五歳の私と高専生活-懐玉編-
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傑お兄ちゃん達の依頼を聞いた私は直感が騒ぎ、お兄ちゃん達から離れては駄目だと
二人はもう任務の星漿体のもとへと行ってしまった
夜蛾先生に一緒に行きたいと頼み込んでいた
「夜蛾先生!お願い、傑お兄ちゃんと一緒に行かせて!」
傑達が行く前からずっと行くと聞かない由奈、夜蛾も流石に参っていた
聞き分けのいい由奈がここまで譲らないとは…
「だめだ!呪詛集団Qと盤星教たちが動いているんだぞ。五歳の呪術も使えない子供が行っても、傑と悟には足手まといだ!!」
夜蛾は心を鬼して怒鳴った
その言葉に正論を言われた私は黙るしかなかった
「わかった、行かない!呪術が使える様なったらいいんだね!夜蛾先生のバカ!!」
私のはじめての暴言に夜蛾先生は放心状態だった
悔しかった私は高専を飛び出し走り出した
悔しくて悔しくて涙を拭きながら
ずっとずっと走って
いつのまにか知らない公園へと着いた
私は泣いて汚い顔を水道で洗い、まだおさまらないこの感情を石にぶつけ蹴り上げた
「痛っ!!たく、人に向かって石蹴ってんだよ、餓鬼。」
私が蹴った石は公園のベンチに寝転んでいた男に当たってしまった
「うわぁ!ごめんなさい!大丈夫ですか?」
急いで男の元へと行くと、石が当たってしまった頭に怪我がないか確認しすると目が合った
傑お兄ちゃんとはまた違うイケメンさんだ
「お前…餓鬼のくせに、おもしろいもん持ってんな。痛っ、いたたた…マジ痛い。これ病院いかないとやべぇんだけど、どうしてくれんの?」
あれ?
さっき石が当たった頭見たけど、傷一つついてなかったんだけどな…
「ごめんなさい、お兄さん病院行きますか?」
私の言葉を聞くと待ってましたばかりに、ニヤッと笑うと
公園の入り口の前のコンビニを指差した
「病院はいいからよ、石あてた慰謝料としてタバコとコーヒー買ってくんない?セブンスターな!」
あっ、この人悟お兄ちゃんよりクズだ
五歳の私にたかってる
瞬時にクズな男だと判明したが、石を蹴って当ててしまった私が悪いと言い聞かせ
コンビニへと向かった
「はい、これで石あてたのは許してよね
。五歳の女の子にたかるって…お兄さんさ〜なかなかのクズだね。」
「くくくっ、初対面の男にクズって。まぁ否定はしない。最近の餓鬼はませてんな、わかってて買いに行ったのか。ありがとな。」
クズなお兄ちゃんの隣に座ると、コーヒーを飲み私がいるのをお構いなしにタバコに火をつけた
「んで、餓鬼。お前なんで泣いてたんだ?目、まだ腫れてんぞ」
「クズなお兄さんには関係ないです」
ぷいっとお兄さんから顔を逸らした
「クズだけどな。俺は伏黒甚爾って名前があんだよ。餓鬼、名はなんだ?」
「甚爾さんですか。私は餓鬼じゃなくて、蘭由奈です!!泣いてたのは…自分が弱くて悔しくて…泣いてただけ!」
「甚爾て呼べ、さん付けなんか気色悪い。お前が弱いね…俺は呪力はないし、見えないが。お前は弱くない、まだ餓鬼だから上手に扱えてないだけだ。」
甚爾は私の顎をぐっと引っ張ると、私を見つめた
すると前鬼の斧が甚爾と由奈の間に現れた
「それ以上儂の主に近寄るな、童。」
「天与呪縛の童ごときがわらわの主をたぶらかすとは!」
前鬼と後鬼の出現に驚いた由奈
「この人に手を出したらだめだよ!前鬼ちゃん、後鬼ちゃん戻って!!」
由奈の言葉を聞くと渋々二人は消え去った
「お前式神使うのか?主に従順なこった。俺の息子の恵と同じだな。」
タバコの火を消すと、ポイっと投げ捨てた
「甚爾は見えてないのにわかるの?」
「天与呪縛だからな…お前と違って呪力がまったくない代わりに、身体能力が高いんだよ。んじゃ、ありがとよ?」
立ち去ろうとした甚爾を私は腕を引っ張り止めた
「じゃ甚爾強いよね?どうせ暇なんでしょ?私に修行をつけてよ!」
「餓鬼、俺の受講料高えぞ?」
甚爾に万札を10枚見せるとお嬢かよっと悪態をつき、札を掻っ払いポケットへといれた
「了承してくれたんだね。」
私は甚爾から少し距離を保と前鬼ちゃん達との組手をするときの様に構えた
「恵よりませてんな。餓鬼に合わせた手加減できないからな、泣いても知んないぞ。」
甚爾の話を聞き頷くと、二人とも素早く動いた
甚爾の左足を狙って蹴りを入れるが難なく交わされ、顔目掛けて腕を振り上げた
間一髪のところで避け砂を目に投げると背中へと私は蹴りを入れた
だが五歳と成人した男性では力の差があり、足を掴まれ投げ飛ばされた
公園の木にぶつかった私は頭から血が流れ出た
「痛っ、子供相手にこれは反則でしょ。」
血が目に入り前が見えないので袖で血を拭いた
「お前も反則だろ、砂は目にかけるなって教えてもらわなかったのか?」
この餓鬼、小さいからって舐めてたわ
砂で一瞬の隙に俺の背中に蹴りを入れやがった
まだ筋力がないから痛くもないが…
この俺に一発食らわすとは
あと10年もしたら身体が追いついたときは、化け物並みに強くなるな…
甚爾は砂が入った目を擦ると由奈へとむきなおった
「式神としか練習してなかったからね。甚爾と戦えて嬉しい。まだ付き合ってよね!」
身体中が痛いが甚爾へと向かった
足も手も傷だらけでぼろぼろになった由奈
公園のど真ん中で寝転んでいた
甚爾の方は傷一つついてなかったが、凄い汗の量だ
「もうお終いだ、餓鬼は帰る時間だぞ。」
甚爾は由奈を起き上がらせるとコーヒー飲めっと渡してくれた
ばててた私は喉が渇いていたため、苦いコーヒーも美味しく感じた
「お前、筋はいいんだよ。ただ筋力が体についていけてない。筋力が足りねー、まぁまだ五歳だからほどほどにしときな。」
「ありがと、甚爾!」
コーヒーを半分飲んで甚爾へと渡した
その時甚爾と目が合った瞬間
私の目に見たことない映像が流れてきた
突然目を開いて固まってしまった私を
甚爾は心配して大丈夫か?っと揺さぶってくれた
甚爾にそっくりな男の子が怖いお爺ちゃんに殴られている
母親に抱かれている小さな赤ちゃん、その横で甚爾の幸せそうな顔
甚爾が玄関からでると甚爾にそっくりな小さな男の子が寂しそうにたっている映像が見えた
「おい!由奈、しっかりしろ!大丈夫か?」
甚爾の声で我に帰った由奈
赤い瞳からは涙が溢れた
「ごめん、甚爾の過去が見えた。君は小さい時…凄く辛い世界にいたんだね。でもすごく大切な人と出会って幸せだった。あの子は大切な人と甚爾の子だよ…大切にしてあげないと。あの子は寂し思いをしてる。」
由奈の話を聞いた甚爾は驚いたが、何も言わず静かに聞いてくれた
「勝手に見てしまってごめんなさい」
「お前の能力の一つか…だが俺はクズな父親だからな。」
甚爾は教えてくれてありがとなっと私に言うと頭を撫でてくれた
そのときの顔は少しだけ優しい、幸せだったあの時の表情だった
甚爾はタバコに火をつけるとまたなって私に言って手を振ると歩き出した
本当にまた会うことになるとは
この時私は思いもしなかった