機械技師
名前
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僕はオルガレーノ・グラウカという人物が少し苦手だ。
この後に控えるゲームに向けて機械人形をメンテナンスしながら、トレイシーは考える。
直接グラウカに何かをされた訳ではない。
むしろ率先してハンター前に立ち、救助時は安全圏まで身を呈して守られることが何度もあった。
ただ、これまでゲーム以外での接点が皆無に等しい。
必然的にグラウカのイメージは、ゲーム中の俊敏過ぎる身のこなしや、あの恐ろしいハンター相手に小さな警棒で渡り合う度胸など、常人離れした部分ばかりが切り出されてしまい、近付き難さに拍車を掛けていた。
(ゲーム中の味方としては頼もしいけど、隣に座るだけでも、ちょっと落ち着かないんだよなぁ…)
「…シー!トレイシー!」
「ほわぁっ!?」
考えごとに没頭しすぎてフィオナの呼びかけに気が付かなかった。
「そろそろ待合室に行きましょう。もうエミリーとオルガレーノは向かってるみたいだよ」
「はいはーい、今行くー!」
ゲームに向けて頭を切り替えるべく、機械人形とリモコンを持って待合室へと向かった。
* * *
ゲームが終わりトレイシー、フィオナ、エミリーはサバイバー居住エリア側の玄関に着いていた。
終盤に、グラウカがレオを引き付けてくれてたお陰で3人は安全に脱出できた。
グラウカも反対側のゲートから脱出したはずだが、まだ合流出来ないのは何故だろう?
「ああっ、オルガレーノも来たね」
フィオナの向く方を見れば、オルガレーノが歩いている所だった。
よく見ると何かを背負っているのか、シルエットが歪に歪んでいる。あれは人だろうか?
サバイバーは全員揃っているのに…
彼女が近づくにつれ、担いでいた正体がわかる。
「あの、これ」
「それ、僕の人形…」
グラウカの背からそっと降ろされたのはトレイシーの機械人形だった。
放っておけばゲーム後に戻ってくるのに…
「そういえば説明してなかったわね。ゲームで使用した道具は、終わった後回収されて持ち主に届けられるのよ」
ハッとしたようにエミリーが説明すると、ああ、そうだったんだと頷くグラウカ。
「今日も助けてもらったばかりだし、なんとなく残してくるのは気が引けて…」
ゲームの詳細を知らないが故にでた、何気ない自然な行動。
それはグラウカの為人を垣間見るには十分なものであった。
「あ、あのっ!!」
「ん?」
そのまま食堂に向かおうとしていたグラウカを呼び止める。
「えっと…人形のことありがとう!それと…僕もさ、レノって呼んでいいかな?エマたちみたいに」
グラウカはというと、突然の申し出に目をまん丸くしていたが、やがてふふっと吹き出した。
「もちろんだよ、トレイシー」
今日はグラウカの…いやレノの新しい面を知ることが出来た。
普段は凛としてクールなのに、笑った時は気の抜けた笑顔になるんだな。
人形の一件でレノともっと話してみたくなったトレイシーは、今度エマたちとのお茶に誘ってみようと心に決め食堂に向かった。
この後に控えるゲームに向けて機械人形をメンテナンスしながら、トレイシーは考える。
直接グラウカに何かをされた訳ではない。
むしろ率先してハンター前に立ち、救助時は安全圏まで身を呈して守られることが何度もあった。
ただ、これまでゲーム以外での接点が皆無に等しい。
必然的にグラウカのイメージは、ゲーム中の俊敏過ぎる身のこなしや、あの恐ろしいハンター相手に小さな警棒で渡り合う度胸など、常人離れした部分ばかりが切り出されてしまい、近付き難さに拍車を掛けていた。
(ゲーム中の味方としては頼もしいけど、隣に座るだけでも、ちょっと落ち着かないんだよなぁ…)
「…シー!トレイシー!」
「ほわぁっ!?」
考えごとに没頭しすぎてフィオナの呼びかけに気が付かなかった。
「そろそろ待合室に行きましょう。もうエミリーとオルガレーノは向かってるみたいだよ」
「はいはーい、今行くー!」
ゲームに向けて頭を切り替えるべく、機械人形とリモコンを持って待合室へと向かった。
* * *
ゲームが終わりトレイシー、フィオナ、エミリーはサバイバー居住エリア側の玄関に着いていた。
終盤に、グラウカがレオを引き付けてくれてたお陰で3人は安全に脱出できた。
グラウカも反対側のゲートから脱出したはずだが、まだ合流出来ないのは何故だろう?
「ああっ、オルガレーノも来たね」
フィオナの向く方を見れば、オルガレーノが歩いている所だった。
よく見ると何かを背負っているのか、シルエットが歪に歪んでいる。あれは人だろうか?
サバイバーは全員揃っているのに…
彼女が近づくにつれ、担いでいた正体がわかる。
「あの、これ」
「それ、僕の人形…」
グラウカの背からそっと降ろされたのはトレイシーの機械人形だった。
放っておけばゲーム後に戻ってくるのに…
「そういえば説明してなかったわね。ゲームで使用した道具は、終わった後回収されて持ち主に届けられるのよ」
ハッとしたようにエミリーが説明すると、ああ、そうだったんだと頷くグラウカ。
「今日も助けてもらったばかりだし、なんとなく残してくるのは気が引けて…」
ゲームの詳細を知らないが故にでた、何気ない自然な行動。
それはグラウカの為人を垣間見るには十分なものであった。
「あ、あのっ!!」
「ん?」
そのまま食堂に向かおうとしていたグラウカを呼び止める。
「えっと…人形のことありがとう!それと…僕もさ、レノって呼んでいいかな?エマたちみたいに」
グラウカはというと、突然の申し出に目をまん丸くしていたが、やがてふふっと吹き出した。
「もちろんだよ、トレイシー」
今日はグラウカの…いやレノの新しい面を知ることが出来た。
普段は凛としてクールなのに、笑った時は気の抜けた笑顔になるんだな。
人形の一件でレノともっと話してみたくなったトレイシーは、今度エマたちとのお茶に誘ってみようと心に決め食堂に向かった。
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