金狼 「全てのお題をクリアしないと出られない部屋」
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……どうやらクリアしたようだな」
既に落ち着いたのか、静かに金狼が言う。
「そ、そうだね」
(こ、この状況、一体どうしたら!?)
一方ハクアは顔の熱感こそ治まったものの、いまだに心臓がバクバクと鳴り続けている。
「ねぇき「おい、また動き出したぞ」
「聞き流ししてくれ」と言われても無理な話で、声をかけようと試みたが金狼の言葉で遮られた。
押し切ってまでこの話題を続ける勇気もなく、言われるがまま壁をみる。
「『か』『い』『と』……『かいとうしゃ こうたい』か。辛うじて俺でも読めるな」
「なんでまた急にひらがなに……?」
先程は漢字で書かれていたのに、今度はひらがなに切り替わっているのは金狼でも読めるようにということか。
そんな気遣いが出来るなら今すぐここから出してくれと言いたい気持ちをぐっと堪え、ハクアは引き続き壁を見守る。
先程のお題の回答者が金狼で、それが交代するなら次は自分の番と理解したからだ。
例の如くじわじわ動く文字は、お題を指示して止まった。
「『あたま を なでる』か」
「変なお題だね。分かりやすいけど」
やはりお題の目的は見えないが、幸いやることは単純明快だ。
「金狼、いい?」
「ああ、構わん」
ハクアは金狼の顎に額が被る程度の背丈はある。
伸ばせば普通に手は届くのに、相変わらず律儀な彼は少し屈んで撫でやすいように頭を差し出した。
そっと手を伸ばし、どこから手を置くべきか一瞬迷ってから、頭頂よりやや右側面に下ろした。
そこからゆっくり手を下ろし、耳に手が触れそうなところでまた上に戻る。
毛質は硬めだが艶があり、毛流れに沿ってスルスルと手が進むのが指に気持ちいい。
(もう少し抵抗するかと思ったのに、意外)
てっきり「大の男が撫でられるなど」とでも言うかと思ったが、存外大人しく撫でられている。
ハクアとしてはありがたい限りだ。
「まさかこの歳で、しかも女子に頭を撫でられるとはな。……妙な気分だ」
それでも面映ゆさはあるのか、目線はそっぽを向いたまま金狼が呟く。
「ふふ、この歳になるとなかなか頭を撫でられる機会なんてないよね」
(女子、か)
何気ないはずの会話がほんの少し、ハクアの心に引っかかる。
金狼は思ったことを口にしただけで、特に他意はないようだ。
なのに何故、何が引っかかったのだろう?
カタンッ……カァンッ……
ハクアの自問への答えを待たずに、二つ目の錠が床に落ちた。
既に落ち着いたのか、静かに金狼が言う。
「そ、そうだね」
(こ、この状況、一体どうしたら!?)
一方ハクアは顔の熱感こそ治まったものの、いまだに心臓がバクバクと鳴り続けている。
「ねぇき「おい、また動き出したぞ」
「聞き流ししてくれ」と言われても無理な話で、声をかけようと試みたが金狼の言葉で遮られた。
押し切ってまでこの話題を続ける勇気もなく、言われるがまま壁をみる。
「『か』『い』『と』……『かいとうしゃ こうたい』か。辛うじて俺でも読めるな」
「なんでまた急にひらがなに……?」
先程は漢字で書かれていたのに、今度はひらがなに切り替わっているのは金狼でも読めるようにということか。
そんな気遣いが出来るなら今すぐここから出してくれと言いたい気持ちをぐっと堪え、ハクアは引き続き壁を見守る。
先程のお題の回答者が金狼で、それが交代するなら次は自分の番と理解したからだ。
例の如くじわじわ動く文字は、お題を指示して止まった。
「『あたま を なでる』か」
「変なお題だね。分かりやすいけど」
やはりお題の目的は見えないが、幸いやることは単純明快だ。
「金狼、いい?」
「ああ、構わん」
ハクアは金狼の顎に額が被る程度の背丈はある。
伸ばせば普通に手は届くのに、相変わらず律儀な彼は少し屈んで撫でやすいように頭を差し出した。
そっと手を伸ばし、どこから手を置くべきか一瞬迷ってから、頭頂よりやや右側面に下ろした。
そこからゆっくり手を下ろし、耳に手が触れそうなところでまた上に戻る。
毛質は硬めだが艶があり、毛流れに沿ってスルスルと手が進むのが指に気持ちいい。
(もう少し抵抗するかと思ったのに、意外)
てっきり「大の男が撫でられるなど」とでも言うかと思ったが、存外大人しく撫でられている。
ハクアとしてはありがたい限りだ。
「まさかこの歳で、しかも女子に頭を撫でられるとはな。……妙な気分だ」
それでも面映ゆさはあるのか、目線はそっぽを向いたまま金狼が呟く。
「ふふ、この歳になるとなかなか頭を撫でられる機会なんてないよね」
(女子、か)
何気ないはずの会話がほんの少し、ハクアの心に引っかかる。
金狼は思ったことを口にしただけで、特に他意はないようだ。
なのに何故、何が引っかかったのだろう?
カタンッ……カァンッ……
ハクアの自問への答えを待たずに、二つ目の錠が床に落ちた。