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白黒無常

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「無咎、さん?」
オルガレーノがゲームに参加するべく待合室に向かっていたところ、今回のハンターの白黒無常らしき姿を見かけたから声をかけた。
思わず疑問形になったのは、手に持った傘以外の風貌が普段の彼と異なりすぎて確信が持てなかったからだ。

「なんだ、間抜けな面して」

整えられた三つ編みのロングヘアは目元にかかるミディアムショートに、詰襟のロングジャケットはラウンドネックの黒シャツ。
シンプルだからこそ身につける者の顔立ちや体型が試される、そんなスタイリングだが、無咎の整った顔立ちを際立たせるの一役買っていた。

「失礼な!ただ…見慣れない格好に驚いただけですよ」
「…そうか」

見蕩れていました、とは言えず咄嗟にそれらしい言い訳をしてみたが、焦りと恥ずかしさでバクバクと心臓が鳴っている。
すると彼は納得したのかオルガレーノの後方に向けて歩みだした。
どうにか誤魔化せたようだ、とほっとして気を緩めかけた時、無咎はすれ違いざまにオルガレーノの肩にポンっと手を置いて言った。

「で、本当はどう思った?」

わざわざ屈んで、耳朶に唇が触れんばかりの距離で囁かれた声は低く落ち着いていて、脳みそに絡みつくような錯覚を覚えるほど蠱惑的だ。

「だ、だからそれはっ「驚いただけでお前はそんな蕩けた顔をするのか?」

表情は見えないが 、彼の声を聞くだけでもわかる。
まるで玩具を見つけた子どものように喜んでいるのだ。

「それは…その……かっこいい、と…」

恥ずかしさを押し込めやっとの思いで言葉を紡げば、益々気を良くした様子の無咎がフッと笑みを零した。

「ゲーム中に見蕩れて、うっかり転ぶなよ」

やっと肩から離れた圧力に気を抜いたが、無咎のペースに翻弄されっぱなしだったのを思い出し、慌てて彼を呼び止める。

「ちょ、ちょっと!」

しかし既に無咎の背中は遠ざかり、ヒラヒラと手を振っていた。
これ以上は何を言っても無駄だろう。

「これからゲームなのに、どんな顔して会えばいいの…」

先程までの会話を思い返して再び羞恥心の波に襲われたオルガレーノは、熱を帯びた顔を両手で覆い、しばらく彼の去った廊下でしゃがみ込んでいた。
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