幼い私の高専生活
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
本館の隣に立っていたのは昔ながらのお屋敷でお庭には色鮮やかな花が咲き乱れ
手の行き届いた庭園が広がっていた
悟お兄ちゃんに連れられた私は応接間入った
広い部屋にはレトロモダンな机と椅子が並んであり、煌びやかな壺や大きな時計が飾ってあった
幼い私には価値がわからないが高価な家具であることは理解した
部屋に入ると大女将の清香さんがこちらへとみんなを長いテーブル席へと座るように伝えると
部屋にいた車椅子に乗ったおじいちゃんの隣にたった
「初めてまして、蘭 剛(あららぎ つよし)でこの蘭家の当主でございます。足が悪く立つことが出来ないため、このような姿で挨拶する私を許してください。」
白髪頭の眼鏡をかけたおじいちゃんはどうやら私のママのお父さんらしい
「そのままで結構です、お気になさらず。こちらこそこんな大勢で押し掛けてしまう形になってしまい、申し訳ないです。こちらが亡くなった娘さんの子で、由奈です。」
夜蛾先生は私に立って挨拶しなさいと言った
「初めまして、おじいちゃんおばあちゃん。私は由奈です。ママはもういないですが、会いに来ました。」
四歳の挨拶を聞いた清香さんは袖からハンカチを出すと涙を拭いていた
「由奈ちゃん、私たちは君に謝らなければならない。君がママと暮らしているときに君にすごく辛い思いをさせてしまっていたようだね。夜蛾先生から全部聞いたよ。謝ってすまない問題だが、申し訳なかった。」
「私の娘がごめんなさいね。」
剛と言ったお爺ちゃんと清香お婆ちゃんは泣きながら深々と私に謝ってきた
「なんでお爺ちゃんとお婆ちゃんが謝るの?ママはね、私が呪霊達を見える子だったから怖がってただけ。反対にママを呪霊から守れなくてごめんなさい。」
由奈の言葉に清香さんは貴方は謝らなくていいのよって言いながら抱きしめてくれた
よかった
この人達はママみたいに私を怖がる人じゃない
「君も呪霊が見えるんだね。君のママはねこの家で唯一見えなかったんだ、それがあの子にとっては凄く嫌だったんだろうね…あの子は目に見えぬ者が見える家族が大嫌でね。ある日突然家を出てしまった。そして私達が知らない間に君を産んでいた。」
「由奈ちゃんさえよければ私たちのところに来ないかしら?あなたのママのお兄ちゃんもいるし、二度と貴方に暴力を振るったりする人はいないから安心してちょうだい。」
清香さんの言葉を聞いた傑お兄ちゃんは少し暗い顔をしていた
清香さんは大好きなママと正反対の優しいおばあちゃんだ
この人達となら幸せに暮らせるんだろうな
でも私はそんな暮らしじゃなくていい
大好きな傑お兄ちゃんの隣で
呪術師として生きていくって決めたから
そっと清香さんの手を握った
「おばあちゃん、おじいちゃん。その言葉に嘘がないのはわかるよ。おじいちゃん達と暮らしたら凄く幸せだと思う。でも私は呪術師として…隣に立って一緒に戦いたい人がいるの。だから私は呪術師の世界にいたい!夜蛾先生が保護者で高専で暮らしていくことを許してくれないかな?お願いします!!」
由奈の言葉を聞いた悟と硝子は傑へとにやにや笑っていた
「幼いのに由奈ちゃんは生きる世界を自分で決めれているのね。呪術高専は貴方にとっていい環境のようね。あなたこの方達に孫を頼みましょう」
清香さんはそう言って引き出しから万年筆と紙を出した
「そうだね。でも由奈私たちは家族だから何か困ったことがあったらいつでも言ってくるんだよ。由奈力になりたいからね、保護者の夜蛾先生にこれから大人になるまでに必要な物は渡しておくからね。」
お爺ちゃんは一筆書くと黒いカードと手紙を袋へと入れ夜蛾先生に渡した
「うん、お爺ちゃんお婆ちゃん!ありがとう!」
由奈は清香おばあちゃんと剛おじいちゃんへと抱きついた
「もしお時間大丈夫でしたら、皆さんお昼をご一緒にいかがです?せっかく由奈ちゃんも来てくれましたし」
「夜蛾先生どうする?ママのお兄ちゃんが言ってくれてるけど。」
「飛行機の時間までまだあるからな。せっかくだから由奈もゆっくりしたいだろう。
お言葉に甘えてもいいでしょうか?」
「こちらは大丈夫ですよ!今から準備いたしますので、こちらでお待ちください。」
誠お兄ちゃんは扉を開けると次々に中居さんが料理を乗せた膳を持ってきてくれた
鯛や鮑瀬戸内海で獲れた魚達のお造りに鯛飯
真鯛の塩焼き、天ぷら、茶碗蒸しにお吸い物
たくさんの料理が机に並んだ
「さすが老舗旅館、準備早すぎだろマジ美味そ〜!」
「悟、行儀が悪いよ。騒がしくてすみません。」
「賑やかな方が年寄りは嬉しいですから、お気になさらずたくさん食べてください。」
傑お兄ちゃんは悟ちゃんを注意したが、悟お兄ちゃんは気にもせず
美味しかったのか夢中で食べていた
私もいただきますと手を合わせると硝子お姉ちゃんと一緒に食べた
「ん、美味い!それはそうと、蘭家の当主様に聞きたいんだけどさ。俺は五条悟。御三家と言えばわかる?」
箸を止めると、悟お兄ちゃんはいつもかけてるサングラスを外してお爺ちゃんを見つめた
「その瞳、六眼ですね。五条家の方でしたか。我が一族は先祖の蘭姫以外は代々非術師の家系でして。気付くのが遅くなり申し訳ない。」
「率直に聞きたいんだけど、蘭姫って何者?五条家には俺のご先祖様が蘭家の先祖の蘭姫に助けられたとしか書かれてなくてね。教えて欲しいんだけど。」
「五条家にはそのように書かれておいでなのですね。」
剛お爺ちゃんはお茶を飲むと話し始めた
「私達のご先祖様である蘭姫は平安時代にいた方で、安倍晴明様に才能を認められるたお方だったそうです。女でありながら高い呪力をお持ちだったようで、師である晴明様の式神。前鬼後鬼を扱えたと聞いております。そして赤い眼、紅眼(こうがん)を宿していたと伝えられています。」
剛お爺ちゃんは私の目を見つめた
「由奈は赤い目を持ち、呪力も高い、そして式神も出せると聞きました。我が一族は恥ずかしながら、ご先祖様以外は皆非呪術師です。由奈は蘭姫さまと同じ力を持って生まれてきた。蘭姫さまの生まれ変わりではないかと、私は頭をよぎりました。」
蘭姫の生まれ変わりね…
悟は由奈を見ながら考え込んでいた
「術式は?由奈はまだ式神しか見てないから、術式わかんないんだよね。ちなみに紅眼ってどんな力?」
「言い伝えでは蘭姫は紫電呪術(しでんじゅじゅつ)と言って電流を操れたと。紅眼は目で見た人の過去が見えるとか、正確なことはわかりません。なにせご先祖様以来の呪術師なものですから。」
悟と蘭家当主の話を聞き入っていた傑
私は呪霊操術で操作系の術式種類に入るが
由奈は悟と同じ特殊なタイプの種類に入る可能性が高いな
まだ見てないが蘭姫の紫電呪術を扱える可能性が高い
「それだけの情報を知れただけでも由奈とってはありがたいことだね。」
傑お兄ちゃんは私の頭を撫でてくれた
「私も修行したらしでんじゅじゅつってかっこいいのできるようになるの!?」
「まだ四歳だからね、もう少しおっきくなったら使えるかもしれないね。」
「小学生になったら修行始めたい!」
「子供には早いっつうの。隙あり!」
悟お兄ちゃんは私の大好きな茶碗蒸しを奪い、あっという間に食べた
「悟に茶碗蒸し取られるようじゃまだまだ無理そうね」
硝子お姉ちゃんは笑って自分の茶碗蒸しを私にくれた
「貴重なお話をしていただきありがとうございました。由奈は私どもが責任持って立派な呪術師にしますので。お食事美味しかったです、ありがとうございました。」
夜蛾先生と私達は食事を終え席を立つと、門へと歩き出した
門の前ではワゴンタクシーが待っていた
夜蛾先生たちは乗りこんだ
私は乗る前にお爺ちゃんお婆ちゃんとママのお兄ちゃんへと向くと
深々と一礼した
「こんな私を家族として扱ってくれてありがとう!また遊びにきます。」
清香お婆ちゃんがさっと走って抱きついた
「由奈ちゃん、貴方は私達の孫娘なんだからいつでも遊びに来てちょうだい。お婆ちゃん達は大歓迎よ。これみんなで食べなさいね。」
清香お婆ちゃんはおっきな風呂敷包みを私に渡してくれた
「ありがとう、さようなら」
私は夜蛾先生たちが乗った車へと乗り込み、見えなくなるまで手を振った
「由奈、あそこんちにいたら遊んで暮らせたのに。ほんとに俺たちみたいな腐った世界に来るのか?」
「悟お兄ちゃん、たとえ腐った世界でも私は呪術師になる夢があるからね。高専に入るまでには傑お兄ちゃんの隣に立ってるんだからね!!」
私の言葉に悟お兄ちゃんはへいへいっと聞き流し、風呂敷を開けて坊っちゃん団子美味い!!っと勝手に食べていた
「今日はお疲れ様、由奈。私は由奈がこちらに残ってくれて嬉しいよ。」
「私は傑お兄ちゃんが大好きだからね。遠くには行かないよ」
だからね
傑お兄ちゃんも私から離れていかないでね
最後まで言いたかったのに疲れた私は眠くなり、瞼を閉じてしまった