではない。
となると、高尾が何か煽ったのか。だって緑間が何も用なしに連絡なんて。
信じられない思いで、恐る恐る内容を開いた真司は、ぽかんと口を開けたまま上から下まで目を通した。
「…ええ…」
緑間らしくもない。
そこには元気にしているか、だとか怪我は平気なのか、とか。とにかくどこかテンプレじみた事柄が書いてあった。
ついでに最後は明日のラッキーアイテムときたもんだ。
「らしいっちゃらしいけど…ふふ」
ころんとベッドにうつ伏せになって、もう一度上から文面を見つめ直す。
そのまま緑間の声が聞こえてきそうな語尾。
そういえば最後にあったのはいつだろう。あの日、ちゃんと顔が見れなかったから、もっと前になるのかな。
「…、」
暫く携帯の画面を意味なく見つめて、それからゆっくりと人差し指を画面に当てる。
ああ、なんでこんなに緊張するんだろう。
一度大きく深呼吸してから、真司は今度は画面を耳に近付けた。
「…あ、こんばんは、緑間君。急にメールなんかしてくるから…声聞きたくなったじゃん」
低い声が、耳元で聞こえてくすぐったい。
「怪我?平気だよ、もう皆と一緒に練習してるんだー…え?ふふ、大丈夫だってば」
ぱたぱたと意味も無く足がベッドを叩く。
こうして改めて声だけ聴くと、本当に気持ちが良くなるくらい良い声だ。
ううん、やっぱり声だけじゃ足りない。
「早く、会いたいなー…とか…分かってるよ、ウィンターカップで、ね」
ぎゅっと目を閉じて、真司ははち切れそうな程に高鳴る胸を片手で押さえた。
・・・
自分に不利に働くことを分かっていながら、緑間にアドバイスなんてしちゃった翌日。
緑間のロッカーの前でしゃがみこむ高尾の手には一つの携帯電話。じーっと暫く見つめた高尾は、ふいーっと息を吐き出した。
「うわー…つまり?真ちゃんがつまんねーメール送って…返事は…」
とんとんと人の携帯を自分のものかのように操作する高尾の目には、昨日の電話の履歴が映っている。
電話したのは緑間ではない。真司の方だ。
「なるほどなるほど、これがオレと真ちゃんとの差なわけ、ね」
「おい高尾、いい加減準備しねーと緑間にチクんぞ」
「酷いっすよー!宮地先輩慰めて!」
「うっせ死ね!」
「しね!?」
騒ぐ高尾の頭を結構本気で殴った宮地は、直後少しにやついた緑間を目にして更に拳をきつく握り締めることとなった。
休日ではありながらも休む間なく学校に集まった面々は、ピリピリとした空気の中練習に励んでいた。
「真ちゃんってさー、真司と連絡とったりしてねーの?」
そんな空気をぶち壊したのは、1年の高尾和成。
休憩の時間が設けられたとはいえ休憩しない者が多い中、突然緑間の肩に手を乗せそう問いかけた。
「…何故そんなことを聞くのだよ」
「真司が普段メールとかしねーって言うから、キセキの世代ってこういうとこ迂闊じゃね?って思って」
「何が言いたいのか良く分からんな」
興味もなさげに高尾の手を肩から引き剥がす。
そんな緑間のブレない態度に、高尾は肩をすくめてニシシと笑った。
「オレと真司、今メル友なのよねーん」
そう言う高尾の手にはいつの間に手元に持って来たのか、新しい機種だろうすっきりしたモデルの携帯がある。
それをじとっと見つめた緑間は、はっと目を見開いた。
「高尾、まさかこの前オレの携帯を勝手に見ていたのは…」
「真司の連絡先ゲットするためでっす!」
「…貴様…」
どこまで本気かなどと気にしたことは無いが、高尾も当然のように真司に魅入られた一人だ。
緑間はやられたかと柄にもなく考えたが、だからどうという事も思い浮かばず、調子にのっている友人から目を逸らした。
「…で?真ちゃんはなんで真司にメールしたりしねーの?」
「別に、話すことなどないからなのだよ」
「っはー、分かってねーな」
では貴様は何を分かっていると言うのだよ。
内心イライラし始めながらも、緑間は気丈に振る舞い流れる汗をタオルで拭った。
勿論焦りから流れた冷や汗では無い。練習直後故の汗だ。
「寝る前のおやすみとか?真ちゃんなら毎朝のおは朝情報とか?なんでもあんじゃん」
「そ…んなこと連絡してどうなるのだよ」
「嬉しいだろ?そういうことで真司と繋がってられんだぜ」
人差し指を立ててひらひらと左右に振る。そんな上からな態度をして見せた高尾は、すぐさま自分の携帯の画面に視線を落とした。
やらしく笑った奴の目には、恐らく真司からのメッセージがあるのだろう。
そういうば高尾と真司は知らぬうちに知り合って、知らぬうちに親しくなっていた。まさかこんな所でその親しいという証拠を見せつけられるとは。
「ま、オレとしては?そーやって真ちゃんが油断してる間に真司と仲良くなっちゃうからいいけどな!」
「……ぶ、文面は、何でも良いのだな…?」
「いーんじゃね?あ、でも質問とかハテナつきだと返信しやすくて良いと思うぜー」
「そ、そうか…」
「ふはっ、真司のことンなると素直でいいな真ちゃん!」
ケラケラとやはり肩に手を乗せて笑う高尾の手を、素早く引き剥がしてそっぽを向く。
こいつのアドバイスなんて聞きたくないのに、焦っているのか自分は。
緑間は妙に苛立ち焦る自分を抑えるように、ボールを手に持ってゴールを真っ直ぐ見据えた。
「あーあ、オレって優しー」
そんな緑間を見てぽつりと漏らすのは高尾だ。
黙って真司と仲良くなればいいものを、こう駄目な相棒を見ているとどうにも手を貸してやりたくなってしまう。
「お前等二人揃って誠凛のチビにご執心かよ」
「そーいう宮地先輩も?甲斐甲斐しく慰めたりハンカチ貸したりしたくせに」
「あ?そりゃ成り行きだ…っつかなんで知ってんだよ…!」
カッと顔を赤くする宮地を見れるのも真司のおかげか。
ああもう、秀徳に来れば良いのに。なんて自分がどこぞのモデルと同じことを考えているなんてことも知らず、高尾はふーっとため息を吐いて緑間の手から離れたボールを横取りした。
・・・
遅くまで学校の体育館でバスケに励み、帰宅したその日。
真司はお風呂上りに、そのままぽすんとベッドに腰掛けた。
さすがに毎日続くとどんなに体力があろうとも、じわじわと疲れがたまってしまう。
寝る時間には少し早いが、今日はこのまま寝てしまおうかな。そう考え充電器にさした携帯を手に取った真司は、「あ」と小さく声を漏らした。
チカチカと光る小さなランプはメールが来ていることを示している。
何気なく電源を付けて見た真司は、驚き自分の目を疑った。
「緑間君…!?」
表示されている名前は、ここ最近頻繁にメールをしてくる高尾ではない。
となると、高尾が何か煽ったのか。だって緑間が何も用なしに連絡なんて。
信じられない思いで、恐る恐る内容を開いた真司は、ぽかんと口を開けたまま上から下まで目を通した。
「…ええ…」
緑間らしくもない。
そこには元気にしているか、だとか怪我は平気なのか、とか。とにかくどこかテンプレじみた事柄が書いてあった。
ついでに最後は明日のラッキーアイテムときたもんだ。
「らしいっちゃらしいけど…ふふ」
ころんとベッドにうつ伏せになって、もう一度上から文面を見つめ直す。
そのまま緑間の声が聞こえてきそうな語尾。
そういえば最後にあったのはいつだろう。あの日、ちゃんと顔が見れなかったから、もっと前になるのかな。
「…、」
暫く携帯の画面を意味なく見つめて、それからゆっくりと人差し指を画面に当てる。
ああ、なんでこんなに緊張するんだろう。
一度大きく深呼吸してから、真司は今度は画面を耳に近付けた。
「…あ、こんばんは、緑間君。急にメールなんかしてくるから…声聞きたくなったじゃん」
低い声が、耳元で聞こえてくすぐったい。
「怪我?平気だよ、もう皆と一緒に練習してるんだー…え?ふふ、大丈夫だってば」
ぱたぱたと意味も無く足がベッドを叩く。
こうして改めて声だけ聴くと、本当に気持ちが良くなるくらい良い声だ。
ううん、やっぱり声だけじゃ足りない。
「早く、会いたいなー…とか…分かってるよ、ウィンターカップで、ね」
ぎゅっと目を閉じて、真司ははち切れそうな程に高鳴る胸を片手で押さえた。
・・・
自分に不利に働くことを分かっていながら、緑間にアドバイスなんてしちゃった翌日。
緑間のロッカーの前でしゃがみこむ高尾の手には一つの携帯電話。じーっと暫く見つめた高尾は、ふいーっと息を吐き出した。
「うわー…つまり?真ちゃんがつまんねーメール送って…返事は…」
とんとんと人の携帯を自分のものかのように操作する高尾の目には、昨日の電話の履歴が映っている。
電話したのは緑間ではない。真司の方だ。
「なるほどなるほど、これがオレと真ちゃんとの差なわけ、ね」
「おい高尾、いい加減準備しねーと緑間にチクんぞ」
「酷いっすよー!宮地先輩慰めて!」
「うっせ死ね!」
「しね!?」
騒ぐ高尾の頭を結構本気で殴った宮地は、直後少しにやついた緑間を目にして更に拳をきつく握り締めることとなった。