六波羅単代と梵
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「樹!海鮮ドリアできたぞ!」
「はーい!お待たせ致しました、海鮮ドリアとランチのサラダとバケットです。
これで全部揃ったね、遅くなってごめんね!」
窓側に座っている常連のヤンチャな男性達のテーブルへと運ぶと、金髪の男に腕を掴まれた
「樹ちゃんいつになったらデートしてくれんの?」
「こないだクラブで灰谷兄弟達と遊んでたって聞いたぜ!」
「えー!羨ましいんだけど」
「あー、あの2人はまぁ友達だからね。
てかデートは彼女としないと!
林くんこないだ綺麗な女の子と街を歩いてるの見かけたよ、彼女いるんだから私なんかと遊んじゃダメだよ」
掴まれた手を離し林くんの唇へと指を当て笑うと男達は声をあげて笑った
「林、バレてやんの!
さすが樹ちゃん♡」
「お前らうっせぇ!
樹ちゃん可愛いから狙いたくなったんだよ」
「彼女さん大切にしてあげないとだーめ!
熱いから気をつけて食べてね!」
男達の席から離れカウンターへと戻ると裕翔くんが眉間にシワを寄せ、不機嫌な顔で私の側へとやってきた
「お嬢…
アイツら出禁にしましょうか?」
「裕翔くんあれぐらいで怒んないの、ほら仕事仕事!」
まだ機嫌が治っていない裕翔くんを落ち着かせ、今日もいつものようにバイトに明け暮れて一日が終わった…
働き終わりバイクに跨りエンジンを掛け帰ろうとしていると、突然バイクの後ろに誰かが乗ってきた
「うわぁ!?」
「樹バイトお疲れ」
「ワカちゃん!?
気配消したまま後ろに乗るのやめてよね、マジで心臓に悪い…」
「んな驚かなくても」
「驚くって、今日はワカちゃんだけ?
ベンケイちゃんとタケちゃんはいないんだ」
「ウチの姫が樹と遊んだって聞いてたら会いたくなって来た…」
「ウチの姫?あぁ、千咒のこと。
買い物に付き合ってあげたの、千咒可愛いのに服のセンスがタケミっちー並みにダサかったんだよね。
バイト終わった後だからご飯でも食べに行く?」
「樹とご飯食べに行く、奢るから乗せてって」
「いいね、行こ!
しっかり掴まっててね!」
ワカちゃんが私の腰に腕を回し乗ったのを確認しバイクを走らせた
しばらく走ると昔環お爺ちゃんが連れてってくれたバーの店の前にバイクを停め、鍵を閉めるとワカちゃんと店の中へと入って行った
店へと入るとバーテンダーのお爺ちゃんが微笑みカウンターへと座るように促してくれたのでワカちゃんと一緒に座った
「いらっしゃい、樹さんお久しぶりです。
珍しいですね、今日はお二人で来られたんですね」
「基の友人だから大丈夫だよ、今牛若狭って言うのよろしくね。
悪いけど今日はバイクだから私は飲まないのワカちゃんだけにお酒出してあげてくれるかな?」
「わかりました。
このお時間に来られると言うことはバイト帰りですよね、お料理もお出ししますね」
「さすがマスター、ありがとう!」
マスターは微笑むとジントニックをワカちゃんに作り、ジンジャエールとライムジュースシロップを混ぜ合わせノンアルコールのサラトガ・クーラーを私に出してくれた
私とワカちゃんはグラスを手に取り乾杯すると飲み、マスターは慣れた手で野菜を切ってサラダとパスタを作り始めた
「ん、美味しい。
まさかこんな洒落たバーに連れて来られるとは思ってなかった」
「ここ雰囲気いいしマスターの作るお酒と料理は美味しくておすすめだよ!
昔基のお爺ちゃんが教えてくれたんだ」
「そういや昔樹とクラブで会ったあと武臣は基と会ったんだよな、アイツ元気?」
「基は元気だよ、むしろ元気すぎてウザいぐらい」
「基は樹のことになると昔から親バカだったからな。
それに小さかった樹がこんなに綺麗な女の子に成長したから余計心配するだろうな基の奴は、ハハッ」
基の話をしていると店の扉が開きタイミングよく私服でTシャツにジーンズ姿の基が現れワカちゃんの隣に座った
「何々、2人で俺がいい男だって話してくれてるわけ?
若狭お前髪色やべぇな、久しぶり!
昔みたいに"白豹,のお前と走りてぇな」
「あ?結構気にいってんだけど…
てか娘監視すんの辞めてやれ、過保護なのも大概にしねぇと嫌われるぞ?」
「また獅稀さんに頼んで監視カメラハッキングしてここにいるのわかったんでしょ!?
基マジで心配しすぎなのよ、自分の身ぐらい自分で守れるわ。
罰としてここの会計は基ね、ワカちゃん払わなくていいよ!」
マスターはウォッカを開けるとグラスに氷を入れ注ぎ基へとお酒を出した
「怒んないで!
パパーンは可愛い樹がバイト帰りに変な男にナンパされないか心配なんだよ!」
「ワカちゃんの言う通りマジで嫌いになるからね!
てかワカちゃん"白豹,なんて呼ばれてたの?」
「まぁ昔の名だよ」
「若狭は行動の白豹って呼ばれるぐらいライテク凄かったんだぜ、そこら辺のカッコつけて乗り回してるガキなんかと比べもんになんねぇよな!」
「基がそこまで言うなんて珍しいね、今度ワカちゃんの後ろ乗らせてよ!」
「また今度乗らせてやるよ、でも真ちゃんと基には敵わなかったけどね。
2人はお揃いのバブ乗ってライテクまで一緒だったからよく不良共に間違われてたよな…基に喧嘩売った奴らは全員病院行きだったの思い出したや。」
ワカちゃんはお酒を飲みながら昔の事を思い出し少し笑った
「バイクで走って仕事行ってるだけで真一郎と間違えられてたんじゃたまったもんじゃねぇだろ、あの頃は俺も若くて一番楽しかった時間だったな…
樹、真一郎のあだ名は"最弱王,だったんだぜ。
喧嘩弱ぇくせに自分より強い奴としか喧嘩しねぇ…
あの根性にさすがの俺も脱帽だったな。」
「真ちゃんが基と初めて出会ったときの話、よくオレらにしてくれたな…
東卍と仲良しな樹と同じ感じで、基も黒龍のオレらと仲がよかったんだよ。
チームと乱闘のときは助けにきてくれてたよな、懐かしいな…
そういや武臣は解散するまでずっと基を黒龍に勧誘してたっけ」
「あいつはマジでしつこかった、別に黒龍入んなくても真一郎達とダチなんだから入んねぇって言ってたのにな。
うちの樹にもしつこく言い寄ってるみたいだが若狭からも言っといてくれ、"梵天にはやらん,ってな」
ワカちゃんと基の話を聞きいりながらマスターがカルボナーラとサラダを作ってくれたのでお礼を言い手を合わせた
「まー言っても武臣は聞かないと思うけどな」
ワカちゃんもマスターが目の前にパスタとサラダを出してくれたので手を合わせて食べ始めた
「なんか基の昔話聞くの新鮮だから少し嬉しいかも…」
「基がなんで黒龍に入らなかったかわかるか?
大好きな娘の樹に被害が出るかもしれないから武臣の勧誘ずっと断ってたんだ」
「樹ラブだからな♡」
「真一郎くんと基の出会い聞きたい!
基ずっと教えてくれないんだよね、ワカちゃん話してよ!」
「昔話ぐらいしてやれよ、基?」
「真一郎との出会いは最悪だったから…
樹に嫌われたらどうすんだよ!?」
「ハハッ、まぁあの出会いは最悪だな。
今なら笑い話だ!
基は真一郎をボコボコに殴ったらしいからな」
ワカちゃんから聞いた私は冷めた目で基を見つめ"最低,っと呟くと基は私に抱きつき泣きながら謝ってきた
「パパーンもヤンチャな時代があったんだよ、許して樹!」
「真ちゃんがこの場にいたら爆笑だ、基と真ちゃんと俺達黒龍の話しをしてあげる…」
少し酔ったのもあるのかワカちゃんは珍しく声を上げて笑い、基の昔話を話てくれた…
オレがまだ白豹と呼ばれていたころ、族の間で喧嘩が強く売った奴らは全員病院行きにする一匹狼の銀髪童顔男の噂が飛び交った
名を知らないオレ達はそいつを銀狼(ぎんろう)と呼んだ…
それが神水流基だとわかったのは真ちゃんが基と出会ったときだった
螺愚那六(ラグナロク)と煌道連合(こうどうれんごう)を一つに真ちゃんがまとめあげ、オレ達がまだ黒龍を立ち上げる前…
夕日が落ち夜道を真ちゃんは偶然工事現場の前を通った…
すると青いツナギの服を返り血で真っ赤に染めた基と出会った
側には50人程の名のある暴走族のチンピラが倒れていた
「オマエ血だらけじゃん、大丈夫か?」
「あ?うっせぇ…
お前も俺に喧嘩売ってくんのか?
どいつもこいつも…
人が仕事終わって早く樹が待つ家に帰りたいだけなのに…
悪いが1発で終わらせる」
「待て待て!
オレはオマエと喧嘩してぇ訳じゃねぇって!」
「リーゼントの不良野郎の言うことなんざ信じてねぇ、オラッ!」
腹を蹴り上げると真一郎はぶっ飛びコンクリートの壁へと激突し血を吐いて蹲った
「あ?お前弱すぎんだろ」
「オマエの蹴り…すげぇな!!」
蹲りながらもヘラヘラ笑う男に舌打ちをしその場を去った…
だが翌日から仕事が終わる時間にあの男が毎日顔を出しに来た
「よッ!仕事お疲れさん」
「お前…また来やがってのかよ…
まだやられたりないのか?」
「違ぇよ、てかオレは佐野真一郎だ!
いい加減名前覚えてくれよ、基」
「馴れ馴れしく名前で呼ぶな、ガキのくせに…
大体俺の方が年上だ」
「同い年かと思った!オマエ童顔だな!」
「お前人が気にしてることを!はぁ…
怒んのもめんどくせぇ…
とりあえず職場に来んな、マジで邪魔だから。
ほら、コレ…」
携帯電話の番号と家の住所を書いたメモ用紙を佐野真一郎へと投げ捨てると真一郎はメモ用紙を見て微笑んだ
「こっちは仕事してんだ来るなら家に来い。
でも俺娘いるからお前らみたいに夜遊びできねぇけどな」
「基、結婚してたのか!?」
「離婚してるけどな、ほら。
家まで送ってやんよ」
基はヘルメットを投げるとバイクに跨りエンジンを掛け、真一郎はヘルメットを被ると後ろへと乗った
「基のバイクかっけぇな!
オレもバブ乗るからお揃いにしようぜ!」
「真似すんなや。
てかお前…本当不思議な奴だな。
俺みたいな奴と友達になりたいとか本当変わってんよ!」
「へへッ」
2人とも笑うとバイクを走らせた…
真ちゃんの粘りに折れた基はこの時を境に仲良くなり、柄違いのバイクを一緒に乗り回しのちの黒龍の明司武臣・荒師慶三そしてオレと連む仲へとなった…
黒龍には入ってないものの基の強さはダントツで強く、黒龍を守る"銀狼,と知れ渡った…
黒龍が日本一になったばかりのとき真ちゃんが黒龍を解散させた
解散後も真ちゃんと基はすごく仲が良く、よく真ちゃんのバイク屋に樹を連れて遊びに行っていた…
でもあの事件の後…
真ちゃんが死んじゃった後から基とオレらは一才連絡することもなく会ってなかった…
「だからこうやって今、基とまた会って話せるのはオレにとっては凄く嬉しいことなんだ…
まぁお前が神水流組の息子だとは知らなかったから驚いたけど」
「へー、真一郎くんのストーカー並みな行為に基は折れて仲良くなったんだ。
真一郎くんやるね!」
「笑い事じゃねぇから、マジであのときの真一郎はしつこかった。
まぁあれがきっかけで仲良くなったのは本当だけどな…」
思い出に花を咲かせた基は微笑むと酒を流し込んだ
「黒龍解散後の武臣噂は耳にしてたが、俺はあえてアイツに何も言わなかった。
若狭、武臣は金欲しさに自身の妹を据え梵作ったのか?」
「あの頃の武臣はドン底まで落ちぶれたが、梵を作ったのは千咒自身が決めたことだ。
ウチの姫が"東京卍會の無敵のマイキーと戦ってみたい,って言ったのがきっかけ。
だから千咒はチームを作ったんだ」
「へー、千咒が万次郎とね…
私も本気の千咒と戦ってみたいかも、あの子強いから」
ご飯を食べ終わった私はノンアルコールのカクテルを飲んだ…
「樹がそこまで言うなら武臣の妹はなかなか骨のある女なのか。
でも樹が一番強くて可愛いけどね♡」
「抱きつくのやめて、マジで邪魔…」
「本当昔から親バカだな、基は樹のことを愛してるからな。
樹が結婚するときは大変だろうな、基は絶対許さないって予想がつく…」
「私が言うのもあれだけど、基は親バカだからね…
でも私彼氏いないし結婚とか無理かも」
「心配しなくても樹の婿はパパーンが探してあげるよ♡」
「ヤクザ関係は嫌だからパス、それに今は恋愛とか興味ないからいいや。
それよりも基こそ新しい嫁見つけたら?
分家から大量に見合い写真きてるのに断ってんてしょ、まだ若いんだし跡取りもう1人産んだほうがいいわよ。」
「若いしイケメンなの知ってるけど、俺の目に止まるいい女いねぇんだよな。
樹が俺の赤ちゃん産んだらいいじゃん♡」
基の言葉に私もワカちゃんも衝撃な言葉に同時顔を殴り基は椅子から落ちた
「冗談にも程があるんだけど?」
「基、それ言っちゃダメなヤツ…
誰でもいいから嫁見つけろ…」
私とワカちゃんは椅子から落ちた基を足で蹴り冷めた目で見下ろしていた
「痛ッ…冗談だって!
んな怒んなって!」
ワカちゃんは笑うと椅子に座り酒を流し込んだ
「基の発言は冗談なのか本気なのか昔からわかんないから手出しちまった。
それにしても樹は容姿も中身もいい女に育ったな」
「そりゃ、俺の娘だからな♡」
「基は少し黙ってて!
ワカちゃん、もし三天が争うことになったらの話なんだけど。
私はどこにも属してないからもし抗争になったら手加減はできないかも。
私の邪魔をするなら…ワカちゃん達梵も手を出さないといけない。
私はタケミっちーとドラケンが大切だからさ…
それだけは覚えてて…」
お酒の席で笑いながらワカちゃんへと言い放ったが私の殺気に一瞬驚き微笑み返した
「さすがだな、昔の基を思い出した」
「俺の娘はそこら辺の女と違って肝が据わってんだろ♡
とりあえず俺の娘に勧誘すんなよ、絶対入れさせねぇからな!」
「ベンケイは樹が来るの楽しみにしていたけどな」
「慶三は戦ってみたいんだろうが、あの筋肉バカわ。
梵・六波羅・関東卍…
どいつもこいつもなーに考えてんのかおっさんの俺には理解できねーよ。
とりあえずあのバカを樹はどうにかしてぇみたいだけど…
あぁ!!思い出しただけで腹立つ!!
今からあのガキぶっ飛ばしに行っていい?」
「基ダメだって、何回言ったらわかるの!
ヤクザがカタギに手出しちゃダメって約束してるでしょ?
真一郎くんもよく言ってたでしょ、"弱い者イジメ,はダメって」
「へーい、わかってますよ…」
いじけた基を見た私とワカちゃんは顔を見合わせて笑った
「久しぶりに2人とも会えたんだからゆっくり話しなよ、マスターご馳走様でした!
お料理美味しかったです、基がお金は払うので!
私はそろそろ帰るわ」
カウンター席を降りるとバイクの鍵を出しバーの扉を開いた
「樹寂しい!!」
「樹今日はありがとう、またな」
「ワカちゃん酔っ払いの相手お願いね!」
2人に手を振ると私は店を出てバイクに乗り自宅へと帰っていった…
「若狭、俺はもう昔みたいにお前ら側じゃねぇ…
若狭も慶三も武臣もダチとしては好きだ、でも今回は昔みたいにお前らを助けることは無理だぞ」
「わかってるよ…
オレはそれを当てにはしてない、けど武臣は樹に目をつけてる。
地下格闘技での映像を武臣が見せてくれた…
樹の動きのキレにあの強さ、ウチの姫が本気出しても足元にも及ばない。
どんだけ強くさせたんだ?」
「俺はなーんにもしてない。
まぁ子供1人で家にいることが多いから変な虫がつかないように小さい時から武術は習わせてたけどな。
あんなに強くなったの圭介が死んでからとあのチビが樹の元を去ってからだな…」
胸ポケットから煙草を出すと火をつけ、俺は吸い始めた…
「東卍の壱番隊隊長だった場地圭介か、樹と付き合ってたと聞いた…」
「あぁ…
あの抗争で死んだよ…
ただのガキ同士の喧嘩で死人がでる、だから族は嫌いなんだ。
圭介は俺も認めてた男だった、いい奴ほど早くに逝っちまうんだよな。
神様って奴は本当残酷だな…
若狭…俺は真一郎が大好きだ、だから弟の万次郎もどうにかしてやりたい。
だがウチの大事な樹に手を出すのなら話は別だ、まぁお前らの争いを傍観してやるよ。
樹との約束もあるからな」
「関東一のヤクザを怒らせないように気をつけるさ」
「昔話に花が咲いちまったな、さて帰るか。
マスターこれで支払い頼む」
財布から黒いカードを出すとマスターは受け取り会計を終わらせた
「基、ご馳走様」
「ほら送ってやるから乗れ、久しぶりに若狭と会えて楽しかった」
オレは若狭の肩へと腕を回し髪をぐしゃぐしゃ触った
「やめろって、髪汚くなるだろ」
「若狭…お前は死ぬなよ。
真一郎みてぇにい俺の側からいなくなんじゃねぇぞ…」
「お前が心配するなんて珍しいな」
「俺も年取ったからな、丸くなったんだよ!ほら、早く乗れ」
組の迎えの車へと近づくと後部座席を開けた若狭を車に押し込むと、助手席へと俺は乗り込み運転席の獅稀へと車を出すように促した