「台詞で書く」シリーズ
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「レノ、こんな夜に出歩くのか」
「うん。化膿止めと解熱剤を切らしちゃったから補充しに行かないと」
ラボでの作業に区切りがついたので一旦家に戻ろうとしたところ、龍水に呼び止められた。
「明日の朝じゃダメなのか?」
「そうしたいところだけど…いつ何があるか分からないし、余裕があるときに備えておかないと」
「フゥン、なら俺も行こう」
「いや、それは悪いからいいよ」
オルガレーノは椅子から腰を上げた龍水を慌てて制止する。
ありがたい申し出だが心苦しい。
「夜道を1人で歩かせる訳には行かん」
「でも…」
「…あくまで聞く気なし、か」
眉間に皺を寄せた龍水は、部屋を出ようとしていたオルガレーノの進路を長い腕で阻んだ。
彼女が方向転換して逃れようとすれば、もう片方の腕でそちらも塞ぎ、壁と自分の体で閉じ込める。
「ちょっと、龍すー「こんな夜中に出歩かれて、心配にならないわけが無いだろう」
そして強引な足止めへの抗議すら、真剣な眼差しで遮られた。
「俺がお前のことを好きだと、分かってやってるのか?」
「…っ」
今まで龍水の言動からもしかして、と思うことはあった。
少人数グループで行動する時は、ほぼ毎回龍水チームに指名される。
一日の作業が終わった後は、必ず家まで送るか龍水の家に泊めるかしてくれる。
他の人に対してと比較すると、明らかに頻度が高かった。
しかしいざ本人の口から聞かされると、嬉しさと戸惑いが綯い交ぜになり返答に窮してしまう。
「分、からない…龍水のことは好きだけど、そういう好きじゃない…気がするし」
真っ直ぐ過ぎる龍水の言葉と眼差しに、嘘や誤魔化しで返すのは嫌で、正直な気持ちを打ち明けた。
「……そうか」
龍水は何かを探るように瞳を覗き込み、ぽつりと一言呟いた。
名残惜しそうにゆっくりと両腕を退かし、
壁から離した手で彼女の左手を掬いあげる。
そのまま薬指の付け根にそっと口付けて言った。
「はっはー!今はそれで構わん!!…だが忘れるな。俺は必ず、お前を手に入れる」
自信満々な笑みに、つり上がった口角から覗く白い八重歯。
今までならいつもの七海龍水に戻ったと安心して「またそんなことを」と一笑に付したのに。
「はいはい…そうかもね」
そう出来なかったのは、ほんの一瞬垣間見えた寂しげな表情に気付けるくらい、彼を意識してしまったからだろうか。
「うん。化膿止めと解熱剤を切らしちゃったから補充しに行かないと」
ラボでの作業に区切りがついたので一旦家に戻ろうとしたところ、龍水に呼び止められた。
「明日の朝じゃダメなのか?」
「そうしたいところだけど…いつ何があるか分からないし、余裕があるときに備えておかないと」
「フゥン、なら俺も行こう」
「いや、それは悪いからいいよ」
オルガレーノは椅子から腰を上げた龍水を慌てて制止する。
ありがたい申し出だが心苦しい。
「夜道を1人で歩かせる訳には行かん」
「でも…」
「…あくまで聞く気なし、か」
眉間に皺を寄せた龍水は、部屋を出ようとしていたオルガレーノの進路を長い腕で阻んだ。
彼女が方向転換して逃れようとすれば、もう片方の腕でそちらも塞ぎ、壁と自分の体で閉じ込める。
「ちょっと、龍すー「こんな夜中に出歩かれて、心配にならないわけが無いだろう」
そして強引な足止めへの抗議すら、真剣な眼差しで遮られた。
「俺がお前のことを好きだと、分かってやってるのか?」
「…っ」
今まで龍水の言動からもしかして、と思うことはあった。
少人数グループで行動する時は、ほぼ毎回龍水チームに指名される。
一日の作業が終わった後は、必ず家まで送るか龍水の家に泊めるかしてくれる。
他の人に対してと比較すると、明らかに頻度が高かった。
しかしいざ本人の口から聞かされると、嬉しさと戸惑いが綯い交ぜになり返答に窮してしまう。
「分、からない…龍水のことは好きだけど、そういう好きじゃない…気がするし」
真っ直ぐ過ぎる龍水の言葉と眼差しに、嘘や誤魔化しで返すのは嫌で、正直な気持ちを打ち明けた。
「……そうか」
龍水は何かを探るように瞳を覗き込み、ぽつりと一言呟いた。
名残惜しそうにゆっくりと両腕を退かし、
壁から離した手で彼女の左手を掬いあげる。
そのまま薬指の付け根にそっと口付けて言った。
「はっはー!今はそれで構わん!!…だが忘れるな。俺は必ず、お前を手に入れる」
自信満々な笑みに、つり上がった口角から覗く白い八重歯。
今までならいつもの七海龍水に戻ったと安心して「またそんなことを」と一笑に付したのに。
「はいはい…そうかもね」
そう出来なかったのは、ほんの一瞬垣間見えた寂しげな表情に気付けるくらい、彼を意識してしまったからだろうか。
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