武蔵神社 緊急集会 2月22日午前2時
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病院に着くとアングリーことソウヤくんがベンチに座って私に気付き、暗い顔で手を振ってきたので私は思わずソウヤくんを抱きしめた
「ナホヤくんのこと、八戒から聞いた…お兄ちゃんがやられて辛いよね…」
「いっちん…兄ちゃんも三ツ谷君も…目覚めないんだ…天竺の奴ら、絶ッ対ェ許さねぇ…」
「意識不明の重体だから心配だよね…」
ソウヤくんを落ち着かせると私もベンチに座りその隣に八戒も座った
「まだマイキーには伝えてないけど今回の抗争は私も壱番隊として参加する。だからタカくんとナホヤくんの分まで天竺の奴らぶっ潰してくるから!」
私の言葉を聞いた八戒とソウヤくんはお互いに声を上げて叫んだ
「いっちんも参加するって!?今回は今までの相手と違うぞ!武器持って戦うんだぜ、絶対だめだって!」
「八戒の言う通りだよ、兄ちゃん達がやられてんだ。殺されるかも知れないんだぞ!?」
怒る2人を私は両手で抱きしめると、おでこをくっつけた
「東卍のみんなは私にとって大切な仲間だから、もう1人も欠けてほしくない…大丈夫!絶対に死なないから」
「いっちん…」
「だから2人はタカくんとナホヤくんをお願いね!さて、そろそろ準備しないと…」
ベンチから立ち上がると八戒が私の手を握ってきた
「いっちん下まで送る…」
「八戒ありがとう」
手を繋ぎ病院の玄関を出て八戒に手を振り、停めていたバイクの元に行こうとしたらバイクの後ろに乗った稀咲が私に拳銃を向け放った
「稀咲…ッ、テメェ…!?」
「死ね!!神水流樹」
3発の銃弾は私のお腹を貫き、血だらけの私はお腹を押さえて地面に倒れた
「樹さん!!稀咲鉄太!!」
近くで護衛していた獅稀さんが車から降りて私に駆け寄った
「いっちん!!?稀咲!!テメェ!!待ちやがれ!!」
八戒は走り去る稀咲を追いかけたがバイクで逃げられたため諦め、すぐさま私の元に泣きながら走ってきた
私のお腹からは大量の血が流れ、発泡音と叫び声に気づいた看護師さんとお医者さんがストレッチャーを持って私を抱き上げると病院内へと運び始めた
「なんだよこれ!?血が…いっちん!!死なないって言ったじゃんか!?」
ストレッチャーに乗って運ばれる私に八戒は泣きながら走ってきた
「八戒…大丈夫だから…」
撃たれた箇所を右手で押さえながら泣いている八戒を落ち着かせるように、左手で八戒の手を握った
手術室の前一旦止まると誰もいない事を確認したお医者さんは、手術室ではなく個室の空き部屋へと私と八戒を無理矢理押し込み部屋の鍵を閉めた
「先生!何してんだよ!?早くいっちん手術室に連れてってやんねぇと!!」
八戒は訳がわからずお医者さんの胸ぐらを掴み、私を助けるために必死になっていた
「柴八戒さん、手を離してください。樹さんは生きてますから」
獅稀さんが胸ぐらを掴む八戒をやめるように腕を掴んだ
「はぁ?何言ってんだ!?稀咲に撃たれたんだぞ!?」
ストレッチャーの上で血だらけの私は起き上がり八戒を安心させるために手を振った
「八戒、本当に大丈夫だから!ほら私元気だよ」
「このバカ!何笑って暢気に手を振ってるんだよ!?腹に3発も銃弾浴びたんだぞ!?血だらけなのになんで笑ってんだよ!?」
「八戒騙してごめん、稀咲に撃たれたのは本当だけど防弾チョッキ着てるから貫通してないの。ほら」
血だらけの白のニットを脱ぎ防弾チョッキを見せると八戒はようやく私が生きていることがわかったのか腰が抜けその場泣き崩れた
「抗争までに稀咲が私を殺しに来ると思ってわざと撃たれる為に待ち構えてたわけ、八戒びっくりしたよね。驚かせてごめん」
「無理もないですよ、これは特殊な防弾チョッキで撃たれたら赤い血のりがでるようになってますからね。樹さんと私達の演技と八戒さんのリアルな演技で稀咲も騙されてるでしょうね」
「お嬢も人が悪い、騙すなら味方からと言いますが。君も驚いたね、大丈夫かい?」
先程まで胸ぐらを掴まれていたお医者さんは組の関係者で、タカくんとナホヤくんが運ばれたこの病院は神水流組を診てくれている専属の病院なので看護師さん達もこの演技を手伝ってくれたのだ…
「みんな仕事忙しいのに申し訳ない、ありがとございます!!助かりました、もう通常の仕事に戻ってください!」
お医者さんと看護師さん達は私に一礼するとストレッチャーを運び部屋から出て行き、獅稀さんと八戒だけになった
「いっちん…稀咲にずっと狙われてたのか?」
「圭くんと付き合う前からね…だから稀咲の罠にはまってあげた訳、ごめんね八戒!医者と看護師さん達にも一芝居打ってもらったんだ、悲しませちゃってごめん」
タケミっちーから未来の私がマイキーの側にいなくて死んでると聞かされたときに、未来の私はいつ殺されたのか凄く気になってた…
天竺との抗争が何故か和解で終わり稀咲の手にマイキーが落ちると聞いたとき、もし側に私がいるならそんなことさせない!
なら答えは一つだった…
私は抗争前に稀咲によって殺されていると予想ができた…
だから未来を変える為こうして防弾チョッキを着てワザと殺されることにしたのだ…
殺されるはずだった私は死んでない、少しはこれでタケミっちーの役に立ったかな?
タケミっちーから聞いたあんな未来は嫌、絶対未来を変える…
血のりがついたニットを獅稀さんが用意してくれたゴミ袋に入れると、弾丸が撃ち込まれている防弾チョキを脱ぎ下着姿だけになった
獅稀さんは八戒の目に手を当て私を見ないようにして自分も反対方向へ向いた
「樹さん、私の鞄にお着替えをお持ちしてます。それよりも…男性の前でいきなり脱ぐのはいかがなものでしょうか」
「ごめん、ついベタつくのが気持ち悪くてさ…」
腕や腹についている血のりをタオルで拭き取るとスキニーパンツも脱いで下着姿になり、獅稀さんの鞄から圭くんの着ていた特攻服に身を包みブーツを履いた
圭くんの十字架のネックレスが首元からキラッと光った…
「2人とももう目開けていいよ」
八戒と獅稀さんは目を開け私の特攻服姿が目に入った
「いっちん、似合ってる!それもしかして…場地君の特攻服か?」
「うん、タスキはタケミっちーが使ってるから違うけど。前にタカくんに私のサイズに直して貰ってたんだ」
「タカちゃんが…そっか…」
「八戒さんには樹さんが撃たれて今手術室にいると花垣武道に伝えてください。東卍の内部に稀咲の内通者がいるかも知れませんからね、敵を欺くにはまず味方からって言いますでしょ?」
獅稀さんの言葉に八戒は涙を拭くと頷き"わかった,っと言った
すると誰かが扉をノックしたので私ははベッドに倒れた布団を被ると隠れた
獅稀さんが扉の近くに立つと外にいる獅稀さんの部下が"若が来られました,っと言うので扉を開けると基を部屋に入れ鍵を閉めた
基だったので布団から出ると私の特攻服姿に"特攻服似合う♡,っと叫び抱きついてきた
「基様、もう少し声をお静かに!」
「悪い、つい樹が可愛くてさ♡んで、俺の可愛い娘を撃ち殺そうとした稀咲って野郎は?」
「樹さんの言う通りに逃しました」
「ちッ、樹…抗争終わったら俺がそいつ消していい?」
八戒は基の威圧に少し震えていた…
「殺したくてもダメだって、ガキの喧嘩にヤクザが出てきちゃダメって言ったよね?八戒は知らないよね、これ私の父親。神羽会神水流組組長の一人息子、神水流基。驚いたよね、親バカなんだ…」
「いっちんの父親!?若頭!?挨拶が遅くなってすみません!いつもいっちんにはお世話になってます、柴八戒です。お父さん、めっちゃ若いですね…兄ちゃんかと思いました!」
「あの万次郎の仲間だからろくな奴じゃねぇと思ってたけど、お前気に入ったわ!樹、万次郎と別れて八戒にしたらどうだ?」
兄ちゃんと思われた基は気を良くしたのか、馴れ馴れしく八戒の肩に手を回して肩を組んだ
「なーに言ってんの、八戒かっこいいから私なんかよりももっと美人な女性捕まえるもんな?てか何しに来たわけ、もしかして天竺との抗争に参加するの止めに来たわけ?言っとくけど止めても無理だからね」
「危険だけど止やしないさ、むしろイザナを止めて欲しいくらいだ。八戒、悪いけど部屋から出てってくれるか?」
「八戒、悪いけどタケミっちーに私が死にかけって伝えるのお願いね」
「わかった!基さん失礼します」
八戒は基に一礼すると、基は八戒を気に入ったのか手を振り見送った
「八戒をわざわざ部屋から出させたの何か話たいことがあるんでしょ?」
私は壁にもたれて腕を組むと、基はベッドへと座り込み獅稀さんは私達の話を立って聞き始めた
「黒川イザナ、アイツのことで樹も万次郎も知らない情報がある。真一郎と仲がよかった俺はあの当時、よく真一郎にイザナのことで相談されていた…どうやったら万次郎とエマとイザナが兄弟仲良くできるかを」
「やっぱり真一郎くんはイザナとマイキー達と仲良くしてもらいたかったんだ…」
「あぁ…だがそれが出来ず死んじまった…樹、イザナは万次郎の妹の兄だが血が繋がってないんだ、エマちゃんの母親の子じゃないんだ」
「は?それ…どういうこと!?」
「真一郎が言ってたんだ、エマちゃんは真一郎と血の繋がった異母兄弟だが。イザナはエマちゃんの母親の前の旦那がフィリピンの女と作った子で、イザナは連れ子だったんだ。イザナは…万次郎とエマちゃんと一切血が繋がってないんだ」
その話を聞いた私はようやくイザナが変わってしまった原因がわかってしまった…
「真一郎は血の繋がりがなくったってイザナを弟して受け入れていた。だが…それを知ってしまったイザナは大好きだった真一郎と血の繋がりがなく家族でない事を知らされ悲しみ…怒りを真一郎にぶつけてきた。それでも真一郎はイザナを受け止めるつもりだった、だがイザナはまだ心が未熟で血が繋がってない事実を受け入れれなかったんだ。そして真一郎の黒龍八代目をイザナが総長を務め黒龍を腐らせた…天竺を結成したのはきっと、真一郎の弟である万次郎を潰したいからだ…」
「イザナ…バカだな」
血の繋がりがなくったって、真一郎くんはイザナを受け止めてくれたのに…
真実を知ったイザナはそれを受け入れることができず、きっと再び孤独感に陥ってしまったんだね
そして黒龍を万次郎に継がせたいと言っていた真一郎くんに反抗して、自分が八代目を継ぎ今までの黒龍とは違い腐らし全てを変えていった…
万次郎に嫉妬…
真一郎くんと決別してイザナは変わった…
本当バカ野郎だ…
私はタスキを基の手に渡した
「真一郎くんの分もイザナをぶん殴って目を覚まさせるよ、こんなくだらない兄弟喧嘩…私が止める!」
「樹…悪いな、任せちゃって」
「ガキ同士の喧嘩なんだから、ガキの私達に任せて」
基は微笑むとタスキを私の背中に結んでくれた