龍水
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「おかえり……って、また怪我だらけになってるし」
造船作業をした後、探索から戻った後、その他もろもろ。
龍水はいつも怪我を負って帰ってくる。
今日も例外でなく、あちこちに擦り傷や切り傷ができている。
こんなことだろうと思い、あらかじめ用意していた医療キットが案の定役立ってしまった。
「探索をすれば森を抜けるし海にも出る。多少の怪我は付き物だ!それに相応の成果は得られている」
「まあ確かにそうなんだけどね…はい、終わったよ。お大事にね」
上手く言葉に出来ないモヤモヤを吹っ切るように、使い終わった道具を手早く片す。
龍水から目を逸らしたくて海を眺めれば、いつの間にか西陽が凪いだ海に差し込んでいた。
「おい」
「んー?」
「…怒っているのか?」
「いーや」
別に、怒っている訳では無い。
ただ「欲しい」のために他がお留守になってしまう奔放さを見ているのは、勝手に心配している身とはいえなかなか堪えるものがあった。
足音が近づいてきて、背後で止まる。
二人の間を、潮風が吹き抜けていく。
「ハクア、」
背中越しに呼びかけるいつもの声。
私の耳によく通る、大好きな声。
「俺には俺のやるべきことがある。そして俺の『欲しい』を諦める気もない」
「うん」
「これからも必要があれば森を抜けるし海にも出る。洞窟にだって入るかもしれん」
「…うん」
わかっている。
龍水の「欲しい」は誰にも、彼自身にも止められない。
そのために必要な賭け金があるなら、躊躇わず賭けるのが龍水だ。
「だが俺は必ず帰ってくる」
「うん」
「それにハクア、貴様ならどんな怪我をしても、必ず見つけて治してくれるだろう?」
「まぁその通りだけど…程々にね」
まるで自分の話をするかのように、あまりにも自信満々に言い切るのがおかしくて、つい笑った。
「…ハクア」
「んー?」
何かを伺うように声をかける龍水。
何が言いたいかは分かってる、でももう少し。
怒っている訳では無いが、なんとなく素直に振り向くのも癪で、もう少し粘りたくなってしまう。
さらに一歩、近づく足音。穏やかな波の音が心地よく響いている。
不意に髪が軽く引かれ、何かが触れる感触がした。
さすがに知らん振り出来ず振り返ると、風に靡いたひと房を掬い、愛おしげに口付けている龍水。
ゆっくりこちらを見上げる瞳に目を奪われる。
「なっ…にして…」
「…やっと、こっちを向いてくれたな」
いつも威勢よく「はっはー!!」なんて豪快に笑っているくせに、眉を開いて、そんな安心したように目を細められたら。
(な、んて…キザな…っ!!)
もう思い悩むどころじゃなくて、
どうしようもなく胸が高鳴って、
結局許してしまうのだ。
造船作業をした後、探索から戻った後、その他もろもろ。
龍水はいつも怪我を負って帰ってくる。
今日も例外でなく、あちこちに擦り傷や切り傷ができている。
こんなことだろうと思い、あらかじめ用意していた医療キットが案の定役立ってしまった。
「探索をすれば森を抜けるし海にも出る。多少の怪我は付き物だ!それに相応の成果は得られている」
「まあ確かにそうなんだけどね…はい、終わったよ。お大事にね」
上手く言葉に出来ないモヤモヤを吹っ切るように、使い終わった道具を手早く片す。
龍水から目を逸らしたくて海を眺めれば、いつの間にか西陽が凪いだ海に差し込んでいた。
「おい」
「んー?」
「…怒っているのか?」
「いーや」
別に、怒っている訳では無い。
ただ「欲しい」のために他がお留守になってしまう奔放さを見ているのは、勝手に心配している身とはいえなかなか堪えるものがあった。
足音が近づいてきて、背後で止まる。
二人の間を、潮風が吹き抜けていく。
「ハクア、」
背中越しに呼びかけるいつもの声。
私の耳によく通る、大好きな声。
「俺には俺のやるべきことがある。そして俺の『欲しい』を諦める気もない」
「うん」
「これからも必要があれば森を抜けるし海にも出る。洞窟にだって入るかもしれん」
「…うん」
わかっている。
龍水の「欲しい」は誰にも、彼自身にも止められない。
そのために必要な賭け金があるなら、躊躇わず賭けるのが龍水だ。
「だが俺は必ず帰ってくる」
「うん」
「それにハクア、貴様ならどんな怪我をしても、必ず見つけて治してくれるだろう?」
「まぁその通りだけど…程々にね」
まるで自分の話をするかのように、あまりにも自信満々に言い切るのがおかしくて、つい笑った。
「…ハクア」
「んー?」
何かを伺うように声をかける龍水。
何が言いたいかは分かってる、でももう少し。
怒っている訳では無いが、なんとなく素直に振り向くのも癪で、もう少し粘りたくなってしまう。
さらに一歩、近づく足音。穏やかな波の音が心地よく響いている。
不意に髪が軽く引かれ、何かが触れる感触がした。
さすがに知らん振り出来ず振り返ると、風に靡いたひと房を掬い、愛おしげに口付けている龍水。
ゆっくりこちらを見上げる瞳に目を奪われる。
「なっ…にして…」
「…やっと、こっちを向いてくれたな」
いつも威勢よく「はっはー!!」なんて豪快に笑っているくせに、眉を開いて、そんな安心したように目を細められたら。
(な、んて…キザな…っ!!)
もう思い悩むどころじゃなくて、
どうしようもなく胸が高鳴って、
結局許してしまうのだ。
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