幼魚と逆罰
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私は空いていた道場へと入ると、静かに刀を床へと置き正座した
大太刀の刀は普通の刀のサイズよりも凄く長い
傑が清香お婆ちゃん達を殺したときに
清香お婆ちゃんが死ぬ間際に傑へ渡し
私へと渡すよう預かっていたと、悟が傑を殺すときに傑が言っていたらしい
千紅万紫は漆黒の鞘に守られ、赤い紐で何重にも結ばれていた
この刀を見ると傑を思い出しちゃうから、ずっと遠ざけていた
でもいつかは向き合わないといけないって思ってたから、大太刀の使い方は真希と練習してた
四尺もあるからね…
鞘から抜くのも難しいし、女の私では腕の筋力もつけないといけなかったし
紅眼を持つ私なら扱い方がわかるって傑は言ってたけど…
まぁやってみるか
私は紅眼を発動して赤い紐を解き、千紅万紫を鞘から抜いた
平安の時代の刀なのに
一才刃こぼれ一つもなく
曇りのない刀身を見つめた
すると透き通った裸の女性が刀から現れ、私の目の前へと現れた
長い髪の毛を靡かせ、私と少し似ている顔は涙で溢れていた
「っ!貴方はだれ…?呪霊ではないな、透けてるけど幽霊?」
裸の女性を手で触ろうとしたが、触れないため
やはり実物ではないようだ…
裸の女性は私の顔を両手で触れると、私の紅眼を見つめた
「やはり千年の歳月は私の力を引き継ぐ子を成してしまったか…。私は蘭姫(らんひめ)呼ばれるもの。貴方の先祖にあたります、その力にその身体…謝らなければなりません。」
この女性が蘭家のご先祖様…
貴方が宿儺の言ってた蘭姫
「この時代は宿儺の器がいるのですね…貴方の紅眼ならこの世の者ではない私の過去をも見通せる。さぁ」
蘭姫は私の手を取ると
私と同じ赤い目で私を見つめ
私は紅眼で蘭姫を見つめると過去へと誘った
道場にいたはずの私は薄暗い夜道に立っていた
私は目の前の光景に驚いた
道端には数え切れないほどの腐敗した遺体や骨になってしまった人骨が散乱していた
なにこれ…
「貴方は今まで紅眼で断片的な過去しか見ていなかったけど、ここは私の過去そのものの場面を見ているのです。ここは呪霊渦巻く平安の世…
私は浮浪児でしたが、呪力が高かったので師の晴明の目に止まり呪術師として学んでいました。
宿儺と私はこの時出会いました。」
蘭姫の指先した方向を見ると、四本の腕と二つの顔を持つ異形の姿をした者が村の人間を殺していた
村人たちは手足をバラバラにされ、辺りはどこもかしこも血だらけで真っ赤に染まっていた
そんな血だらけの道を平然と幼い袴姿の蘭姫は大太刀を持って
何ごともないかのように通り過ぎようとした
「待て、小娘!」
宿儺の声にも無視して歩くのをやめない蘭姫に宿儺は苛立ち攻撃した
だが、宿儺の攻撃を簡単に避けるとまた歩き出した
それに驚いた宿儺はケヒッっと笑うと次は蘭姫の目の前へと立ち塞がった
「オマエ呪術師か?動きがいいの。村人を殺した俺をオマエは気にもとめないのか?」
「別に私には関係ないことですから…でも私の道を塞ぎ邪魔をするのであれば、容赦はしませんよ?」
蘭姫は前鬼と後鬼を出すと宿儺へと組み敷き、持っていた大太刀を地面に突き刺し
電流を纏い宿儺へと撃ち放った
一瞬宿儺の動きが鈍くなったのを見た蘭姫は式神と紫電呪術を解除し
突き刺した大太刀を鞘から抜くと、宿儺の背中へと素早く回り
右手の一本を斬り落とした
斬り落とされた腕を見た宿儺は驚きを隠せないでいた
「小娘、俺の腕を斬り落とすとわ…気に入った!名は何と言う?」
蘭姫は大太刀を鞘へと戻しまた歩き出した
「蘭姫、師が待ってますので。さようなら、呪いの王」
その後ろ姿をじっと宿儺は笑いながら眺めていた
「蘭姫ってすごく冷めた感じの子供だったんだね〜ご先祖様だわ、私も少し似てるから笑っちゃった」
てか全盛期の宿儺の腕を斬るとかすごく強かったんだね…
蘭姫って…
これ絶対宿儺に目をつけられちゃっただろうな
蘭姫が手をかざすと場面は変わり、宿儺がストーカー並みに毎日毎日現れている映像が見えた
「私の大切な人に危害を加えるのなら敵としてみるけど、自分に害が無いなら私は呪霊と言えど祓うことはしない人だったから…これを気に宿儺は度々私に会いにくるようになった。もちろん、師のいないときにだけどね。日に日に会話も増えていき、宿儺と少しだけ親しくなったある日。いつものように宿儺に付き纏われ、少しだけ宿儺と話し込んでいると、私の身体が初潮を迎えてしまった」
蹲る蘭姫に宿儺はどうした?と覗き込むと、股から血が出ていることに気がついた
「お腹、痛いっ…」
「蘭姫、オマエまだ初潮がきてなかったのか。安心するがいい、女の身体になった証拠だ。」
宿儺は自分の袖の着物で血を拭きとったが、蘭姫の身体から発する匂いに顔を歪ませた
蘭姫の痛がる顔を見た宿儺は抑えがとまらず、蘭姫の唇へと接吻した
初めての出来事に蘭姫は驚き、宿儺の下で暴れるがびくともせず
されるがままだった
「オマエ…愉快愉快!!ケヒッケヒッ!驚いた…その身体、人の子だけでは無いな。呪霊も孕ませれる。」
「まさか、そんなこと…」
宿儺の言葉に驚いた蘭姫は即座に式神を出すと宿儺を突き飛ばし、距離を取った
「初潮が来るまでは気づかんかったが…オマエの身体の匂いに連れられて、呪霊どもが今よりも寄ってこよう。その身体に孕ませる為にな。ケヒッケヒッ!」
宿儺の言葉に蘭姫は絶句し、前鬼抱きつくと素早く宿儺の元から去り
師の待つ屋敷へと急ぎ飛んだ
師である晴明は縁側で昼間から酒を飲んでいた
「蘭姫、また宿儺の呪いを纏わりつかせて帰ってきおって。そんなに慌ててどうした?」
前鬼から降りると顔面蒼白な蘭姫を見た晴明はこれは只事ではないと酒を飲む手を止めた
「師匠、先程宿儺と話しておりましたら初潮がきまして。」
めでたいではないか!今日はお祝いしなくてわ!っと騒ぎ立てた
「それが私の身体は呪霊との子も孕むことができると宿儺が言い、襲われかけました…」
蘭姫の言葉に晴明は驚き、騒ぐのをやめた
「そなたは呪霊達に好かれる体質だと思ったが、まさか初潮がきてそのような身体だったとは…蘭姫、呪霊との子を孕みたいか?」
「そのような摂理に反することはしたくありません!」
「なら、私が術を施そう。全部脱げ、ただ孕むことはできなくするが。今まで通り、呪霊は蘭姫に寄ってくるだろう。そしてこの効力いつまで効くかはわからん。其方の子孫がいつの時代か同じような力を持って生まれてくる子がいるはずだ、その子の時までは術の効果はない。それでも構わないか?」
師匠の言葉を受け止めた蘭姫は袴を脱ぎ捨て、裸になり師匠の前に立った
晴明は左手を子宮のあたりに翳し、右手を口に当て術を施した
その様子は蘭姫と私は眺めた
「師匠の術は効き、私は呪霊に襲われることもなく子を孕むことはなかった。師は私を一人で屋敷から出ることを禁じ、宿儺とはあの日会ったのが最後。そして今の世で貴方に私の身体と力を引き継いで生まれてきてしまった…申し訳ない。」
蘭姫は深々と頭を下げて私に謝ってきた
「貴方が謝る必要ないよ〜だってこの力のおかげで大好きな傑と出会えて、この呪いの世界にいられるのだから!むしろ感謝しかないよ?まぁ、あの宿儺に好かれるのは悟並にめんどくさそうだけど…」
私の言葉に蘭姫は驚いたが、貴方は凄く優しい子ありがとうっと笑った
過去の場面は消え、私は高専の道場へと戻っていた
蘭姫は千紅万紫へと指差した
「この刀は呪具の一つですが、紅眼を持つ者にしか扱えません。紅眼を発動したままこの刀で斬れば、どんな呪いも無力化する力があります。ただこの刀を握っている間は紫電呪術も式神も使えません。先程昔の私がしてたように、一回手を離せば呪術は使えます。」
「へ〜、この刀そんな力があるんだ。」
「過去の私より貴方は気高く強い、きっとこの刀と紫電呪術を上手に扱えるはずです。ですが、人も呪霊も貴方の身体の秘密を知れば狙われることを忘れないで…」
蘭姫は私の手を握ると私はこれで眠りにつけると笑い、消え去った
「ありがとう、蘭姫」
消え去った蘭姫へとお礼を言うと、私は千紅万紫を左手で握ると
右足を前に出し、柄を右手で握ると鞘から一気に抜いて
無力化できるってことはあまり言わないほうがいいかも
私は刀へと握る力を入れ、大太刀を扱えるように練習し始めた