「台詞で書く」シリーズ
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朽ちた切り株に腰掛け、痛みを堪えながら脚絆を外した。
素足を確認したら思った通り、先日川の石で切った傷が膿んで腫れ上がっている。
(どうも痛むと思ったら…これは後引きそうだな)
「おい、オルガレーノ。ここにーーーあ゛?」
「あっ」
皆が狩りや燃料集めで出払う時を見計らったというのに、折悪く引き返してきた尾形としっかり目線があった。
尾形は剥き出しの足に、続けて手の小さな刃物に目線をやり、盛大なため息と舌打ちを漏らす。
不機嫌な顔のままこちらにズカズカ寄ってくるから、反射的に逃げそうになるのをどうにか堪えた。
「お前な……貸せ」
足元にしゃがみ込む、手の小刀を奪い取る、足を持ち上げて傷口を見る、までの動作がキビキビしていて「ああ、さすが軍人さんだなぁ」なんて呑気に考えてしまう。
「どうしてこんなになるまで黙っていた」
こちらを睨む黒い瞳が、眉間の皺に押されて鋭くなる一方だ。
「す、すみません…皆に迷惑かけるわけにはと思って…」
「こういうことは黙ってた方が迷惑なんだよ」
「はい…」
反論の余地なく言い返され、口を閉ざすしかなくなった。
なんだかんだ言いつつ手を休めない尾形は、流れるように処置を進めていく。
綺麗に巻かれた包帯を結び、手当は終わり。
「ありがとう…尾形さんも、人の世話焼いてくれたりするんだね」
「あ゛っ?」
「あっ」
今のは完全に悪手だった。
立ち上がった尾形が、今度はこちらを見下ろしながら眉間に皺を寄せる。
「あ、今のはナシで…」
「あー…今のは傷ついたな」
右手で頭を抱え、わざとらしくため息をつく様に本気で怒ってはないと悟り少し安心した。
頭を抱えていた手をおろし、そのままオルガレーノの頬に添える。
「俺は元から親切で世話好きだぜ?」
ざらついた男性の大きな手、交わる視線と上がった口角に不覚にも少しときめいて…
「い゛っ、いひゃいいひゃいっ!!」
そのまま抓られた。
今まで少し怖いと思っていたが、彼は意外とお茶目な人だ。
ニヤリと笑った時に八重歯が覗くところとか、膿を絞り出された痛みで「うぐっ」と呻いてしまった時、驚いた猫みたいにビクついたところとか。
「ははッ」
満足したのか、抓っていた指が離れていく。
抓られた痛みなのか、離れた指の名残惜しさなのか、暫く頬がほんのり熱を放っていた。
素足を確認したら思った通り、先日川の石で切った傷が膿んで腫れ上がっている。
(どうも痛むと思ったら…これは後引きそうだな)
「おい、オルガレーノ。ここにーーーあ゛?」
「あっ」
皆が狩りや燃料集めで出払う時を見計らったというのに、折悪く引き返してきた尾形としっかり目線があった。
尾形は剥き出しの足に、続けて手の小さな刃物に目線をやり、盛大なため息と舌打ちを漏らす。
不機嫌な顔のままこちらにズカズカ寄ってくるから、反射的に逃げそうになるのをどうにか堪えた。
「お前な……貸せ」
足元にしゃがみ込む、手の小刀を奪い取る、足を持ち上げて傷口を見る、までの動作がキビキビしていて「ああ、さすが軍人さんだなぁ」なんて呑気に考えてしまう。
「どうしてこんなになるまで黙っていた」
こちらを睨む黒い瞳が、眉間の皺に押されて鋭くなる一方だ。
「す、すみません…皆に迷惑かけるわけにはと思って…」
「こういうことは黙ってた方が迷惑なんだよ」
「はい…」
反論の余地なく言い返され、口を閉ざすしかなくなった。
なんだかんだ言いつつ手を休めない尾形は、流れるように処置を進めていく。
綺麗に巻かれた包帯を結び、手当は終わり。
「ありがとう…尾形さんも、人の世話焼いてくれたりするんだね」
「あ゛っ?」
「あっ」
今のは完全に悪手だった。
立ち上がった尾形が、今度はこちらを見下ろしながら眉間に皺を寄せる。
「あ、今のはナシで…」
「あー…今のは傷ついたな」
右手で頭を抱え、わざとらしくため息をつく様に本気で怒ってはないと悟り少し安心した。
頭を抱えていた手をおろし、そのままオルガレーノの頬に添える。
「俺は元から親切で世話好きだぜ?」
ざらついた男性の大きな手、交わる視線と上がった口角に不覚にも少しときめいて…
「い゛っ、いひゃいいひゃいっ!!」
そのまま抓られた。
今まで少し怖いと思っていたが、彼は意外とお茶目な人だ。
ニヤリと笑った時に八重歯が覗くところとか、膿を絞り出された痛みで「うぐっ」と呻いてしまった時、驚いた猫みたいにビクついたところとか。
「ははッ」
満足したのか、抓っていた指が離れていく。
抓られた痛みなのか、離れた指の名残惜しさなのか、暫く頬がほんのり熱を放っていた。