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納涼所【直哉】
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その日、私たちは内緒で外に出かけた。
まだ私が小さかったころのこと、大人たちには内緒で河川敷で遊ぼうよ、と私は密かな計画を直哉に話した。子供用の袴。それ
吊り目で、私より背が高かった直哉は頬を赤く染めて興奮しながら言った。
目をキラキラさせていた。
「ええやん」
その時は私もまだ小さい子供で、直哉より背が高く、短髪でこちらを覗き込む直哉に可愛さを覚えたものだ。背の高い納屋から鍵を盗んできて、持ってきたものだった。
屋敷の地図をいつの間にか盗み出しており、それを広げると埃っぽく、私と直哉はほぼ同時に咳をした。
「ゴホゴホ」
「アカン、こんな汚いって知らんかったわ」
目を擦る直哉。
ぐりぐりしているのが可笑しくてつい笑ってしまう。
「何笑うてんねん」
「んふふっ」
「何やねんアホぉ」
乗り気なようで私もワクワクしていた。
必要なものは懐中電灯。ポケットの中にはもし怪我した時用のために咄嗟に貼れる絆創膏が入ってる。それ以外は何も持たずにいた、
夜の世界を見に行くのだ。
静寂に包まれた禪院の屋敷内には虫の音だけが響き渡っている。警戒しながら忍足で向かう。湿った床に感触が伝わり、ほとんど足袋で歩いていたことを思い出す。
...本当に行くんだと変に現実感が増してきた時に直哉の声がした。
「おい名前、もっとはよ来いや」
直哉は顔を曇らせて怒っていて。
「ごめん」
約束を破るなんて一度も、したことが無かった。だって当然でしょう。母親から言われた事をこなすそれで精一杯。感謝されるし。だから今日、禁忌を犯すんだ。でも何でだろう。
反抗しているのに、直哉とならどこに行っても平気かもしれないという妙な安心感がある。そして胸の底から湧き上がるような好奇心で胸がいっぱいになっていた。
扉はすぐ先まできている。私にとっては自由の扉だ。直哉が扉を開くと呆気なく開いてしまった。庭の勝手口から外に出る。直哉がこちらに手招きしている。
「怒られないかな?」
「早く戻れば大丈夫や、安心しい」
と直哉は言ってくれて安心した。何より。直哉と行けたから嬉しかった。
庭の勝手口から直哉は現れた。抜け道みたいなのから直哉がこっちへ来いと手招きしている。周りは静かで音もしていない。
綺麗に整備された竹林は夜中に見ると林全体が一つの生き物のよう。電灯から照らされた明かりに竹の外側だけ光が当たり、懐中電灯を当てると細長い葉が横に伸びる。白く反射しちらつく。歩いていくうちに闇は広がり、地面には小石や枯れ葉が目立ち始めた。そんな道があてもなく続いていくので心細くなった。
「ねえ直哉ぁ」
「何やねんついて来い言うたやろ」
直哉の隣にぴたりとくっ付くと直哉は歩きづらそうにそう言った。
「どのくらい歩くの?」
「もうちょっとや、待っとき」
視界にある直哉の裾を見る。私がつきっきりなのに距離を取らない直哉に安心してしまう。
並んで先を行く。な。
こっちは明るいね
町中は明かりがともっていてにぎやかだ
「着いた」
見たことあった。此処は納涼床というらしい。
食器がぶつかる音と数人の話し声が何重にも重なりこの小さな建物にどのくらい人がいるのだろうと思った。
「わあ、建物大きい」
「あ。金持ってきてないわ」
直哉が自分のポケットを漁るのでちゃっかり持ってきたよ、と自慢しようと思ってポケットから300円を取り出す。顔を上げた直哉の方に手を向けると「そんなん足りひん、お札がいるんや」と言われた。
「お札持ってない」
「なら行けへん」
まだ私が小さかったころのこと、大人たちには内緒で河川敷で遊ぼうよ、と私は密かな計画を直哉に話した。子供用の袴。それ
吊り目で、私より背が高かった直哉は頬を赤く染めて興奮しながら言った。
目をキラキラさせていた。
「ええやん」
その時は私もまだ小さい子供で、直哉より背が高く、短髪でこちらを覗き込む直哉に可愛さを覚えたものだ。背の高い納屋から鍵を盗んできて、持ってきたものだった。
屋敷の地図をいつの間にか盗み出しており、それを広げると埃っぽく、私と直哉はほぼ同時に咳をした。
「ゴホゴホ」
「アカン、こんな汚いって知らんかったわ」
目を擦る直哉。
ぐりぐりしているのが可笑しくてつい笑ってしまう。
「何笑うてんねん」
「んふふっ」
「何やねんアホぉ」
乗り気なようで私もワクワクしていた。
必要なものは懐中電灯。ポケットの中にはもし怪我した時用のために咄嗟に貼れる絆創膏が入ってる。それ以外は何も持たずにいた、
夜の世界を見に行くのだ。
静寂に包まれた禪院の屋敷内には虫の音だけが響き渡っている。警戒しながら忍足で向かう。湿った床に感触が伝わり、ほとんど足袋で歩いていたことを思い出す。
...本当に行くんだと変に現実感が増してきた時に直哉の声がした。
「おい名前、もっとはよ来いや」
直哉は顔を曇らせて怒っていて。
「ごめん」
約束を破るなんて一度も、したことが無かった。だって当然でしょう。母親から言われた事をこなすそれで精一杯。感謝されるし。だから今日、禁忌を犯すんだ。でも何でだろう。
反抗しているのに、直哉とならどこに行っても平気かもしれないという妙な安心感がある。そして胸の底から湧き上がるような好奇心で胸がいっぱいになっていた。
扉はすぐ先まできている。私にとっては自由の扉だ。直哉が扉を開くと呆気なく開いてしまった。庭の勝手口から外に出る。直哉がこちらに手招きしている。
「怒られないかな?」
「早く戻れば大丈夫や、安心しい」
と直哉は言ってくれて安心した。何より。直哉と行けたから嬉しかった。
庭の勝手口から直哉は現れた。抜け道みたいなのから直哉がこっちへ来いと手招きしている。周りは静かで音もしていない。
綺麗に整備された竹林は夜中に見ると林全体が一つの生き物のよう。電灯から照らされた明かりに竹の外側だけ光が当たり、懐中電灯を当てると細長い葉が横に伸びる。白く反射しちらつく。歩いていくうちに闇は広がり、地面には小石や枯れ葉が目立ち始めた。そんな道があてもなく続いていくので心細くなった。
「ねえ直哉ぁ」
「何やねんついて来い言うたやろ」
直哉の隣にぴたりとくっ付くと直哉は歩きづらそうにそう言った。
「どのくらい歩くの?」
「もうちょっとや、待っとき」
視界にある直哉の裾を見る。私がつきっきりなのに距離を取らない直哉に安心してしまう。
並んで先を行く。な。
こっちは明るいね
町中は明かりがともっていてにぎやかだ
「着いた」
見たことあった。此処は納涼床というらしい。
食器がぶつかる音と数人の話し声が何重にも重なりこの小さな建物にどのくらい人がいるのだろうと思った。
「わあ、建物大きい」
「あ。金持ってきてないわ」
直哉が自分のポケットを漁るのでちゃっかり持ってきたよ、と自慢しようと思ってポケットから300円を取り出す。顔を上げた直哉の方に手を向けると「そんなん足りひん、お札がいるんや」と言われた。
「お札持ってない」
「なら行けへん」