抗争後
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抗争から数日後…
両腕が折れてギブスで固定されている為私はバイクを運転出来ないので、獅稀さんの運転で鶴蝶くんが入院している病院へとお見舞いに来ていた
ギブスが邪魔なので服の袖が着れず、寒いが黒のノースリーブのマキシワンピを着て肩からモコモコの白いファーのブルゾンを肩から掛け
ムートンブーツを履き動ける指で紙袋を持って鶴蝶くんの部屋へと入った
「鶴蝶くん久しぶり!これ食べれるなら食べて、ゼリーにプリンとかジュース入れてるから」
「さっきタケミチも来ていた、神水流…礼が遅くなった。稀咲に撃たれたときオレとイザナを止血してくれてありがとうな、オマエあの特攻服…東卍の壱番隊隊長だった場地圭介の大事な特攻服だったんだろ?オレとイザナの血だらにしちまったな…」
ベットの上の机には圭くんの特攻服が入ったビニール袋が置いてあった
「黒だから洗えば大丈夫、気にしないで。確かに私にとっては大切なモノだけど、命の方が大事だからね。鶴蝶はイザナの友達だから私ももう鶴蝶の友達だよ、いっちんでいいよ!」
紙袋をロッカーの上に置き私は鶴蝶のベットの側にある椅子へと腰を下ろした
「オマエ…ハハッ、イザナの言った通り面白い女だな」
「イザナを救えなくてごめん、このピアスは鶴蝶が持ってるべきかなっと思ってさ…」
イザナが耳につけていた花札の柄のピアスを鶴蝶くんの手に渡した
「これはイザナのか…」
「焼いて骨は私が作ったイザナのお墓に入れたから退院したら行ってやって、イザナ喜ぶと思うから。これお墓の住所と地図、あと私の電話番号とアドレス書いといたから」
「オマエ…イザナに墓作ったって言ったけど中学生が簡単に作れる金額じゃねぇだろ!」
「まぁこう見えて秘密のポケットマネーがあるから、気にしなくていいよ。イザナは私にとっても大切な人だったからね…助けてあげれなかったから、これぐらいはしてあげたかったの。ちなみに鶴蝶の入院費もついでに先払いしてるから、お金のことは心配しないでいいよ」
「いっちんマジか…申し訳ないな…ありがとう。イザナは稀咲がオマエを撃つことに最後まで首を縦にはふらなかったんだ…だが稀咲はイザナの返事を待たずにいっちんを撃った。イザナはオマエのことを太陽みたいな存在だったと言ってた、本当にいっちんを天竺に迎え自分の側にいて欲しかったんだ。だけどアイツは…不器用だからさ…」
イザナのピアスを握りしめて鶴蝶くんは涙を流し私に話してくれた
「イザナが…そっか、教えてくれてありがとう。今はイザナは寂しくないと思うよ、真一郎くんもエマちゃんもいるだろうから…大切な人が目の前で死ぬのは口に出来ない程の悲しみだよね…私も経験したから理解できる。鶴蝶くんイザナは貴方を助けたの、だから絶対命は大切にしなきゃだめ。イザナがいなくて寂しくてイザナの元に行きたくても…前を向いて貴方はイザナの分まで生きて」
「いっちん…オマエは強いな…東卍の奴らが好きになるはずだ」
「鶴蝶、私は強くないよ…いつでも連絡しておいでよ、鶴蝶くん!」
「あぁ、ありがとな。いっちんのちゃんと登録しとく」
「さて、私はそろそろ帰るね。撃たれたんだからゆっくり休まないと、鶴蝶くんまたね」
「オマエも両腕イザナに折られてんだから無理すんなよ!」
鶴蝶くんに微笑むと圭くんの特攻服が入ったビニール袋を手に持ち病室から出て行った
病院の玄関を出るとスーツ姿の獅稀さんが走って私の手に持っていたビニール袋を奪い持ってくれた
「樹さん、両腕折れてるんですから本当にやめてください!」
「はーい、ごめんなさい」
「血だらけの特攻服は責任持って綺麗に洗っておきます。佐野エマさんのお葬式は制服じゃギブスしてますので袖が着れないと思いまして、デザイナーに頼み早急にブラックフォーマルを作らせました。ノースリーブのワンピースに上着はケープ風になってるのでギブスしていても大丈夫です」
駐車場に止めてある車に乗ると獅稀さんが私の膝に黒のワンピースと上着が入った紙袋を膝に置いてきた
「わざわざ作ってくれたんですか!?なんかすみません」
「礼なら基様言ってください、若が私に頼んできましたので。葬儀は若も一緒に行かれると言ってました。
「基が…そっか、帰ったらお礼言わなきゃ」
「それにしても樹さんが黒川イザナのお墓を建てる大金を持っているなんて驚きましたよ。中学生なのに…どうやって調達したんですか?」
「基が働いてくれてたけどうちは貧乏だったからね、ちょーっとパチンコに打ちに行って貯めてたんだよね」
「そんなことなさらなくても親父達がお金くださるのに」
獅稀さんは運転しながらそう言ってきたので"それは貰えないよ,っと私は言い返した
「イザナの死を鶴蝶がちゃんと向き合えたな心配はないんだけど。ドラケンは今エマちゃんの死とちゃんと向き合ってる…大切な人の死の辛さは私にはわかるから…1番は万次郎が心配…」
「佐野万次郎ですか…兄と妹まで失ってしまいましたからね…でも樹さんがいます、きっと大丈夫ですよ」
「ありがとう、獅稀さん」
車はマンションへと帰宅して獅稀さんが部屋まで荷物を運んでくれた
部屋に入ると黒の礼服姿の基が立っており、いつも前髪をあげているが今日は下ろしてピアスも退けていた
「樹おかえり、獅稀悪りぃなありがとな!」
「いいえ、樹さんのお支度が出来たらまたお呼びください」
「あぁ、車頼むわ」
獅稀さんは基に一礼すると部屋から出て行った
「基、両腕折れてるからわざわざ礼服作って用意してくれたんでしょ?ありがとう」
「両腕ギブスしてるから制服着れないだろ?着せてやるから脱がせるな」
基は肩にかけてあったモコモコの白いファーブルゾンとマキシワンピースを脱がし、手がお腹の痣で止まった…
「お前は東卍のメンバーでもないのに自分から巻き込まれて…痛かったろ」
「マイキーと出会って東卍のみんなは今は大切な友達だからね…痛かったけど大丈夫だよ、父さん…心配かけてごめん」
下着姿の私は両腕が折れているのでそっと基の胸元に顔を埋めると、基が抱きしめてくれた
「圭介の死の次はエマちゃんだ…エマちゃんの事…辛いな…」
「私は大丈夫、ちゃんと今日のお葬式でお別れするから…」
「真一郎の妹だからな、俺も一緒に行く。さて、下着姿じゃ行けないから着せるな!」
腕が骨折して曲がらないので基がワンピースとケープ風の上着とストッキングを着せてくれた
耳にたくさんついてるピアスも退けてくれて、圭くんのネックレスとマイキーからもらった指輪だけは付けたままにしてくれた
基は香典を袱紗に包み胸ポケっとに入れ私と一緒に玄関を出て、獅稀さんの運転で万次郎の家へと向かった
万次郎の家の門には佐野エマと書かれた看板が建てられ、車から降りるとタケミっちー・日向ちゃん・千冬・タカくん・ぺーやん・八戒・柚葉・イヌピー・ナホヤくん・ソウヤくん・ドラケン達が制服を着て訪れていた
私も基と一緒に葬儀へと参加し部屋へと上がり線香を立てエマちゃんにお別れの挨拶をした
最後にドラケンがエマちゃんに線香を立て別れの挨拶をすると、マイキーとお爺ちゃんへと正座したまま向かい合った
「エマさんを好きでした、申し訳ありません。彼女を守れなかった…」
ドラケンはマイキーのお爺ちゃんに頭を下げて謝っていた
「そうか…オマエも好いとったか…アイツもきっと浮かばれる」
マイキーのお爺ちゃんの言葉を聞いたドラケンは声を押し殺して涙を流した
それを東卍のみんなも目から涙を流し泣いていた…
葬儀が終わりみんな部屋から出て行き、私と基とマイキーとお爺ちゃんだけになった
「万次郎…忘れないで、真一郎もエマちゃんもイザナも死んじゃったけど。万次郎や私のここにいるんだからね」
ギブスの腕を上げマイキーの胸元をそっと叩いた
「いっちん…」
「すぐに受け入れることは難しい、ゆっくりでいいんだ。マイキーには私もいるし、ドラケンや東卍のみんなもいる。1人じゃないんだよ?」
「うん…いっちん…ありがとう…」
葬式中毅然としていたマイキーが私に抱きつき声を押し殺して泣き始めた…
それを見た基とマイキーのお爺ちゃんはそっと静かに部屋から出て行った
涙を流して泣くマイキーをギブスで抱きしめられないので、頭にキスをし"悲しいときは我慢せずに泣かないと,っと言い泣き止むまで胸を貸してあげた…
その日はマイキーの家に私と基が泊まり基はマイキーのお爺ちゃんと話し込み、私とマイキーは部屋で一緒に眠った…