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納涼所【直哉】
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直哉が肩を落とすのが分かって私は罪悪感に苛まれる。
「しゃあなし、行き先変更や。ちょっと歩くけど、俺につかまっとったら大丈夫やから。」
「うん」
祭りの景色があって、河川にたどり着いた。
こっちは真っ暗だった。暗かったのに直哉は進んでいく。黒く紛れて見えない道の真ん中に、お月様が見える。
「真っ黒だねこの道」
「せやな夜の闇に揉まれて消えてしもうたみたいで、かっこええわ
カッコいい?私にはわからなかった
全然かっこよくないよ行き先がわからなくて私は怖いよ
「待ってよ直哉ぁ」
「じゃああんさんは灰色やなあやふやでしょーもないで」
直哉は懐中電灯を渡してくれた。握られた手が温かかった。黒でもお月様みたいな白でもない灰色って中途半端でいやだな。灰色は好きでも嫌いでもなかったが、直哉に言われるとに嫌な気分になる。
水の音がして直哉が吸い込まれるように向こうに行ってしまった。闇が深くなる。
ほとりには川が流れているようだった。
直哉はずっと川を眺めてた。ジャボジャボという落ち着きがない。
こんな曇天の景色見るまでもないのに直哉は興味津々だった。
足に草が纏わり付き気持ち悪い。遠くの直哉を見つめる。
「見て、夜明けやで」
「わー」
白んだ水平線には薄く靄が掛かり、暗い海を青く闇が引いていく。初めて見る夜明けだった。私は足に付いた泥を払い、直哉と並んで空を見上げた。これほど美しかったのか。
今まで閉鎖的で排除されたようなそんな世界にいた。
朝焼けに照らされる直哉の顔をずっと見る。橙色に引き、綺麗だと思った。
「わーキレー」
不意に人には平等に光は照り付けるのだと昔何処かで誰かから聞いたようなそんな言葉が浮かんでくる。あれは誰だったか。朧げな記憶を辿れば私を育ててくれた祖母だった。
だけどはじき出された私たち呪術師は局外者でしかなくて、生きていても死んでいても普通の人間らしい豊かな生活を送れる日など来ないと頭のどこかで諦めているような気がした。私の声はきっと誰にも届かない。何うじうじと悩んでいるのかと見下され、悩みを矮小化され、笑われる。個人を追放する事でしか社会は成り立ってはいかないのだから。ずっとそんな風にしていたから。でも本当は信じているの。子供の頃に見た夢のように美しい空想を。私が思い描く理想を。
溢れんばかりの太陽に照らされながら普通の人間らしい生活がしてみたかった。きっと普通の人は呪霊なんてものの存在すら知らず、一生縁もなく暮らしていくだろう。なら何で直哉は私にこの景色を見せたのだろう。
直哉。
直哉は私の顔を見て微笑んでくれた。
「お前と見られてよかった」
と言った。ああそうだ普通なんだ。私はその言葉の真意を飲み込めず半開きになっていた口を閉じ頷く。直哉はいつも先を行く。
聞こえたと思ったんだろう、直哉は私を見ると満足そうに優しく微笑む。
が頷き返した。
「朝日がこんなに綺麗だとは思わなかった」
虫の音のするまま団扇を仰いだ夏を、たくさん走った後の夕焼けを。空はいつでも変わらない青空。
「なぁ俺はいつかこの向こうに行くねんお前の夢は何や?」
私の妄想に対していつも切り捨てる癖に直哉は夢は何だとらしくない事を聞いてきた。
「何しよ」
「とりあえず人助けをするかな」
「他は?」
「お金持ちになる!
...あとは良い人見つけるとか?」
「フン、少な 名前らしいわ」
「う...」
「ふん、俺はなぁ」
直哉が考え込んで空気が一瞬揺らいだような気がした。静かな空でほっと息をしたあと直哉は呟いた。
そんな幼い頃の夢の話。いい思い出のはずなのにおかしい、夢の中の私は次第に焦りだし、直哉はどんどん遠くにいってしまう。真っ暗な道を、お月様を目指して。止めても直哉は怒鳴るばかり。私は一緒に行きたかった。なのにお前は半端やからといって話を聞いてくれず、投げ出される。
「俺...何もないかもしれん」
「ないの?折角自由になれたのに」
私が揶揄うと何やねんイジんなや、といつものようなリアクションをして半笑いな直哉
やがて笑うのも落ち着き空を見つめると直哉も何も言わなくなった。
「そっかぁ何もないかぁ」
「変やろか」
不安げな表情をしていた。
「ううん私もないかもしれない、絶対やるぞってほどじゃ。何でだろう、家から抜け出したいって思いはあったのに。
何か変わるかななんて期待していたのにつまんないの」
「なら俺ら二人ともないわなぁ」
「ふふっそうだね」
希望がないと生きてちゃいけんのやって
そんなはず無いよ。
「無いはず、だよ」
「反抗するって意外といい事だね」
「ふん、せやねん楽しいやろ」
一呼吸おいて直哉は言った。
「名前、またいつかここ来て?」
というと直哉の表情はいつになく真剣だった。約束やから。手を繋ぐ。
「しゃあなし、行き先変更や。ちょっと歩くけど、俺につかまっとったら大丈夫やから。」
「うん」
祭りの景色があって、河川にたどり着いた。
こっちは真っ暗だった。暗かったのに直哉は進んでいく。黒く紛れて見えない道の真ん中に、お月様が見える。
「真っ黒だねこの道」
「せやな夜の闇に揉まれて消えてしもうたみたいで、かっこええわ
カッコいい?私にはわからなかった
全然かっこよくないよ行き先がわからなくて私は怖いよ
「待ってよ直哉ぁ」
「じゃああんさんは灰色やなあやふやでしょーもないで」
直哉は懐中電灯を渡してくれた。握られた手が温かかった。黒でもお月様みたいな白でもない灰色って中途半端でいやだな。灰色は好きでも嫌いでもなかったが、直哉に言われるとに嫌な気分になる。
水の音がして直哉が吸い込まれるように向こうに行ってしまった。闇が深くなる。
ほとりには川が流れているようだった。
直哉はずっと川を眺めてた。ジャボジャボという落ち着きがない。
こんな曇天の景色見るまでもないのに直哉は興味津々だった。
足に草が纏わり付き気持ち悪い。遠くの直哉を見つめる。
「見て、夜明けやで」
「わー」
白んだ水平線には薄く靄が掛かり、暗い海を青く闇が引いていく。初めて見る夜明けだった。私は足に付いた泥を払い、直哉と並んで空を見上げた。これほど美しかったのか。
今まで閉鎖的で排除されたようなそんな世界にいた。
朝焼けに照らされる直哉の顔をずっと見る。橙色に引き、綺麗だと思った。
「わーキレー」
不意に人には平等に光は照り付けるのだと昔何処かで誰かから聞いたようなそんな言葉が浮かんでくる。あれは誰だったか。朧げな記憶を辿れば私を育ててくれた祖母だった。
だけどはじき出された私たち呪術師は局外者でしかなくて、生きていても死んでいても普通の人間らしい豊かな生活を送れる日など来ないと頭のどこかで諦めているような気がした。私の声はきっと誰にも届かない。何うじうじと悩んでいるのかと見下され、悩みを矮小化され、笑われる。個人を追放する事でしか社会は成り立ってはいかないのだから。ずっとそんな風にしていたから。でも本当は信じているの。子供の頃に見た夢のように美しい空想を。私が思い描く理想を。
溢れんばかりの太陽に照らされながら普通の人間らしい生活がしてみたかった。きっと普通の人は呪霊なんてものの存在すら知らず、一生縁もなく暮らしていくだろう。なら何で直哉は私にこの景色を見せたのだろう。
直哉。
直哉は私の顔を見て微笑んでくれた。
「お前と見られてよかった」
と言った。ああそうだ普通なんだ。私はその言葉の真意を飲み込めず半開きになっていた口を閉じ頷く。直哉はいつも先を行く。
聞こえたと思ったんだろう、直哉は私を見ると満足そうに優しく微笑む。
が頷き返した。
「朝日がこんなに綺麗だとは思わなかった」
虫の音のするまま団扇を仰いだ夏を、たくさん走った後の夕焼けを。空はいつでも変わらない青空。
「なぁ俺はいつかこの向こうに行くねんお前の夢は何や?」
私の妄想に対していつも切り捨てる癖に直哉は夢は何だとらしくない事を聞いてきた。
「何しよ」
「とりあえず人助けをするかな」
「他は?」
「お金持ちになる!
...あとは良い人見つけるとか?」
「フン、少な 名前らしいわ」
「う...」
「ふん、俺はなぁ」
直哉が考え込んで空気が一瞬揺らいだような気がした。静かな空でほっと息をしたあと直哉は呟いた。
そんな幼い頃の夢の話。いい思い出のはずなのにおかしい、夢の中の私は次第に焦りだし、直哉はどんどん遠くにいってしまう。真っ暗な道を、お月様を目指して。止めても直哉は怒鳴るばかり。私は一緒に行きたかった。なのにお前は半端やからといって話を聞いてくれず、投げ出される。
「俺...何もないかもしれん」
「ないの?折角自由になれたのに」
私が揶揄うと何やねんイジんなや、といつものようなリアクションをして半笑いな直哉
やがて笑うのも落ち着き空を見つめると直哉も何も言わなくなった。
「そっかぁ何もないかぁ」
「変やろか」
不安げな表情をしていた。
「ううん私もないかもしれない、絶対やるぞってほどじゃ。何でだろう、家から抜け出したいって思いはあったのに。
何か変わるかななんて期待していたのにつまんないの」
「なら俺ら二人ともないわなぁ」
「ふふっそうだね」
希望がないと生きてちゃいけんのやって
そんなはず無いよ。
「無いはず、だよ」
「反抗するって意外といい事だね」
「ふん、せやねん楽しいやろ」
一呼吸おいて直哉は言った。
「名前、またいつかここ来て?」
というと直哉の表情はいつになく真剣だった。約束やから。手を繋ぐ。