六歳の私と高専生活-玉折編-
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顔に照りつける朝日に眩しすぎて私は目を覚ました
隣で寝ていたはずの傑お兄ちゃんが見当たらず、驚いて飛び起きると
傑お兄ちゃん静かに縁側に座って庭を眺めていた
傑お兄ちゃんにとってこの呪術師としての世界は生きづらくもがき苦しんでいるように
私は感じていた
そっと後ろから抱きつき、傑お兄ちゃんの頬へと引っ付いた
「傑お兄ちゃん、私が養ってあげるからさ。十六歳になったら、私と結婚して呪術師やめてのんびり暮らすのどう?」
突然のプロポーズに傑お兄ちゃんはびっくりしすぎたようで、持っていた湯飲みを落とした
「由奈、急にどうしたんだい?驚きすぎてお茶をこぼしてしまったよ…」
由奈の急な話に私は驚いてお茶を溢してしまったので、タオルで拭き湯飲みを机に置いた
「由奈、君はまだ六歳だよ。それは無理だよ。君は私しか見ていないからそんなふうに思っているだけさ。これから成長していく中で、色んな人と出会い、素敵な人と出会えるさ。」
「私は本気だよ!!傑お兄ちゃんのこと大好きで異性としてちゃんと見てるもん!傑お兄ちゃんのバカ!!」
「由奈!」
真剣な告白に傑お兄ちゃんの言葉が許せなくて、呼び止める傑お兄ちゃんを無視して私は部屋を飛び出した
そのとき清香お婆ちゃんが朝食を持ってきてくれたのだが、泣き顔を見られたくなくて
その場から走り去った
私は頭に手を当てるとどうするべきだったのだろうとため息をつき
頭を悩ませた
「あらあら、朝食を持ってきたのだけれど。タイミングが悪かったわね、ごめんなさいね。」
清香さんと中居さんが私と由奈の朝食を運んできてくれた
清香さんは中居さんにすぐに立ち去るように言うと
私がいる縁側へと座ると、着物の袖から何枚かの封筒を出し私に見せてくれた
「あなた方が初めてこちらに由奈を連れてきてくださった日から、実は私と由奈は毎週文通をしていましてね。それはその一部の手紙ですの。手紙にはあなたのことがいつも書かれていましてね。ですがこの最近、傑さんの変化に気が付かれたようで…幼いながらにもどうしたら傑さんが元気になるか相談されましてね。お気づきではあると思いますが、今回の護衛の任務は私が企てたのです。」
清香さんの話を聞いた私は
私をずっと心配してくれていたのか由奈…
だからさっきあんなことを言ったのか
「傑さん、私はあなたが何に悩んでいるかはわかりませんが。どちらにせよ、あなたが決めた人生ですから止めはしません。ですが忘れないでください、貴方の隣にはあなたのことを心配してくれる素敵なレディーがいることを。」
「今から謝ってきます、朝食は由奈と一緒に食べるので置いといてください!」
清香さんの話を聞いた私はすぐに由奈を追いかけた
その頃竹林の中を泣きながら走った私は立ち止まると、うずくまって泣いていた
すると背後に傑お兄ちゃんの気配を感じたが、泣き顔を見せたくないので振り向かなかった
「泣かせてしまってすまない。由奈はずっと私が何かに悩んでいるのに気づいていてくれたんだね。ありがとう」
傑お兄ちゃんは振り向かない私の頭を撫でながら謝ってきてくれた
私は浴衣の袖で涙を拭き、傑お兄ちゃんへと謝った
「好きなのは嘘じゃないよ、本当。プロポーズしたのは傑お兄ちゃんがそうしたら悩まずに元気になるかなって思ったの…私もバカって言ってごめんなさい。」
傑お兄ちゃんは私の腫れた目を触った
「由奈は泣いてばかりだね。あの話の返事は大人なってからだね。私が由奈に惚れたら考えてあげるよ、だからわたしが惚れる素敵な女性になってね」
ちゅっと私のおでこにキスをしてくれた
突然の傑お兄ちゃんのキスに私は顔を真っ赤にした
「任せて!前に悟お兄ちゃんがナイスバディな女が好きだって教えてくれたし、中身ももちろん素敵な女の子になって惚れさせるんだから!!」
傑お兄ちゃんのほっぺへと私もキスをして、高々に宣言した
仲直りをして戻ってきた私達を見た清香さんは朝食の準備ができてますよっと言って出迎えてくれた
私と傑お兄ちゃんは仲良く朝食を食べると荷造りを整えて、空港へと向かった
二日間お世話になった清香お婆ちゃんへとお礼を言って抱きついた
「またいつでも遊びにいらっしゃい。もちろん、傑さんもご一緒に。由奈、呪術師のお勉強もですが。一般の学びも大事ですからね、文武両道ですよ。」
「はい、もちろん!両方とも頑張ります!」
由奈いい返事を聞いた清香さんは私の目の前に立った
「人生にはたくさんの道があります、どの道に行っても決めるのは貴方。その言葉を忘れないでください。」
清香さんの深い言葉を心に刻み、ありがとうございましたとお礼を言うと
私と由奈は飛行機へと乗り、また高専へと戻っていった
傑お兄ちゃんと一緒に帰った私は
清香お婆ちゃんと会うのがこれで最後になるとは
このときの私は夢にも思わなかった