エマちゃんの死
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私が八戒を乗せてタカくんの病院に向かっている頃…
タケミっちーとイヌピーは佐野家の墓にお参りに来ていた、墓に眠る真一郎くんに挨拶する為に…
「真一郎君、コイツが十一代目黒龍総長花垣武道です」
イヌピーが俺の背中を叩いたので、お墓に眠る真一郎君に俺は深々と頭を下げて挨拶をした
「初代の名に恥じない最っ高のチームを作ります!!!」
「黒龍創設の日に十一代目誕生か…おもしれー、オマエが花垣武道か!」
なんだ?コイツ
突然天竺の特攻服に身を包んだ男がオレ達の前に現れた…
「イザナぁ!!テメェ!!ココをどうするつもりだコラ!!?」
イヌピーの言葉にコイツがこの時代の黒川イザナだとオレは理解した
イザナの胸ぐらを掴んだイヌピー君は殴りたかったが思いとどまり、イザナを睨みつけた
「オイオイどうするつもりも何も、アイツの方から天竺に入ってきたんだぜ?…離せよ…オレは兄貴の墓参りに来ただけだ。丸井が手に入った今…テメェにはキョーミねぇよ、乾」
「テメェ」
「やめとけイヌピー」
「マイキー君!!」
「え?何なに?」
マイキー君がエマちゃんと墓参りに現れ、イヌピー君を止めてくれた…
「へー仲良く"兄妹,で墓参り?」
「マイキー」
まさか真一郎君のお墓にマイキー君が来るとは思わなかったイヌピー君は驚き、イザナを掴んでいた手を離した
「…タケミっち、エマ連れて離れてろ!」
マイキー君に言われた通りエマちゃんと墓地から少し離れた所でマイキー君を待つ事にした
「今夜20時横浜第7埠頭に東卍騒動員で来い、天竺対東卍総決戦だ。全部終わらそーぜ?マイキー。真一郎といい、樹までオマエに渡せねぇ…」
「あ?樹は関係ねぇだろ…手出すな」
マイキー君とイザナがそんな事を話しているとら知らず、オレはエマちゃんと離れた所で話していた
「…あの人がウチのもう1人のお兄ちゃん、"イザナ,だよね?これから喧嘩するんでしょ?」
「…多分…」
「男の子ってなんで喧嘩ばっかりするのかな?"東京卍會総長,"無敵のマイキー,マイキーは人前で強い所しか見せない、兄貴が死んだ時も場地が死んだ時も…どんな時でも弱い顔は見せないのがマイキー、誰にも」
「…たしかに、そうだね」
「でもホントのホントは、今でも使い古したタオルケット握りしめてないと寝れない弱い男の子。君やウチと一緒、だからどっかで張りつめていた糸が切れちゃった時。その時はウチが絶対マイキーを助けてあげるんだ!マイキーがそうしてくれたみたいにね!でもマイキーにはいっちんがいるから、大丈夫かな…なーんて!カッコつけすぎかな?」
エマちゃんの言葉を聞いてオレは微笑んだ
そっか…
マイキー君の事1番わかってて1番支えになってるのって…
いっちんの他にもエマちゃんなのかもな…
…あれ?
現代のマイキー君はいっちんが死んで闇堕ちしてる…
いっちんは死んでたけど、エマちゃんがいるのに?
頭の中で考えているとエマちゃんが"何か飲む?,っと聞いてきたので返事をした
「…エマちゃんって現代にいたっけ?」
考えながらエマちゃんが自販機でジュースを買ってくれたので受け取ろうとしたとき、一台のバイクがもうスピードでこちらに向かってきた
「え!?」
「ん?」
よく見るとヘルメットを被ってわかりずらかったが、稀咲がバットを持って、バイクの後ろに乗り叫んでいた
「稀咲!!?」
稀咲がバットを振り上げたのでオレは思わず目を閉じた
目を開けると缶ジュースが転がってきて、オレは何が起きたかわからなかった
後ろを振り向くと、頭から血を流すエマちゃんが地面に倒れていた
「エマちゃん?」
嘘だろ…
稀咲、エマちゃんを狙ったのか!!?
「アイツも殺した、終わりだ花垣武道」
稀咲はそう言い捨てるとバイクを走らせその場から走り去った…
女にまで手ぇ出すのかよ…?
マイキー君を堕とすためなら、こんなことまでやるのかよ…?
さっきアイツも殺したって言ってた…
一体誰を…
「エマちゃん…?エマちゃん…エマちゃん!」
オレは膝を突き血だらけで倒れているエマちゃんを優しく抱き上げ声をかけた
オレは馬鹿だっ
ドラケン君を救っても一虎君を救っても、稀咲を東卍から追い出しても大寿君を救っても…
結局何も変わらなかった
これだ…
「エマちゃん目ぇ覚ましてよ、エマちゃん…過去で…こっちで死んじまったら救えないんだ…っ。エマちゃん!!!」
涙を流しながら叫ぶがエマちゃんは動かなかった
「エマ?」
「ゴメン…マイキー君…オレ…」
地面に倒れているエマちゃんを見たマイキー君は目の前の状況に意味がわからず、呆然と立ち尽くしていた…
「何があった?」
「…バイクが突っ込んで来てエマちゃんがはねられました…」
「…は?」
マイキー君の後ろにいたイヌピー君も驚き、イザナはエマちゃんの方をチラッと見るとその場を去った
「き…稀咲に…」
「タケミっち、乗せて!」
マイキー君は上着を脱ぐとエマちゃんを背負い病院まで走り始めた
「安心しろエマ、もうすぐ病院だから」
「…マイキー?」
エマちゃんの意識が戻りオレはエマちゃんの名を叫んだ
「…あれ?体が動かない…そっか…ウチバイクに…」
「…覚えてるか?エマ。オマエが5歳の頃、オレの事追っかけてジャングルジムから落ちて足折ってさ。あの時以来だな、オマエをおんぶするの」
「ねぇ…マイキー…いっちんと絶対離れちゃだめだよ。あんなにマイキーのこと受け止めてくれて…愛してくれる素敵な人…他にいないんだから…ウチにもしもの事があったら」
「いっちんとは離れねぇから安心しろ…バーカ、もしもの事なんてねぇよ」
「ドラケンに伝えて、ケンちゃん愛してるって」
「自分で伝えろ」
「…タケミっち…いっちんとさ…マイ…キーを…おねがい…ね?」
涙を流しながらオレに話かけてくれたエマちゃんは微笑むと、マイキー君の首に回していた手がストンっと離れた…
「エマ…ちゃん?」
「エマっ…エマ!?あのさっ"秘密にする,ってケンチンと約束してたけど…ケンチン、オマエの事好きなんだぜ!両想いなんだ、だから病院着いたらすぐケンチン呼ぶから。な?エマ!エマ…?…タケミっち…オレの上着…エマにかけてやってくれ」
「え?」
「エマがなんか…冷てぇんだ…」
震え声で頼むマイキー君にオレは涙を流し鼻水を垂れ流しながら号泣した
「オレの夢は…いつかオマエに子供が生まれてケンチンは家を建てるんだ。オレといっちんは結婚して遊びに行くとケンチンはオマエの事をほったらかして、酒飲みながらもう何度も話した昔話で盛り上がる。夜中まで居座ってさそのうち三ツ谷とかタケミっちとか呼んじゃって、もうドンチャン騒ぎでさ、赤ちゃん起きちゃって…オマエと子育てを手伝ってたいっちんにオレは…ブチ切れられるんだ」
マイキー君の夢の話はエマちゃんの耳には届かずオレはただただ号泣し、背中のエマちゃんをマイキー君と一緒に病院まで歩いた…
エマちゃんを連れて病院に運んだとき、八戒から電話があり、いっちんが稀咲に撃たれて死にかけだと聞かされた…
「いっちん…嘘だろ…」
八戒からの電話を切ると、エマちゃんが死んだ事のショックといっちんが撃たれたことを聞きこの悲しみに泣きながら床に蹲った…
エマちゃんが霊安室に運ばれたとき、連絡を聞きつけたドラケン君が死んだエマちゃんと対面していた…
「なんだよ?コレ」
マイキー君は無言で病院のソファーにただ呆然と立ち尽くしていた
霊安室から出たドラケン君はマイキー君に"ちょっとツラ貸せ,っと言い放つと、病院の外に出た
「何が起きた?」
ドラケン君の言葉に何も言わないマイキー君の顔面を殴った
「…オマエがいてなんでこうなる?オイ…マイキー、何やってんだよ!?テメェはよぉぉ」
本気でマイキー君にキレてるドラケン君を見たオレは地面に土下座した
「オレのせいです!!オレが1番近くにいたのに守れなかったんです!!マイキー君のせいじゃない!!オレのせいなんです、だからドラケン君!!責めるならオレなんです、マイキー君を殴るのは筋違いっスよ!!」
「みんなを守る為に東卍創ったんじゃねぇのかよ!!?」
オレの言葉が耳に入らないのかマイキー君をまた殴り始めたので、ドラケン君を止める為に後ろから抱きついた
「やめてくださいよ!!!ドラケン君!!!」
「パーちん捕まっちまったじゃねぇかよっ!!?」
「何言ってんスかドラケン君!?」
「場地は死んじまった、一虎も逮捕された!」
怒り狂うドラケン君の拳をただマイキー君はやり返しもせず、只々殴られ続けた…
「マイキー君!!!」
「どけっ!」
ドラケン君の肘が顔面にモロに食らったオレは地面に倒れた
「いっちんも…!撃たれて死にかけなんだぞ…エマまでっ!エマまで…っ」
ドラケン君は何度も殴りマイキー君は地面に倒れ、ドラケン君は涙を流していた…
「…しっかり…してよ…ドラケン君。ドラケン君なら…いつものドラケン君なら…乗り越えて…受け入れられますよ…」
ドラケン君に殴られて地面に倒れている俺は息が上がりながらふと考えた…
受け入れられる?
いっちんは場地君死んだとき
受け入れれた…
心に傷を負ったけどいっちんは…
あの人は凄く強い…
受け入れられるワケ…ないじゃん
もう一度ヒナに触れたい
もう一度ヒナを見つめたい
もう一度ヒナを…
大切な人の死なんて…
受け入れられるワケないよ
二人は過去には戻れないから…
オレみたいに大切な人を救おうなんてできないから…
マイキー君…
君は…
受け入れられなかったんだね…
エマちゃんが死んで、いっちんは撃たれて死にかけ…
何もかも失って
何も受け入れられないから
堕ちていくしか…
なかったんだね…
終わった…
エマちゃんもいっちんもこんな事になって…
もう
あの現代は変えられない…
ドラケン君に殴られたオレはマイキー君を病院の待合室の椅子へと座らせた
「マイキー君、こんな時にこんな話…不謹慎かもしれないですけど、今日は天竺との決戦です。みんな…マイキー君の号令がないと動けません…マイキー君。エマちゃんを殺し、いっちんを撃ったのは…稀咲です!アイツの事だから悪知恵働かして、絶ッ対ェ捕まりません。マイキー君…秘密にしてたんですけど、実はいっちんも今日の抗争に場地君の特攻服着て参加してくれる約束してたんです。オレは1人でも天竺とやります…」
放心状態のマイキー君に伝えると廊下をオレは歩きその場から去った
するとエマちゃんがいる霊安室の側でヒナが泣いていた
オレは自分の親指に顔を描き、壁からヒナに見えるように"ナカナイデ!ヒナチャン!ホラオレガツイテルカラサ!,っと指人形をすると
怒ったヒナが泣きながらオレの前に現れた
「21歳の時デパートの清掃バイトしてたんだ、よく迷子になる子がいてさ。こうやって気を紛らわそうとして…でももっと泣いちゃってさ…くだらないね…これが…オレ、26歳のオレ。チャランポランでどうしようもねぇバカ、毎日ボーっと過ごしてきた。俺の知らない所ではこんなヤベぇ事が起きてたのに、なんも知らなかった。つらい事から逃げてたから…オレ…行くね!まだできる事あるから、ヒーローハニゲナイ。君に笑ってて欲しいから」
親指を立ててヒナに想いを伝え病院からでると、場地君のバイクに乗った千冬が迎えに来てくれていた…
「千冬…」
「乗れよ!みんなが待ってる」
千冬のバイクに乗り、東卍のみんなが待つ神社へとバイクを走らせた…