番外編
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二〇一七年
十二月二十四日の百鬼夜行で傑と最後のお別れをした私は、傑の約束通り悟の側にいた
年末年始棘は実家に帰っている為、パンダと真希と憂太が寮には残っていた
あんなお馬鹿な悟も五条家の当主なので、実家は年末年始帰らなければならない
そして御三家の年始の集まりには嫌でも参加しないといけないようだ…
私は毎年恵と津美紀と過ごしていたが、津美紀が呪われて入院している為今年は寮にいる
恵をあのアパートに一人で年末年始を過ごすのは可哀想なので、私が夜蛾学長に頼んで高専の寮で真希達と年末年始を一緒に過ごせるようにしたのだ
憂太の部屋でまったりと恵と真希達みんなは映画を見て、私は漫画を読んでいた
すると悟が扉を開けて私に飛びついてきた
「由奈ー!今年は僕と御三家の集まりに行くから一緒に帰れるよ!」
「はぁ?なんで私が行かないといけないの、屑のジジイ共と顔合わすの嫌だから無理〜」
悟を無理矢理引き離すと、真希と憂太の側に逃げた
「僕も行きたくないけどさ〜禪院家と加茂家と五条家の年始の集まりに、禪院直毘人が由奈を連れてこいって二十四日の百鬼夜行終わってからずっとうるさくてさ。無視してたけど夜蛾学長にまで電話してきてるわけ、悪いけど一緒に来て」
悟はお願いっと私に手を合わしお願いしてきたが、御三家でもない蘭家の私が何故呼ばれるのか理解できないでいた
「あのジジィが由奈をね…まぁ百鬼夜行であんだけ暴れたらどんな女か気になったんだろうな。悟がこんだけ頼んでるの珍しいし、行ってやったら?」
「真希は他人事だからそう言ってるけどさ、御三家だよ?私が行くのは場違いでしょ、年末年始は恵と真希達と過ごしたい」
ムスッと頬を膨らまして拗ねると、真希はお前は可愛いなっとギュッと私を抱きしめてくれた
「悟も頼んでるんだから行ってやれよ、恵のことは俺に任せとけ。まさみちの携帯に毎日禪院家の当主から電話来て、まさみちどうしたらいいか頭抱えてたぞ」
パンダの言葉を聞いた私はお父さんである夜蛾先生の頭を悩ます姿が頭に浮かび…
可哀想な気持ちになったので渋々行くっと悟に伝えると
悟はやったーっと喜び、私を抱き上げた
「んじゃ由奈は僕と今から五条家に帰るからね!憂太はどうする?僕の親戚だから参加してもいいけど」
「僕は真希さんとパンダ君と年末年始は過ごすから行きませんよ。由奈ちゃん、気をつけて行ってらっしゃい」
「由奈、早く帰ってこいよ」
私は恵に良い子にしてるんだよと頭を撫でるとパンダ達に恵を任せて
悟とその場から消え五条家の屋敷へと降り立った
悟は私をお姫様抱っこのまま立派なお屋敷の門をくぐり、実家へと入っていった
悟の実家はまさに時代の流れを止めたような、歴史的な日本家屋で…
清香お婆ちゃんの屋敷の数十倍の広さで果てしなく大きく立派なお屋敷だった
玄関には家の使用人達がおかえりなさいませと数十人の着物を着た人達が出迎えてくれた
悟はただいまと言うと私の靴を脱がし、自分の部屋へと私を案内してくれた
悟の部屋は和洋室になっていて、何帖あるのかわからないぐらい凄く広く
キングサイズのベットとテレビとソファーと机しかなく、最低限の物しか置いていないシンプルな部屋だった
「年末年始はこの部屋で僕と過ごそうね♪御三家の集まりさえなければhappyなのにね」
サングラスを机に置くと、私を抱きしめたままソファーへと腰を下ろした
「悟の実家で年末年始過ごすのに、私荷物何にも持ってきてないんだけど。どうしたらいいの?」
「そこはちゃんと下着から服まで用意してるから安心して、御三家の集まりのときに着ていく着物も由奈の為にちゃーんと用意してるからね♪僕、出来る男でしょ?」
褒めてよと私の肩に顔を乗せてきたのでお礼を言って頬にキスをすると嬉しかったのか、私の唇へとキスをした
悟の部屋の扉を誰かがノックしたので悟はどうぞと言うと、扉を開け使用人さん達が洋服や着物や下着を持って現れた
「悟様、由奈様の滞在時のお泊まりセットをお持ちしました」
「そこに置いといて」
机の上に置くように伝えると、持ってきた物たちを置き部屋から去っていった
服も下着も悟の好みで選ばれたようで、下着を見ると面積少なめのsexyなレースの下着ばかりだった
洋服も寝る時の着物も素材からして高級品なのは理解できたが、一体何円したのか金額は怖くて聞けれなかった
悟は私の首筋を舐めると耳元で囁き、ニットをめくり服の中へと手を入れてきた
「御三家の集まりは明日の一月一日だからさー。それまでこの部屋でいっぱい愛し合おうね、由奈」
「ここ悟の実家だよ?それに昼間からは抵抗が…三十一日ぐらいゆっくりまったり過ごさない?」
ダメーっと悟は言って私をソファーへと組み敷くと、セーターを脱がして胸元を舐めると口付けをしキスマークをつけた
もうやめてと胸元いる悟を押したが、悟と目が合い悟の表情を見た瞬間
私はなんとも言えない気持ちになり、ぎゅっと悟を抱きしめた
そっか…
最強の悟だって人の子だもんね
親友の傑をその手で殺して平常心でいれる訳ないよね…
「おいで悟」
手を広げた私を見た悟は子供のように笑うと服を脱ぎ、優しく抱きしめ唇へと口づけをし
晩ご飯も食べるのも忘れ風呂にも入らず、悟は何度も私を抱き潰した
何度かわからない絶頂を迎え悟に抱かれた私は体液でベトベトになり、悟が私を部屋に付いていたお風呂まで運び身体を洗ってくれると一緒に湯船につかった
「由奈はさ、絶対俺と傑に呪われちゃってるよねー。本当愛ほど歪んだ呪いはないよ…ずっと側にいてね」
私の背中に抱きついている悟の手が少し強くなった
「心配しなくても悟の隣にいるから。でも悟にお嫁さんが出来たら隣は譲るかな〜」
「僕のお嫁さんは由奈って決まってるからねー!死ぬまで一緒だね♪愛してる、由奈」
いつもの悟になったので私は告白もいつものように聞き流し、湯船からでて用意してくれていた黒のレースの下着を履き旅館に出てくるような浴衣に袖を通し部屋に戻った
部屋にはいつの間にか豪華な料理が机に並べてあった
「僕たち晩ご飯食べずにずっとHしてたから食べてないでしょ?用意したから食べよー!ほらー!今年もあと十五分しかないからさ、食べよ」
悟はソファーへと座ると隣に座るように私に促し、テレビの電源をつけた
テレビはあの年末に有名な歌合戦が映っており、時計は二十三時四十五分をさしていた
「本当だ、今年もあと十五分しかないじゃん。お腹すいた〜頂きまーす!」
手を合わすと私と悟は晩ご飯を食べた
刺身に天麩羅に蟹にステーキに、さすが五条家の晩ご飯…
これ、お金持ちの晩ご飯だよ
「悟、この料理凄く美味し〜い!!」
「由奈の口にあってよかったよ。」
食べる姿も可愛いと言って悟は蟹を私へと食べさせてくれた
テレビに目を向けるとカウントダウンを始めていた
悟は私を抱き上げ向き合うようにすると、私のおでことおでこを引っ付けた
「由奈、大好きだよ愛してる。傑のこと好きなのは知ってる…それでも俺のことみて」
私はそっと悟の首に腕を回した
「悟、ちゃんとみてるよ。傑のことを私は忘れることができないけど…それでも私を愛してくれてありがとう。大好きだよ!あっ、ハッピーニューイヤー!あけましておめでとう!今年も隣にいるから安心してね〜」
テレビもカウントダウンがゼロになり、あけましておめでとうございますと賑やかに祝っていた
「あけましておめでとう!今年も俺の由奈でいてね。ってことで御三家の集まりまでまだ時間あるしー、ひめはじめしよ!」
食べていた私の箸を奪い机に置くと、私を抱き上げキングサイズのベットへと私を投げ飛ばした
「ひめはじめってその年になって初めて夫妻などが性交することでしょ?てかさっきまでHしてたし、だいたい結婚してないし〜集まり八時からでしょ?支度とかもあるから七時には起きないといけないから私寝たいんだけど…」
寝ずに御三家の食事会と言う集まりに参加しないといけないなんて無理…
せめて寝かせて!
眠い私は布団に潜ったが素早く布団を奪われ、悟が笑いながら私の上に跨っていた
「寝かせる訳ないじゃん♪てかその年でひめはじめの意味知ってるとかエロガキめ。浴衣姿の由奈見たらまた勃っちゃったからさー、責任とってね♪」
はだけた浴衣からそそり立つ悟のアレを見た私はため息をついた
悟の性欲にはやばすぎ!
これ…私気絶するかも…
案の定、七時まで抱き潰された私は絶頂を何度も味わい
悟の激しいsexに途中で意識を手放してしま
った
目が覚めると時計は七時を過ぎていた
何度も抱かれて怠い身体を無理矢理動かし、ベットから降りた
だがいつもみたいにベタつかない身体に違和感を感じ、髪もシャワーを浴びたかのようにいい匂いがすることに気づいた
すると洗面台から顔をタオルで拭きながら悟が出てきた
「由奈おはよ!流石にやりすぎたみたい、ごめんねー。中に出しすぎてベトベトだったから、気絶してる間に綺麗に隅々まで洗ったからね。髪も洗って下着も新しいの履かせてあげたよー」
自分の体を見ると黒のレースの下着ではなく新しく淡い桃色の花柄の下着を履いていた
着せてくれたのはいいけど、このパンツTバックじゃん…
身体を洗って着替えまでさせてくれた悟にお礼を言った
するとお手伝いさんらしき女性たちが四人、着物と帯に下駄に化粧箱を持って部屋へと入ってきた
赤い着物を持った女の人が下着姿の私の前に立つと、着物を見せてくれた
古典柄の総絞りの真っ赤な振袖で、悟が用意した物だし…
高級な品なのが見ただけでわかる
「由奈はこの着物を着せるからね♪じゃ僕も着替えないといけないから、あとは任せたよ」
お手伝いさん達に伝えた悟は部屋から出ていった
「着物を着せますのでブラジャーはのけさせてもらいますね。和装用ブラジャーもありますが、由奈様はなしで。ショーツはそのままでよろしいですよ」
パンツしか履いてない私は少し恥ずかしがりながらお願いしますとお手伝いさんに言うと、肌襦袢・長襦袢・着物・帯の順番で素早く着付けてくれた
着付けができた私を椅子に座らせ、髪をセットしながらもう一人の方が化粧をしてくれて
私はお人形の様に固まったままされるがままだった
髪は綺麗に編み込みをして低めの位置でシニヨンでアレンジしてくれたようで、小さなお花とパールをさしてくれた
ベースメイクは振袖を着るので立体感を出さないマット肌に仕上げて、振袖の赤い色と同じ色のアイシャドウと少しラメをぬり
眉は緩やかなアーチ型にアイラインは強めにまっすぐに引かれ、マスカラをまつ毛につけ口紅はアイシャドウと同じ赤色を塗ってくれた
最後に足袋を履かせてくれてどうやら完成したようだ
「まぁ!大和撫子に相応しい!お美しいですよ由奈様!」
「着付けにヘアメイクにありがとうございました!なんかすみません」
お手伝いさんにお礼を言うと、悟様はもうお車でお待ちしてますよと教えてくれたので
お手伝いの人が下駄を持って玄関まで案内してくれたので下駄を履き、外に停まっている黒の外車に乗った
私が乗ると車は御三家の食事会の場所に向かい移動した
車には黒紋付き羽織袴に身を包み、サングラスをかけた悟が座っていた
和装姿の悟を初めて見た私は、いつもと違う大人な雰囲気に少し頬を赤く染めた
「なーに恥ずかしがってんの、僕の着物姿に惚れちゃったー?僕は由奈の振袖姿に惚れたけどね♪めっちゃ可愛い、似合ってる」
悟がキスをしようとしたので、口紅をつけてるからダメだよと悟の唇を手で塞いだ
「めっちゃ可愛い振袖の由奈行かせたくなくなった、絶対変な虫つくのが予想できる。ねぇー、ばっくれちゃう?」
「五条家の当主が何言ってんの。それに真希の進級を邪魔してる禪院直毘人がどんな屑か甚爾の一族達見たいしね〜屑どもに会えるの楽しみ」
由奈は性格悪いねとクククッと笑うと車は大きな豪邸の前で止まり、運転していたお爺さんがドアを開け悟と私を下ろしてくれた
使用人達が五条家の悟様が到着したぞと言い、皆並んで頭を下げると部屋へと案内してくれた
私は一服したかったので悟に先に行ってもらい、縁側で煙草を吸っていた
そういや御三家の集まりなら京都校の加茂くん来てるし、真衣もいるじゃん
大好きな二人に会えるのなら来た意味あるな
吸い終わった煙草を灰皿に押し当て置くと、悟の待つ広間へと向かおうとしたが
目の前に金髪チャラついたピアス何箇所も開けて、もろ私と被ってるじゃんこの男…
細目で細身の書生風の格好をして男が私の道を塞ぐ様に立っていた
どっかの坊ちゃん…?
なんか面倒臭いことになりそうだから無視して立ち去ろ〜
誰もいないかのように無視して通ろうとしたが男が壁に手を当て、俗に言う壁ドンをして無視して通るのを出来ないようにしてきた
「無視して行くことないやろ。君、蘭由奈ちゃんやろ?真希ちゃんよりべっぴんさんやん!なんや君もピアス開けてるんやね、髪の色も一緒やし。君、紫電呪術使えて式神まで呼べるんやってね。術師としての才能もあってべっぴんさんやけん、俺の嫁に迎えたるわ」
なんか目の前の残念イケメンな男が勝手にペラペラ喋って、あげく俺の嫁に迎えたる?
ナンパしてくる男共の方が何倍も相手する方がいいわ
お前一体何様…?
黙って聞いていた私はキレそうだったが御三家の集まりに来ている身なのでなんとかこの感情を抑え込み、作り笑顔で男を見た
「申し訳ないんですけど通らせてもらえますかね?待っている人がいるのでもう行かないと…ナンパなら私ではなく、もっと美人な女性にどうぞ」
壁ドンしている腕を払い除けて廊下を通ろうとすると、行かせないように腕を捕まえられた
「俺は君がいいって言ってるんやけど、逃さへんよ由奈ちゃん。俺の何処が気に入らへんの?イケメンやし、禪院家当主の禪院直毘人の実子で力はあるし次期当主は俺や。他に不満なことあるん?」
こいつが禪院直毘人の子ね
子がこれなら親も同類だな…
マジないわ、禪院家
クソの集まり決定〜
「ねぇ、人が大人しく通らせろって言ってんのにさ〜二回も邪魔したのはそっちだからね、私は悪くないからね。話を聞かない貴方がいけないんだからね」
捕まえられた腕を力ずくで退けると、素早くお腹に一発喰らわすと細めの男は壁をぶっ壊して吹き飛んでいった
吹き飛んでいった男の部屋へと入ると、御三家の当主達やその他一族の人達が大勢集まって料理を食べながら酒を飲んでいた
そんな広間のど真ん中で先程ぶっ飛ばした細眼の男が倒れており、広間に入ってきた私に気づき男は睨んできた
「なんちゅう馬鹿力や、クソ餓鬼!!見下ろすなや!」
「そのクソ餓鬼の呪力ものせてない一発であんなに飛ぶなんて…貴方弱すぎでしょ〜これが禪院直毘人の実子とはね…この先お家は大丈夫ですか〜?」
広間にいた誰もが私の登場にざわざわ騒ぎ立て、私に気づいた悟が爆笑しながら近寄ってきた
悟の側には加茂くんと真衣も一緒にいたようで、私が禪院直哉を吹き飛ばしたことを理解したのか頭を抱えてため息をついていた
「クククッ、マジ笑えるんだけど!何々、禪院直哉をぶっ飛ばしちゃったわけ?どうせあのクソ餓鬼が僕の由奈にちょっかいだしてきたんでしょ?あいつ殺しちゃおっか」
少しサングラスをずらして六眼で、由奈に飛ばされた禪院直哉と言われた男を睨んだ
騒ぎたてていた御三家の者達は悟の殺気に当てられ皆静かになった
やめなさいってと悟の頭をバシッと一発叩くと、いつものように私に抱きつきおちゃらけの悟に戻った
悟を引き離して真衣達に預けると、上座に座ってお酒を飲んでいる男を見つめた
オールバックな髪の毛で上にピンと生えている髭が独特な年配の男性だ
凛々しく威厳のある姿からして、あの男がどうやら禪院家当主禪院直毘人だろう
倒れている直哉を無視して禪院直毘人の目の前に座ると私は挨拶をした
「挨拶が遅れました、蘭由奈です。アレについては謝る気はないので初めに言っておきますね。貴方の息子さんが廊下を通るのを二回も邪魔したので、仕方なくぶっ飛ばしただけのこと。修理はあの人に請求してくださいね」
私の話を聞いた禪院直毘人は面白かったのか豪快に笑い、酒を流し込んだ
「お前が蘭由奈か、面白い!アレは別に気にしておらん。女にやられるガキだ、ほっておけ。蘭由奈、オマエを気に入った!俺に酒を注げ!」
空になった猪口を私に向けると、私の側使用人がやってきて
日本酒の入った徳利を直毘人に注ぐように私に渡してきた
私は徳利を持って直毘人の隣に座ると、注いでくれると思ったジジィは猪口を前に出したが
私は注がず徳利に入った日本酒を一気に飲み干し空の徳利を直毘人の元に置いた
「クソジジィ、よく聞け。平成のこの時代に男尊女卑理論なんていつの時代の考えなんですか〜?それにお前が私を気に入っても私はお前が大嫌いなんだよね〜今日来たのは悟と夜蛾学長が頼んできたから仕方なく来てやったわけね。真希や甚爾が出て行きたい理由が理解できたわ…
ちなみに甚爾の息子の恵は、絶対貴方達にはあげないからね。そこんとこよろしく♪」
「オマエ、甚爾を知ってるのか…?」
「幼い時に少しだけね…この酒美味しい〜」
無礼な態度の私に禪院家の一族達は全員苛立ったのか立ち上がったが、その瞬間に前鬼後鬼が現れ立ちはだかった
直毘人は使用人に日本酒を持ってくる用に伝え、今にも私に襲いかかる勢いの一族達を座るよう促した
「このガキ相手じゃオマエ達死ぬぞ。式神だけだと思っているだろうが、一歩でも動いたらこのガキは紫電呪術でオマエ達に電流を放つつもりだ」
直毘人の言葉に禪院家の術師達は驚きを隠せないでいた
「屑でも禪院のジジィにはバレてたか〜やるね。」
直毘人は一本の日本酒を私に掘り投げると、私は受け取った
「この酒気に入ったのだろ、また飲みに来い。オマエの悪態ならツマミになる。久しぶりに骨のある女に出会った、蘭由奈。五条の坊にはもったいないな、俺の元へ来るか?」
「私と飲みたいなら禪院のジジィが飲みに来な。なんでジジィのために私が京都まで来ないと行けないのよ」
黙って見ていた悟が後ろから私に抱きつき、禪院のジジィに中指を立て舌を出した
「ジジィの身体じゃ由奈は満足させれねぇよ。この子は僕のだからね。」
私は誰のものでもないんだけどと突っ込んだが悟には無視された
加茂くんと真希がいたので二人に手を振ると、二人とも真っ青な顔で今にも倒れそうだった
御三家の禪院家当主に偉そうな態度といい、次期当主の禪院直哉を殴り飛ばしたのだから…
姉妹校とはいえ同じ高専の学生である由奈の行動に、二人は驚き固まっていた
「どした?加茂くんも真希も体調悪いの〜?」
「アナタね!はぁ…真希もこんな同期持ったら大変だわ…禪院家当主にあんな態度と口の聞き方したら普通は死んでるわよ!アナタの頭の中どうなってんのよ…」
真衣は私の頭をグルグル回すと、だけど見ててスッキリしたわと私にしか聞こえないように耳元で呟いた
「真衣それぐらいにしないと由奈が目を回してしまうよ。」
加茂くんの言葉を聞いた真衣は渋々頭を回すのをやめた
お酒の強い私でも流石にあんなに頭を回されたら気持ち悪くて吐きそう…
「加茂くん、止めてくれてありがと〜加茂家の嫡男も大変だね。でも加茂くんも私と一緒で屑ども嫌いでしょ〜?」
さすがの加茂くんも一族がいる前では言えないか…
「由奈ー、お土産の酒貰ったならもう帰ろーよー。ジジィに顔見せ終わったし、初詣行こ!!」
「せっかく京都来てんだから真衣と加茂くんも一緒に行こ〜♪屑のジジィ達相手すんの楽しくないでしょ?若者は若者同士、遊びに行こ!いいよね?禪院のジジィ!」
私の言葉に禪院直毘人は早よ行けと言わんばかりに手を払った
「私は新年会には参加する義務が」
「はいはい!ジジィが許してくれたから心配しなくても大丈夫だって〜行くよ」
残ろうとする加茂くんを無理矢理部屋から出し、料亭から私と悟と真衣は出て行った
悟と乗ってきた車の運転手さんがタイミングよく待っていてくれたので、加茂くんと真衣を後部座席に乗せ悟は助手席に乗り込んだ
「待てや、由奈ちゃん!」
真衣の隣に乗り込もうとしたが、禪院直哉が走って追いかけて来たので何か用?と私は振り向いた
「三歩後ろを歩かれへん女は背中刺されて死んだらええねんって俺は思てたんやけど…由奈ちゃんなら俺の隣を歩かせたるわ!」
由奈ちゃんに殴られ、蔑んだあの眼…
俺の心を掻き乱したわ…
俺の女にしたる!!
直哉の言葉を車の中で聞いた悟が術式を直哉向けて放とうとしていたので、真衣と加茂くんが必死に悟を止めていた
「禪院直哉だっけ。時代錯誤も甚だしい、外の世界じゃ通用しないよ〜腐った呪術界が生み出した可哀想な人。さようなら」
冷めた口調で言い放つと真衣の隣に乗り車でその場から去った
「また会おな由奈ちゃん。俺から逃さへんよ」
殴られたお腹をさすりながら、車が見えなくなるまで直哉は眺めていた
「ほらー!やっぱり変な虫が二匹もついたし…ジジィは気に入っただけの様子だったけど、問題は禪院直哉。アイツはマジで由奈を狙ってる眼してたんだよな…はぁ、やっぱ恵や真希達と過ごさせてたらよかった」
車の中では悟が脚を上げ、ぶつくさ怒っていた
「こら怒んないの!真衣と加茂くん悟を止めてくれてありがと〜」
「由奈、禪院直哉はクズの中のクズ男よ。あの男は地の果てまでアナタを追いかけてくるわよ。マジで気をつけなさい」
そんな変な男だったの!?
まぁさすがに東京まではこないでしょ…
「でも由奈が御三家のお嫁さんに来てくれたら頼もしいだろうな。少なくとも腐りきった呪術界には新しい風を吹かすことができる」
私ははそんな大層な人間じゃないよ〜
加茂くんへと言ったが、君は異種な存在だから変革できる者だよと真顔で返され
「もちろん由奈は五条家に嫁ぐ予定だか楽しみにしといて!さーて、若人達よ!初詣どこに行くー?」
「定番の伏見稲荷大社はどうかしら?」
「いや、ここは祇園さんだと思うが。由奈八坂神社のことさ。由奈はどこか行きたい所あるかい?」
「八坂神社行ってみたいかも〜
一月一日に病気や災難を除いて幸福を祈るをけら祭するんでしょ?あれ見たい!あと、恵や真希達にお土産も買いに行きたい!」
「それじゃー、祇園さんにしゅっぱーつ!!」
御三家の集まりを抜け出した私達は八坂神社に初詣に行き、京都観光を満喫した
真依と加茂くん達と楽しみ別れたたあとは高専に戻り
もちろん恵や真希・憂太・パンダ・棘に大量に購入してあった八つ橋や有名な抹茶のお菓子などみんなに配り周り
大好きなお父さんである夜蛾先生と硝子ちゃんにも抹茶のお菓子を渡し回った