金狼 「全てのお題をクリアしないと出られない部屋」
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『かいとうしゃ こうたい』
二つ目のお題に切り替わった時と同じ指示が出ている。
その下に次のお題も浮かび上がってきた。
「次は俺か。今度はなんーーー」
「はぁ〜っ良かった!今回もそんなに難しくなさそうだね」
同時に同じお題を見たはずなのに見事に別れた二人の反応。
片や今ここで石化したかの如く固まり、片や安堵の息を漏らしている。
『だきしめる』、それが次の課題だ。
自分の反応との温度差に、お互いに相手へ怪訝そうな顔を向けた。
「よくそんなに冷静でいられるな」
「そ、そんなに固まるほどかな……?」
彼を見ていると、時々本当に銀狼と血が繋がっているのだろうかと失礼な疑問すら浮かんでくる。
「ほら、普通にハグだと思って割り切ればそんなに難しくないんじゃない?」
そう言ってハクアの方から迎え入れるために両手を広げてみせる。
「そ、そういうものか……」
観念したのかハクアに向き直っておずおずと手を伸ばす金狼は、折角落ち着いていたのにまた頬を紅潮をさせている。
大きな掌が着地先を見つけられず出たり引っ込んだりしている様に、ハクアにも自分が実は恥ずかしいことをしようとしているんじゃないかという妙な感覚が芽生え始めてきた。
「そんなに身構えられるとなんか……こっちまで恥ずかしくなるんだけど……」
「ぐっ、す、すまん」
金狼が一歩歩み寄る。
掌が一度肩に触れて、そこからそっと背中に回された。
最低限触れる程度に距離を保って回された腕と、微かに触れる胸元が温かい。
(ど、どうしよう……結構恥ずかしいかも)
初めて鮮明に感じた金狼の体温と匂いに呼応するかのように、ハクアの心臓が早鐘を打ち始める。
そして同時に、何故か寂しい。
(寂しい?……ああ、そうか)
先程金狼の頭を撫でながら聞いて引っかかった「女子」という言葉。
そして今感じている寂しさ。
「女子」という言葉が引っかかったのは、自分以外の女子が同じことを金狼にしたら、と咄嗟に想像したからだ。
今寂しいのは、こんなに近くにいるのに心に隔たりを感じているからだ。
(今、言わないといけない気がする)
「ねぇ、金狼」
「……なんだ」
「ここに閉じ込められた時さ、」
なぜそう思ったのかハクア自身にもよく分からない。
分からないが不思議な確信があって、口を開かずにいられなかった。
「嫌だったし不安だった。けど一緒にいたのが金狼で良かったなって」
「……」
間を置いて反応を伺うも返事はない。
しかし遮られもしなかったので続ける。
「それとさっきのこ、告白……嬉しかった」
相変わらず返事はないが、背中に触れている腕が僅かに身動いだ。
「私も、金狼が好きだよ」
「っ!?」
(言っ……ちゃった……っ!!)
ハクアは最初のお題の時に金狼が赤面していた理由を、身をもって理解した。
確かにこれは恥ずかしい。
「……そうか」
ようやく返ってきたたった一言と共に、強ばっていた金狼の身体が嘘のように脱力していく。
そして今度は、腕にしっかり力を込めてぐっと抱き寄せられた。
より密着した逞しい腕や胸板の感触が、数段鮮明に伝わってくる。
トクン、トクンと鳴る音と振動まで肌から直接感じ取れるほどだ。
カァンッ……カラカラ……
「金狼、鍵空いたんじゃ「まだだ」
ハクアが聞き慣れてきた金属音の方を振り向こうとしたが、金狼に阻まれて叶わなかった。
意図が掴めず顔を上げようにも、金狼の肩に頭を持たれさせた状態で後頭部と腰をがっちり押えられているので首すら回せない。
どうして?と問いたいのに何故か今はそれすらも羞恥を煽る気がして。
結局二人が離れたのは、肌越しに伝わる鼓動が落ち着きを取り戻した後だった。
二つ目のお題に切り替わった時と同じ指示が出ている。
その下に次のお題も浮かび上がってきた。
「次は俺か。今度はなんーーー」
「はぁ〜っ良かった!今回もそんなに難しくなさそうだね」
同時に同じお題を見たはずなのに見事に別れた二人の反応。
片や今ここで石化したかの如く固まり、片や安堵の息を漏らしている。
『だきしめる』、それが次の課題だ。
自分の反応との温度差に、お互いに相手へ怪訝そうな顔を向けた。
「よくそんなに冷静でいられるな」
「そ、そんなに固まるほどかな……?」
彼を見ていると、時々本当に銀狼と血が繋がっているのだろうかと失礼な疑問すら浮かんでくる。
「ほら、普通にハグだと思って割り切ればそんなに難しくないんじゃない?」
そう言ってハクアの方から迎え入れるために両手を広げてみせる。
「そ、そういうものか……」
観念したのかハクアに向き直っておずおずと手を伸ばす金狼は、折角落ち着いていたのにまた頬を紅潮をさせている。
大きな掌が着地先を見つけられず出たり引っ込んだりしている様に、ハクアにも自分が実は恥ずかしいことをしようとしているんじゃないかという妙な感覚が芽生え始めてきた。
「そんなに身構えられるとなんか……こっちまで恥ずかしくなるんだけど……」
「ぐっ、す、すまん」
金狼が一歩歩み寄る。
掌が一度肩に触れて、そこからそっと背中に回された。
最低限触れる程度に距離を保って回された腕と、微かに触れる胸元が温かい。
(ど、どうしよう……結構恥ずかしいかも)
初めて鮮明に感じた金狼の体温と匂いに呼応するかのように、ハクアの心臓が早鐘を打ち始める。
そして同時に、何故か寂しい。
(寂しい?……ああ、そうか)
先程金狼の頭を撫でながら聞いて引っかかった「女子」という言葉。
そして今感じている寂しさ。
「女子」という言葉が引っかかったのは、自分以外の女子が同じことを金狼にしたら、と咄嗟に想像したからだ。
今寂しいのは、こんなに近くにいるのに心に隔たりを感じているからだ。
(今、言わないといけない気がする)
「ねぇ、金狼」
「……なんだ」
「ここに閉じ込められた時さ、」
なぜそう思ったのかハクア自身にもよく分からない。
分からないが不思議な確信があって、口を開かずにいられなかった。
「嫌だったし不安だった。けど一緒にいたのが金狼で良かったなって」
「……」
間を置いて反応を伺うも返事はない。
しかし遮られもしなかったので続ける。
「それとさっきのこ、告白……嬉しかった」
相変わらず返事はないが、背中に触れている腕が僅かに身動いだ。
「私も、金狼が好きだよ」
「っ!?」
(言っ……ちゃった……っ!!)
ハクアは最初のお題の時に金狼が赤面していた理由を、身をもって理解した。
確かにこれは恥ずかしい。
「……そうか」
ようやく返ってきたたった一言と共に、強ばっていた金狼の身体が嘘のように脱力していく。
そして今度は、腕にしっかり力を込めてぐっと抱き寄せられた。
より密着した逞しい腕や胸板の感触が、数段鮮明に伝わってくる。
トクン、トクンと鳴る音と振動まで肌から直接感じ取れるほどだ。
カァンッ……カラカラ……
「金狼、鍵空いたんじゃ「まだだ」
ハクアが聞き慣れてきた金属音の方を振り向こうとしたが、金狼に阻まれて叶わなかった。
意図が掴めず顔を上げようにも、金狼の肩に頭を持たれさせた状態で後頭部と腰をがっちり押えられているので首すら回せない。
どうして?と問いたいのに何故か今はそれすらも羞恥を煽る気がして。
結局二人が離れたのは、肌越しに伝わる鼓動が落ち着きを取り戻した後だった。
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