写真家
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
凍てつく寒さの間に顔を覗かせた太陽が空気を温め、僅かに開けた窓からそよぐ風は湿気た部屋に清涼な空気をもたらしている。
「今日はいい天気だよ、。絶好の散歩日和だとは思わない?」
「確かにいい天気だね。だからこそ、こうして本の虫干しをしているんだよ」
今日は珍しくジョゼフも私も午後にゲームの予定がなく、彼は私に散歩でもしないかと誘いに来ていた。
しかし彼には申し訳ないが、晴れ間が広がっている内にこの部屋の湿気と埃を払ってしまわないと、身体の内側がカビてしまいそうでなんとも息苦しい。
その旨を伝えて断ったが、彼は外には戻らずそのまま私の部屋のベッドに腰掛け、こうして雑談をすることを選んだようだ。
「何もこんな日にやらなくてもいいじゃないか」
「今日逃すとまたしばらくゲーム続きになってしまうからね。気にせず行ってくればいいじゃない」
「それは嫌だ」
一緒じゃなきゃ意味が無いだろう、と抱きかかえたクッションに体を預けながらむくれている。
今日の彼は甘えたな気分らしい。
「でも部屋の片付けをやらない訳にもいかないし…あ、ジョゼフが手伝ってくれれば早く終わるかも」
「それも嫌だ」
折衷案を提示したつもりだったがお気に召さなかったらしい。
最初からのってくるとも思っていなかったので別に構わないが。
「…レノは私だけに構っていればいいんだ」
「まったく…とんだ駄々っ子だね」
ジョゼフがクッションに顔を填めて本格的にふて始めたので、本を抱えていた手を一旦止め、彼の隣に座った。
一人分の体重を新たに受けて、マットレスが僅かにこちら側へ傾く。
クッションから目元だけを上げてこちらを見る様子が穴から覗く子猫みたいで可愛くて、緩む頬を自覚しながら頭に手を伸ばす。
「ん!」
「わっ!」
素早くその手を取られたかと気づく前に、引き寄せて彼の腕の中に収められた。
お互い上半身だけ正面を向き合い、腕は胴体ごと抱きすくめられている状態。
「はぁ…レノの匂いだ、安心する」
「あ、ちょっと!くすぐっ…んっ」
ジョゼフは私の耳元に顔を埋めてですぅっと深呼吸すると、ゆっくり息を吐きながら唇で耳をなぞり始めた。
「ふふっ、体温が上がってきたね。レノの香りが強くなってる」
「っ変なこと、言わなくていいから!」
身体を捻って抜け出そうとするが叶うはずもなく、すっかり気を良くした様子の彼はまだ耳元から顔を離さずにいる。
そしてそのまま、ゆっくりと彼は後ろ側へ倒れ込んだ。
ぽすん、と空気の音が小さく響く。
「あーあ……ずっとこうしていたい」
彼が溜息をつくように耳元で呟く。少しひんやりとした大きな手が、私の頭を旋毛から項にかけてゆっくり丁寧に撫でている。
ジョゼフの表情が気になって顔を上げようとしたが、頭に添えられた手に力を込めて阻止されてしまった。
「ジョゼフ…?」
「んー?」
「…いや」
何か彼に言葉をかけたいと思ったが、なんと声をかけたらいいか分からず何も返せなかった。
言葉で返せない代わりに少しでも心に寄り添いたくて、右手でそっと彼の髪を撫で返してみた。
一本一本が絹糸のように細いのに、絡むことなく指を滑る艶やかな髪だ。
ジョゼフは一瞬手を止めたが、やがて方向転換すると私をベットの奥側に寝かせ、お互いに寝そべりながら向き合う体勢になった。
気を悪くしないか少し心配だったが、見ればむしろ彼は嬉しそうにふふっ、と笑みを零している。
「誰かに頭を撫でられたのなんて何年ぶりだろう…レノの手、温かくて安心する」
「そ…良かった」
「やっぱり…レノが好きだ」
「面と向かって言われると、恥ずかしいけど…ありがと」
彼の解けた顔にこちらまで嬉しくなり、髪が絡まないようそっと手を滑らせる。
やがて弛緩して拘束力をなくしたジョゼフの腕がぽとりと滑り落ちた。
白銀の睫毛が縁どる瞼は閉ざされ、規則正しい寝息を立てている。
天使の寝顔とはこの事か…と言いたくなるほど整った寝顔だ。
既に自由の身にはなったが、初めてみるジョゼフの無防備な寝顔から離れてしまうにはまだ惜しい気がする。
明日からはまたハンターとサバイバーという立場で彼と対峙するだろう。
それまでもう少し彼との逢瀬を楽しむか。
そう決めると隣に寝そべったまま暫く彼の寝顔を眺め、額にそっとキスを落とした。
「今日はいい天気だよ、。絶好の散歩日和だとは思わない?」
「確かにいい天気だね。だからこそ、こうして本の虫干しをしているんだよ」
今日は珍しくジョゼフも私も午後にゲームの予定がなく、彼は私に散歩でもしないかと誘いに来ていた。
しかし彼には申し訳ないが、晴れ間が広がっている内にこの部屋の湿気と埃を払ってしまわないと、身体の内側がカビてしまいそうでなんとも息苦しい。
その旨を伝えて断ったが、彼は外には戻らずそのまま私の部屋のベッドに腰掛け、こうして雑談をすることを選んだようだ。
「何もこんな日にやらなくてもいいじゃないか」
「今日逃すとまたしばらくゲーム続きになってしまうからね。気にせず行ってくればいいじゃない」
「それは嫌だ」
一緒じゃなきゃ意味が無いだろう、と抱きかかえたクッションに体を預けながらむくれている。
今日の彼は甘えたな気分らしい。
「でも部屋の片付けをやらない訳にもいかないし…あ、ジョゼフが手伝ってくれれば早く終わるかも」
「それも嫌だ」
折衷案を提示したつもりだったがお気に召さなかったらしい。
最初からのってくるとも思っていなかったので別に構わないが。
「…レノは私だけに構っていればいいんだ」
「まったく…とんだ駄々っ子だね」
ジョゼフがクッションに顔を填めて本格的にふて始めたので、本を抱えていた手を一旦止め、彼の隣に座った。
一人分の体重を新たに受けて、マットレスが僅かにこちら側へ傾く。
クッションから目元だけを上げてこちらを見る様子が穴から覗く子猫みたいで可愛くて、緩む頬を自覚しながら頭に手を伸ばす。
「ん!」
「わっ!」
素早くその手を取られたかと気づく前に、引き寄せて彼の腕の中に収められた。
お互い上半身だけ正面を向き合い、腕は胴体ごと抱きすくめられている状態。
「はぁ…レノの匂いだ、安心する」
「あ、ちょっと!くすぐっ…んっ」
ジョゼフは私の耳元に顔を埋めてですぅっと深呼吸すると、ゆっくり息を吐きながら唇で耳をなぞり始めた。
「ふふっ、体温が上がってきたね。レノの香りが強くなってる」
「っ変なこと、言わなくていいから!」
身体を捻って抜け出そうとするが叶うはずもなく、すっかり気を良くした様子の彼はまだ耳元から顔を離さずにいる。
そしてそのまま、ゆっくりと彼は後ろ側へ倒れ込んだ。
ぽすん、と空気の音が小さく響く。
「あーあ……ずっとこうしていたい」
彼が溜息をつくように耳元で呟く。少しひんやりとした大きな手が、私の頭を旋毛から項にかけてゆっくり丁寧に撫でている。
ジョゼフの表情が気になって顔を上げようとしたが、頭に添えられた手に力を込めて阻止されてしまった。
「ジョゼフ…?」
「んー?」
「…いや」
何か彼に言葉をかけたいと思ったが、なんと声をかけたらいいか分からず何も返せなかった。
言葉で返せない代わりに少しでも心に寄り添いたくて、右手でそっと彼の髪を撫で返してみた。
一本一本が絹糸のように細いのに、絡むことなく指を滑る艶やかな髪だ。
ジョゼフは一瞬手を止めたが、やがて方向転換すると私をベットの奥側に寝かせ、お互いに寝そべりながら向き合う体勢になった。
気を悪くしないか少し心配だったが、見ればむしろ彼は嬉しそうにふふっ、と笑みを零している。
「誰かに頭を撫でられたのなんて何年ぶりだろう…レノの手、温かくて安心する」
「そ…良かった」
「やっぱり…レノが好きだ」
「面と向かって言われると、恥ずかしいけど…ありがと」
彼の解けた顔にこちらまで嬉しくなり、髪が絡まないようそっと手を滑らせる。
やがて弛緩して拘束力をなくしたジョゼフの腕がぽとりと滑り落ちた。
白銀の睫毛が縁どる瞼は閉ざされ、規則正しい寝息を立てている。
天使の寝顔とはこの事か…と言いたくなるほど整った寝顔だ。
既に自由の身にはなったが、初めてみるジョゼフの無防備な寝顔から離れてしまうにはまだ惜しい気がする。
明日からはまたハンターとサバイバーという立場で彼と対峙するだろう。
それまでもう少し彼との逢瀬を楽しむか。
そう決めると隣に寝そべったまま暫く彼の寝顔を眺め、額にそっとキスを落とした。