苗字は「五色」固定です。
カカシ夢(2011.04~2016.09)
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その日、木ノ葉の里の上層部では一人の青年についての話し合いが行われていた。
「アカデミーに入れる歳ではないが、放っておくわけにも……」
「一週間後の中忍試験に出させるのはどうだろうか……」
「しかしスリーマンセルがない……」
「あんな荒くれ者を引き取りたい者もいないだろう……」
話題の当人は会議室の前で腕を組み、壁に体を預けて立っている。壁一枚向こう側の声は、彼の耳にも当然届いていた。
生まれた土地を追い出され、突然来ることになったとは言え、扱いは最悪だ。顔は心をそのまま写し、眉間にはシワが深く寄っている。
「誰もいないのならば、暫くは保留ということで様子をー……」
「それなら、自分が面倒みますよ」
埒が明かん、と一人が話をまとめようと切り出した時、一人の男が名乗り出た。
「いや、しかし貴方はナルトとサスケで既に……」
「だからこそ、一人増えたぐらいではもう変わりませんよ」
「………」
自分は嫌だ、という気持ちが強いからだろうか、反論するものは現れない。
火影は少しヒゲを触ってから決心したように顔を上げた。
「カカシ、本当に任せて良いのか」
「はい、構いません」
ほっと、あからさまに息を吐く者達を横目に、カカシはぽりぽりと頬をかいた。
厄介なものを引き受けてしまったろうか。などと考えたところで時すでに遅し。
とりあえず話をしてからだな、と部屋を出てみれば、そこで待っていた当人と目が合ってしまった。
「彼が面倒を見てくれるそうじゃが、良いかの?」
「……俺に選択肢なんてないんだろ? いいよ、なんでも」
火影の問いかけに、大して表情も変えずにカカシを見続ける。
鋭い目だ。明らかに敵意のある目で見られ、カカシは一瞬目を丸くしてしまった。
「あーえっと、オレははたけカカシっていうんだけど……五色くん?」
名前の確認をしただけなのだが、黙ったまま睨まれ続ける。
カカシは助けを求めるように火影を横目で見たが、火影は笑いながら「後は任せた」とでも言うかのように踵を返してしまった。
「ここじゃなんだから、外に出ようか」
相変わらず鋭い目つきのままで、小さく首が縦に動くのが見えた。言葉数はあまりないが、意志疎通は出来そうだ。
カカシは「ついてきて」とだけ告げると、一歩先を歩き出した。
歩き出したものの、特に行く宛てが浮かばなかったカカシは、第七班が最初に自己紹介しあった場所へと足を運んだ。
懐かしい、という程前の話でもない。まさかここで再び新たなメンバーと話をすることになろうとは、考えもしなかったが。
「そろそろ、名前を聞きたいんだけどね、いいかな?」
カカシの問に対し、やはり返答はない。お互い立ったまま、目だけはしっかり合わせる。そんな妙な空気に負けたのは、彼の方だった。
「五色ナナ」
「ナナ、ね。いい名前じゃない。じゃあ、よろしくねナナ」
そう言って笑いかけると、ナナの頬が薄っすら赤く染まっていることに気が付いた。困惑か、眉は下がり、視線が泳いでいる。
「ナナ?」
「あんま、何度も呼ぶな……うざい」
口は悪いし、ずいぶん捻くれてはいるが、案外年相応の可愛いところもあるらしい。
思わずカカシの頬が緩み、それに気づいたナナが不服そうに眼をそらす。
これが二人の出会いだった。
・・・
その後、ナナが案内されたのはカカシの一人暮らす家だった。住む家の用意がなく、野宿させるわけにはいかない。
だから一先ずうちに来い、というカカシの申し出は、もはや提案ではなく命令だった。
「ちょっと待っててね。あ、逃げちゃ駄目よ」
「別に、逃げる気はねーけど……」
先に部屋に入ったカカシはタンスを開けて何やらごそごそと漁り始めた。
「ナナ、こっち来て」
「……何」
「ナナ細いから、オレのじゃ大きいと思うけど我慢してね」
手渡されたのは、衣服と下着。それから誘導するように開かれた扉の先は風呂場だった。
「疲れてるだろうから、今日は風呂入って寝る。ね」
「……」
何となく素直に感謝する気にはなれず、ナナは無言でそれらを受け取った。
脱衣所に踏み込めば、ぱたんと扉が閉じられ、ようやく訪れた静寂に大きく溜め息を吐く。
(案外、強引な男だ)
汚れきった服を脱ぎ捨て、頭からお湯を浴びれば、眉間に寄っていたシワも解かれて行く。
ここまで不服な思いでついて来たが、数日ぶりの風呂、これは素直に嬉しいことだった。
そんなナナを見送ったカカシは、シャワーの音に耳をすませながらベッドに腰掛けた。
相当気性の荒い、不良だと聞いていたが、やはりそういう面はあまり見えてこない。ちょっと性格に難ありとはいえ、年相応の可愛いヤツだ。
いや、可愛いというより。綺麗。こっちの方がしっくりくる。
体も傷が多かったが、腰が細くて色白で。
「……なーに考えてんだ、相手は17歳のガキんちょでしょーよ……」
妙に落ち着かない気持ちで、ぽすんとベッドに倒れ込む。
でも本当に、顔だけ見ればかなりの美形なのだ。今まで生きてきて、敵味方とかなりの人数に対面してきたが、これほどのレベルは少数だろう。
カカシはぐるりと寝返りをうって、頭をぽりぽりとかいた。
このままでは余計な事ばかり考えてしまう。考えるべきは今後の第七班についてだ。
(オレが何とかしないとな)
元々ナルト、サスケ、サクラの三人もかなり喧嘩ばかりの酷いメンバーだった。
それがようやくまとまって来た矢先だ。性格的に、ナルトとは間違いなくぶつかるだろう。
「…はぁ」
ため息がベッドに落ちる。
すると、がたがたという物音がした後、脱衣所の扉が開いた。
ぱっと体を起き上らせると、ナナが渡した服に着替えた状態で立っている。
「ん、早かったね。ナナ、ちゃんと髪乾かしなよ」
どうせ期待できない返事を待たず、カカシはベッドから立ち上がってソファーの方に腰掛ける。
ナナにベッドを譲ったつもりだったのだが、そのナナはゆっくりとカカシの目の前まで歩いてきた。
「ナナ?」
「いや、……いろいろ、助かった」
その声は小さかったが、確かにカカシの耳に届いた。
それからすぐに逸らされたナナの頬は、風呂上りのせいか若干赤く染まっている。
「ナナ、ベッド使っていいよ」
お暇とでも言いだしそうなナナの肩を掴み、カカシは無理矢理ベッドに座らせた。
ナナは意外にも素直に従い、いそいそと布団にもぐり込む。
「……布団なんて、すげー久しぶり」
「ゆっくり休みなよ」
余程疲れていたのだろう、ナナはそのまま目を閉じてしまった。
そんなナナを暫く眺め、カカシは上を向いて溜め息を吐く。
(……この子やっぱり可愛いな)
マスクの下にやけている口元に手を寄せて、カカシは困ったように微笑んでいた。
2022/05/04
「アカデミーに入れる歳ではないが、放っておくわけにも……」
「一週間後の中忍試験に出させるのはどうだろうか……」
「しかしスリーマンセルがない……」
「あんな荒くれ者を引き取りたい者もいないだろう……」
話題の当人は会議室の前で腕を組み、壁に体を預けて立っている。壁一枚向こう側の声は、彼の耳にも当然届いていた。
生まれた土地を追い出され、突然来ることになったとは言え、扱いは最悪だ。顔は心をそのまま写し、眉間にはシワが深く寄っている。
「誰もいないのならば、暫くは保留ということで様子をー……」
「それなら、自分が面倒みますよ」
埒が明かん、と一人が話をまとめようと切り出した時、一人の男が名乗り出た。
「いや、しかし貴方はナルトとサスケで既に……」
「だからこそ、一人増えたぐらいではもう変わりませんよ」
「………」
自分は嫌だ、という気持ちが強いからだろうか、反論するものは現れない。
火影は少しヒゲを触ってから決心したように顔を上げた。
「カカシ、本当に任せて良いのか」
「はい、構いません」
ほっと、あからさまに息を吐く者達を横目に、カカシはぽりぽりと頬をかいた。
厄介なものを引き受けてしまったろうか。などと考えたところで時すでに遅し。
とりあえず話をしてからだな、と部屋を出てみれば、そこで待っていた当人と目が合ってしまった。
「彼が面倒を見てくれるそうじゃが、良いかの?」
「……俺に選択肢なんてないんだろ? いいよ、なんでも」
火影の問いかけに、大して表情も変えずにカカシを見続ける。
鋭い目だ。明らかに敵意のある目で見られ、カカシは一瞬目を丸くしてしまった。
「あーえっと、オレははたけカカシっていうんだけど……五色くん?」
名前の確認をしただけなのだが、黙ったまま睨まれ続ける。
カカシは助けを求めるように火影を横目で見たが、火影は笑いながら「後は任せた」とでも言うかのように踵を返してしまった。
「ここじゃなんだから、外に出ようか」
相変わらず鋭い目つきのままで、小さく首が縦に動くのが見えた。言葉数はあまりないが、意志疎通は出来そうだ。
カカシは「ついてきて」とだけ告げると、一歩先を歩き出した。
歩き出したものの、特に行く宛てが浮かばなかったカカシは、第七班が最初に自己紹介しあった場所へと足を運んだ。
懐かしい、という程前の話でもない。まさかここで再び新たなメンバーと話をすることになろうとは、考えもしなかったが。
「そろそろ、名前を聞きたいんだけどね、いいかな?」
カカシの問に対し、やはり返答はない。お互い立ったまま、目だけはしっかり合わせる。そんな妙な空気に負けたのは、彼の方だった。
「五色ナナ」
「ナナ、ね。いい名前じゃない。じゃあ、よろしくねナナ」
そう言って笑いかけると、ナナの頬が薄っすら赤く染まっていることに気が付いた。困惑か、眉は下がり、視線が泳いでいる。
「ナナ?」
「あんま、何度も呼ぶな……うざい」
口は悪いし、ずいぶん捻くれてはいるが、案外年相応の可愛いところもあるらしい。
思わずカカシの頬が緩み、それに気づいたナナが不服そうに眼をそらす。
これが二人の出会いだった。
・・・
その後、ナナが案内されたのはカカシの一人暮らす家だった。住む家の用意がなく、野宿させるわけにはいかない。
だから一先ずうちに来い、というカカシの申し出は、もはや提案ではなく命令だった。
「ちょっと待っててね。あ、逃げちゃ駄目よ」
「別に、逃げる気はねーけど……」
先に部屋に入ったカカシはタンスを開けて何やらごそごそと漁り始めた。
「ナナ、こっち来て」
「……何」
「ナナ細いから、オレのじゃ大きいと思うけど我慢してね」
手渡されたのは、衣服と下着。それから誘導するように開かれた扉の先は風呂場だった。
「疲れてるだろうから、今日は風呂入って寝る。ね」
「……」
何となく素直に感謝する気にはなれず、ナナは無言でそれらを受け取った。
脱衣所に踏み込めば、ぱたんと扉が閉じられ、ようやく訪れた静寂に大きく溜め息を吐く。
(案外、強引な男だ)
汚れきった服を脱ぎ捨て、頭からお湯を浴びれば、眉間に寄っていたシワも解かれて行く。
ここまで不服な思いでついて来たが、数日ぶりの風呂、これは素直に嬉しいことだった。
そんなナナを見送ったカカシは、シャワーの音に耳をすませながらベッドに腰掛けた。
相当気性の荒い、不良だと聞いていたが、やはりそういう面はあまり見えてこない。ちょっと性格に難ありとはいえ、年相応の可愛いヤツだ。
いや、可愛いというより。綺麗。こっちの方がしっくりくる。
体も傷が多かったが、腰が細くて色白で。
「……なーに考えてんだ、相手は17歳のガキんちょでしょーよ……」
妙に落ち着かない気持ちで、ぽすんとベッドに倒れ込む。
でも本当に、顔だけ見ればかなりの美形なのだ。今まで生きてきて、敵味方とかなりの人数に対面してきたが、これほどのレベルは少数だろう。
カカシはぐるりと寝返りをうって、頭をぽりぽりとかいた。
このままでは余計な事ばかり考えてしまう。考えるべきは今後の第七班についてだ。
(オレが何とかしないとな)
元々ナルト、サスケ、サクラの三人もかなり喧嘩ばかりの酷いメンバーだった。
それがようやくまとまって来た矢先だ。性格的に、ナルトとは間違いなくぶつかるだろう。
「…はぁ」
ため息がベッドに落ちる。
すると、がたがたという物音がした後、脱衣所の扉が開いた。
ぱっと体を起き上らせると、ナナが渡した服に着替えた状態で立っている。
「ん、早かったね。ナナ、ちゃんと髪乾かしなよ」
どうせ期待できない返事を待たず、カカシはベッドから立ち上がってソファーの方に腰掛ける。
ナナにベッドを譲ったつもりだったのだが、そのナナはゆっくりとカカシの目の前まで歩いてきた。
「ナナ?」
「いや、……いろいろ、助かった」
その声は小さかったが、確かにカカシの耳に届いた。
それからすぐに逸らされたナナの頬は、風呂上りのせいか若干赤く染まっている。
「ナナ、ベッド使っていいよ」
お暇とでも言いだしそうなナナの肩を掴み、カカシは無理矢理ベッドに座らせた。
ナナは意外にも素直に従い、いそいそと布団にもぐり込む。
「……布団なんて、すげー久しぶり」
「ゆっくり休みなよ」
余程疲れていたのだろう、ナナはそのまま目を閉じてしまった。
そんなナナを暫く眺め、カカシは上を向いて溜め息を吐く。
(……この子やっぱり可愛いな)
マスクの下にやけている口元に手を寄せて、カカシは困ったように微笑んでいた。
2022/05/04
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