黄瀬と美術室の先輩(黒バス)
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9.恋疑惑
放課後の美術室でのひと時は、一日の中で最も楽しい時間だ。
一方は絵を描き、一方はそのモデル。しかしその実、夕日を背に語らう関係となった。
一日一つと勝手に決めた話題は一向に尽きず、今となっては30分では足りないくらいだ。
「そんで、そん時森山先輩が襲われるぞって言うから、オレすげぇ警戒しちゃってたんスよ。あ、森山先輩ってのは部活の先輩で」
「知ってる。割と細身の人だろ」
「え、そうっスか? ってやっぱチェック済みなんスね!?」
互いのプライベートの話、プロフィールの話、昔話、今の話。
様々な話題を繰り広げたが、咲哉のブレなさはもはや尊敬に値する程だった。ここまで裏表のない人間は、黄瀬が知る限り、この咲哉ともう一人くらいだ。
「森山さんを知ってるのは、黄瀬涼太を見ていたからだけどな」
「……へ?」
「お疲れ様。今日はここまでで良い」
咲哉は何食わぬ顔でそう言うと、画板の底をとんっとテーブルにつけた。
咲哉のこの言葉は、今日の活動はここまでだという合図だ。黄瀬は大概この言葉を聞いて、ようやくいそいそと服を着始める。
しかし、この日の黄瀬は、椅子の背にかけた服を掴もうとしたところで、ピタッと動きを止めた。
「え……もう?」
黄瀬は間の抜けた声を出し、目を壁にかかった時計に移した。
描き始めた瞬間の時間は分からないが、黄瀬がHR直後に美術室へ訪れたのは約15分前。いつものきっかり30分……にはあまりにも満たない。
「めちゃくちゃ早くないっスか? オレは部活だしそれでもいいっスけど……どうしたんスか?」
「もうすぐ描き終わるなと思って」
咲哉は普段通りの淡々とした口調で言うと、手に持っていた画材を机の上に下ろした。
「描き途中を見られるのは恥ずかしいんだ」と咲哉が自身の上裸よりも恥部のように扱い、拝むことのなかったそれが目の前に晒される。
黄瀬は、ここぞとばかりにそれを覗き込み「おおっ」と声を上げた。
「もーこんなに描けてたんスね。すげぇ立体的……」
そこに描かれているのは、自分の体だと分かっても見惚れるほどの肉体だった。
見事なまでに割れた腹筋、ごつごつと筋肉質な腕。かと言って筋肉に覆われているような感じではなく、引き締まった体は適度に細身な印象も与える。
実際のところ、モデル業を初めてから「筋肉付けすぎ!」と担当に叱られることが増え、黄瀬は女子受けするための体づくりに余念が無い。それがしっかりと描き表された肉体は、まさに女性の理想とするものに近いのではないか。
「やー……やっぱ上手いっスね……。絵なんて分かんないけど、それは分かるっスよ」
「でも、黄瀬涼太の体には全然及ばない」
「えぇ? いやむしろ、こんな凄くねぇっつか……」
完成を目前にした絵は、黄瀬からすればどこが足りないのか全く検討もつかない。
ただ終わりが来るのだということがふと現実味を帯び、黄瀬は「あっ」と跳ねるように体を起こした。
「か、描き終わる……これも、終わりってことっスよね」
「あぁ。割ともう、十分に……いや、いくら描いても満足なんてできないんだ。だから、潔く次で終わりにする」
そう言って画材を定位置に戻し始めた咲哉を、黄瀬は呆然と見つめた。
「次で……」
「あぁ。なんだよ、何か言いたいことでもあるのか?」
違和感に似たくすぐったさが、黄瀬の胸の辺りをカサつかせている。その原因は、間違いなくこの絵の状況と現在時刻にある。
「あの、なんで今日終わらせないんスか? まだ時間あんのに」
当然のように湧いて出た疑問が口をつくと、咲哉は微かに眉を下げた。
微妙な表情の変化だが、咲哉の表情筋レベルで言えば割と大きな苦虫を噛み潰したような顔だ。
「……なんでそんな事聞くんだ」
「へ? いや、単純に気になっただけって言うか」
咲哉はムッとへの字に口を結び、黄瀬から目を逸らした。
まるで黄瀬が悪いことを聞いたみたいな態度だ。黄瀬はやけに長く感じる沈黙の中、首を傾け咲哉の顔を覗き込んだ。
「い、言いたくない事情があるんなら、別にいいっスけど……」
「いや。あっさり今日で終わりってのも、味気ないと思ったんだ。違ったなら悪かったな」
黄瀬は思わず「へ?」と間の抜けた声を漏らしていた。
目の前の男は、いつも淡々としていて、声も表情も何考えてるかよく分からないような奴だ。最近でこそ、黄瀬は彼の表情の変化に少しずつ気付けるようになってはいたが、基本的に「我が道をゆくタイプ」である咲哉の事は、読めても理解不能が常だった。
「アンタ……いつからそんな可愛げある人になったんスか」
咲哉は小首を傾げて黄瀬を見上げている。これは「お前こそ、何を言ってる?」っていう顔だ。
黄瀬は呆然と咲哉を凝視し、それからハッと息を吸い込んだ。
「まさか! 今の発言、誰にでも言ってたんスか!? お決まりの締めの言葉だったんスね!?」
「あ……いや、そういえば、こんなこと初めてしたな」
「ウワァ! 可愛げが過ぎる!!」
黄瀬が頭を抱えて蹲ると、やはり咲哉は不思議そうに眉をひそめ、今度は先ほどと反対側に首を傾ける。
その動きが小動物のようで愛らしく、黄瀬はちらと上目に見上げてぶるっと体を震わせた。
背中に夕日を浴びる咲哉の白い肌が、橙色を映している。コントラストがはっきりと浮かび上がり、それこそ絵画のような、非現実的な美しさだ。
自分を見下ろし微笑んだように見えたその人に、黄瀬は柄にもなくドキリと胸を揺らした。
「っていうことがあったんス」
黄瀬の視線の先で、バスケ部の先輩である森山が顔を引きつらせている。
真剣な顔をして「真面目な話っス」と語り始めた後輩に対し、真剣に向き合った数分前の自分を悔いているところだ。
「お前……オレにどんな感想を求めてんだ、その話」
「オレ、どうしちゃったのかなって……。これってもしかして」
「いや待て早まるな!」
森山は掌を黄瀬に向け、言葉を途中で遮ると、腕を黄瀬の肩にぐるりと回して体を引き寄せた。
「いいか? お前は一時的に奴の思考に引きずられてるだけだ。考えてもみろ、男だぞ。確かに可愛い男ってのはたまに見るが、脱がせた時を想像するんだ。……ない。そして、ある」
森山は手を胸の前で何かわし掴むように動かした後、その手を下の方に移動させて同じように何かを掴んだ。
勿論そんなことは分かっているのだ。黄瀬が最初に見たあの男は、薄っぺらい胸を晒した姿をしていた。
「でもあの人、肌白くって、なんかこう……絶対肌触りいいだろうなーって、思うんスよ」
「胸までは分かる、いやオレは分からないが。ついてんだぞ、お前がオカマじゃない以上、あれは愛せないはずだ」
「やっぱ……愛っスか……? オレ、そうなんスかね……」
「あっ」
しまった、早まった。と森山が頭を抱え、黄瀬は呆然と遠くを眺める。
部活終わりの部室は、帰り支度を始める部員達で若干のキャパオーバー気味だ。その気が無くとも耳に入ってくる話に、チラチラと黄瀬を伺っている者もいる。
「馬鹿だな森山、いいじゃないか黄瀬が男に惚れたって」
そう口を挟んだのは森山のクラスメイトである男性部員で、森山は「なぜ!?」と声を上げて振り返った。
「黄瀬が男を好きになって、それが噂として広まればどうなる? そう、ファンが減る。黄瀬のファンはどうなると思う」
「……オレに流れてくる」
随分な極論だ。しかし森山の女性に対する妙な思考を理解している部員はうんうんと頷き、森山は黄瀬の肩から腕を解いた。
その手で今度は黄瀬の背中を、ぽんぽんと気味が悪いほど優しく叩く。
「うん。黄瀬、いいと思う。男同士に生まれる愛もあるだろう」
「ちょっと、今の流れはげせないっス」
聞いた相手が悪かったことに今更気付き、黄瀬は肩をがくんと落とした。
割と明るく話したが、実際のところ黄瀬は心底戸惑っている。もし本当に男に惚れたのだとしたら、言いようのないショックで頭がおかしくなりそうだ。
女性は可愛いし、付き合ったことだってある。キスも当然経験があるし、胸が柔らかいことも知っている。
「ま、何にせよ、モデルが終わればそれキリだろ? あの男は次のモデルを探すわけだし、いつか忘れんだろ」
気にすることないって、とまた別の部員が声をかけてくる。
黄瀬はその言葉にゆっくりと目を見開き、静かに首を横に振った。
「それ、すげぇ嫌っス。あの人がほかの男描くなんて、嫌だ……」
先ほどまで仏のような顔で黄瀬を見つめていた森山が、再び顔を真っ青に染める。周りの部員達もざわつき初め、黄瀬は一瞬にしてむさ苦しい男達に取り囲まれた。
口々に飛び交う言葉は、応援メッセージだったり、冷静になれと咎めるものだったり様々だ。
それを遠巻きに一人見ていた笠松は、部室の鍵を握りしめ「さっさと帰れ!」と声を上げた。
(第九話 終)
追加日:2018/12/12
放課後の美術室でのひと時は、一日の中で最も楽しい時間だ。
一方は絵を描き、一方はそのモデル。しかしその実、夕日を背に語らう関係となった。
一日一つと勝手に決めた話題は一向に尽きず、今となっては30分では足りないくらいだ。
「そんで、そん時森山先輩が襲われるぞって言うから、オレすげぇ警戒しちゃってたんスよ。あ、森山先輩ってのは部活の先輩で」
「知ってる。割と細身の人だろ」
「え、そうっスか? ってやっぱチェック済みなんスね!?」
互いのプライベートの話、プロフィールの話、昔話、今の話。
様々な話題を繰り広げたが、咲哉のブレなさはもはや尊敬に値する程だった。ここまで裏表のない人間は、黄瀬が知る限り、この咲哉ともう一人くらいだ。
「森山さんを知ってるのは、黄瀬涼太を見ていたからだけどな」
「……へ?」
「お疲れ様。今日はここまでで良い」
咲哉は何食わぬ顔でそう言うと、画板の底をとんっとテーブルにつけた。
咲哉のこの言葉は、今日の活動はここまでだという合図だ。黄瀬は大概この言葉を聞いて、ようやくいそいそと服を着始める。
しかし、この日の黄瀬は、椅子の背にかけた服を掴もうとしたところで、ピタッと動きを止めた。
「え……もう?」
黄瀬は間の抜けた声を出し、目を壁にかかった時計に移した。
描き始めた瞬間の時間は分からないが、黄瀬がHR直後に美術室へ訪れたのは約15分前。いつものきっかり30分……にはあまりにも満たない。
「めちゃくちゃ早くないっスか? オレは部活だしそれでもいいっスけど……どうしたんスか?」
「もうすぐ描き終わるなと思って」
咲哉は普段通りの淡々とした口調で言うと、手に持っていた画材を机の上に下ろした。
「描き途中を見られるのは恥ずかしいんだ」と咲哉が自身の上裸よりも恥部のように扱い、拝むことのなかったそれが目の前に晒される。
黄瀬は、ここぞとばかりにそれを覗き込み「おおっ」と声を上げた。
「もーこんなに描けてたんスね。すげぇ立体的……」
そこに描かれているのは、自分の体だと分かっても見惚れるほどの肉体だった。
見事なまでに割れた腹筋、ごつごつと筋肉質な腕。かと言って筋肉に覆われているような感じではなく、引き締まった体は適度に細身な印象も与える。
実際のところ、モデル業を初めてから「筋肉付けすぎ!」と担当に叱られることが増え、黄瀬は女子受けするための体づくりに余念が無い。それがしっかりと描き表された肉体は、まさに女性の理想とするものに近いのではないか。
「やー……やっぱ上手いっスね……。絵なんて分かんないけど、それは分かるっスよ」
「でも、黄瀬涼太の体には全然及ばない」
「えぇ? いやむしろ、こんな凄くねぇっつか……」
完成を目前にした絵は、黄瀬からすればどこが足りないのか全く検討もつかない。
ただ終わりが来るのだということがふと現実味を帯び、黄瀬は「あっ」と跳ねるように体を起こした。
「か、描き終わる……これも、終わりってことっスよね」
「あぁ。割ともう、十分に……いや、いくら描いても満足なんてできないんだ。だから、潔く次で終わりにする」
そう言って画材を定位置に戻し始めた咲哉を、黄瀬は呆然と見つめた。
「次で……」
「あぁ。なんだよ、何か言いたいことでもあるのか?」
違和感に似たくすぐったさが、黄瀬の胸の辺りをカサつかせている。その原因は、間違いなくこの絵の状況と現在時刻にある。
「あの、なんで今日終わらせないんスか? まだ時間あんのに」
当然のように湧いて出た疑問が口をつくと、咲哉は微かに眉を下げた。
微妙な表情の変化だが、咲哉の表情筋レベルで言えば割と大きな苦虫を噛み潰したような顔だ。
「……なんでそんな事聞くんだ」
「へ? いや、単純に気になっただけって言うか」
咲哉はムッとへの字に口を結び、黄瀬から目を逸らした。
まるで黄瀬が悪いことを聞いたみたいな態度だ。黄瀬はやけに長く感じる沈黙の中、首を傾け咲哉の顔を覗き込んだ。
「い、言いたくない事情があるんなら、別にいいっスけど……」
「いや。あっさり今日で終わりってのも、味気ないと思ったんだ。違ったなら悪かったな」
黄瀬は思わず「へ?」と間の抜けた声を漏らしていた。
目の前の男は、いつも淡々としていて、声も表情も何考えてるかよく分からないような奴だ。最近でこそ、黄瀬は彼の表情の変化に少しずつ気付けるようになってはいたが、基本的に「我が道をゆくタイプ」である咲哉の事は、読めても理解不能が常だった。
「アンタ……いつからそんな可愛げある人になったんスか」
咲哉は小首を傾げて黄瀬を見上げている。これは「お前こそ、何を言ってる?」っていう顔だ。
黄瀬は呆然と咲哉を凝視し、それからハッと息を吸い込んだ。
「まさか! 今の発言、誰にでも言ってたんスか!? お決まりの締めの言葉だったんスね!?」
「あ……いや、そういえば、こんなこと初めてしたな」
「ウワァ! 可愛げが過ぎる!!」
黄瀬が頭を抱えて蹲ると、やはり咲哉は不思議そうに眉をひそめ、今度は先ほどと反対側に首を傾ける。
その動きが小動物のようで愛らしく、黄瀬はちらと上目に見上げてぶるっと体を震わせた。
背中に夕日を浴びる咲哉の白い肌が、橙色を映している。コントラストがはっきりと浮かび上がり、それこそ絵画のような、非現実的な美しさだ。
自分を見下ろし微笑んだように見えたその人に、黄瀬は柄にもなくドキリと胸を揺らした。
「っていうことがあったんス」
黄瀬の視線の先で、バスケ部の先輩である森山が顔を引きつらせている。
真剣な顔をして「真面目な話っス」と語り始めた後輩に対し、真剣に向き合った数分前の自分を悔いているところだ。
「お前……オレにどんな感想を求めてんだ、その話」
「オレ、どうしちゃったのかなって……。これってもしかして」
「いや待て早まるな!」
森山は掌を黄瀬に向け、言葉を途中で遮ると、腕を黄瀬の肩にぐるりと回して体を引き寄せた。
「いいか? お前は一時的に奴の思考に引きずられてるだけだ。考えてもみろ、男だぞ。確かに可愛い男ってのはたまに見るが、脱がせた時を想像するんだ。……ない。そして、ある」
森山は手を胸の前で何かわし掴むように動かした後、その手を下の方に移動させて同じように何かを掴んだ。
勿論そんなことは分かっているのだ。黄瀬が最初に見たあの男は、薄っぺらい胸を晒した姿をしていた。
「でもあの人、肌白くって、なんかこう……絶対肌触りいいだろうなーって、思うんスよ」
「胸までは分かる、いやオレは分からないが。ついてんだぞ、お前がオカマじゃない以上、あれは愛せないはずだ」
「やっぱ……愛っスか……? オレ、そうなんスかね……」
「あっ」
しまった、早まった。と森山が頭を抱え、黄瀬は呆然と遠くを眺める。
部活終わりの部室は、帰り支度を始める部員達で若干のキャパオーバー気味だ。その気が無くとも耳に入ってくる話に、チラチラと黄瀬を伺っている者もいる。
「馬鹿だな森山、いいじゃないか黄瀬が男に惚れたって」
そう口を挟んだのは森山のクラスメイトである男性部員で、森山は「なぜ!?」と声を上げて振り返った。
「黄瀬が男を好きになって、それが噂として広まればどうなる? そう、ファンが減る。黄瀬のファンはどうなると思う」
「……オレに流れてくる」
随分な極論だ。しかし森山の女性に対する妙な思考を理解している部員はうんうんと頷き、森山は黄瀬の肩から腕を解いた。
その手で今度は黄瀬の背中を、ぽんぽんと気味が悪いほど優しく叩く。
「うん。黄瀬、いいと思う。男同士に生まれる愛もあるだろう」
「ちょっと、今の流れはげせないっス」
聞いた相手が悪かったことに今更気付き、黄瀬は肩をがくんと落とした。
割と明るく話したが、実際のところ黄瀬は心底戸惑っている。もし本当に男に惚れたのだとしたら、言いようのないショックで頭がおかしくなりそうだ。
女性は可愛いし、付き合ったことだってある。キスも当然経験があるし、胸が柔らかいことも知っている。
「ま、何にせよ、モデルが終わればそれキリだろ? あの男は次のモデルを探すわけだし、いつか忘れんだろ」
気にすることないって、とまた別の部員が声をかけてくる。
黄瀬はその言葉にゆっくりと目を見開き、静かに首を横に振った。
「それ、すげぇ嫌っス。あの人がほかの男描くなんて、嫌だ……」
先ほどまで仏のような顔で黄瀬を見つめていた森山が、再び顔を真っ青に染める。周りの部員達もざわつき初め、黄瀬は一瞬にしてむさ苦しい男達に取り囲まれた。
口々に飛び交う言葉は、応援メッセージだったり、冷静になれと咎めるものだったり様々だ。
それを遠巻きに一人見ていた笠松は、部室の鍵を握りしめ「さっさと帰れ!」と声を上げた。
(第九話 終)
追加日:2018/12/12