渋谷事変
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九十九由基は偽の傑の腕の中で囚われている私に気がつき手を振ってきた
「あれ?なんで夏油君の腕の中にいるんだい?」
「偽の傑と殺り合って負けてこの様なの〜なんか文句あるわけ?オバサン」
「君が負けるなんてね。あっはっはっ!
しかも身体に刀ブッ刺してるし、おもしろい展開になったものだね!!
相変わらず君は変わらないね…由奈。おばさんではない、せめてお姉さんにしてくれ!」
苦手な九十九由基とのやり取りに溜息をつきながら、はいはいと私は聞き流した
だが笑い事ですまないぞ…
夏油君含めて特級術師は私と五条君と乙骨憂太君入れて四人だったが…
五条君並みの術師としての強さを上層部に買われて、五人目の特級術師となった蘭由奈…
五条くん並に強い君が敵に囚われたとなると、呪術界に深い痛手になる
先程まで九十九由基は笑っていたが、真剣な顔で囚われている私を見つめ考え込んでいた
「おちゃらけはこの辺にして。覚えているかな?世界から呪霊をなくす方法。どんな手段をとるにしろ、人類を一つ上の段階へと進めることになる。人類を未来それは呪力からの脱却だよ」
九十九由基の言葉に偽の傑は少し怒った顔で反論した
「違う、呪力の最適化だ」
突然の九十九由基の登場と偽の傑とのやり取りに、悠二はさっぱりわからない様子だった
「脱却プランは十二年前禪院甚爾が死んだ時点で捨てたと思っていたよ」
「夏油君に話しかけたんだけどね、まぁいいか。初心に還ったのさ。それに最適化プランには大きな穴がある。
海外では日本に比べて呪術師や呪霊の発生が極端に少ない、最適化プランには天元の結界が必要不可欠なハズだ。
天元を利用するということは呪力が最適化され術師と成るのはこの国の人間限定。
呪力というエネルギーをほぼ日本が独占することになる。
彼の国は勿論、中東諸国が黙っちゃいない。
生身の人間がエネルギー源なんだ、どんな不幸が生まれるかは想像に易いだろう。
それを私が描く理想とはかけ離れた世界だ」
偽の傑の腕の中で九十九由基との会話を聞いていた私は話を理解していた…
九十九由基が言っている最適化というのは、天元の結界を使用して術師だけの世界にするということ…
日本以外では呪霊の発生がそもそも少ないのだ…
日本でしか最適化で術師が増えないというところに新たな争いの火種が生まれるのを二人の話しからして九十九由基は危惧しているのだろう
「ハッハッ、それが何だ。そもそも目的が違うんだ、私は呪霊のいない世界も牧歌的な平和も望んじゃいない。
非術師・術師・呪霊…これら全て可能性なんだ。人間という呪力の形のね。
だがまだまだこんなものではないハズだ、人間の可能性は…
それを自ら生み出そうともした、だがそれでは駄目なんだ。
私から生まれるモノは私の可能性の域をでない、答えはいつだって混沌の中で黒く輝いているものだ。分かるかい?
私が創るべきは私の手から離れた混沌だったんだ、既に術式の抽出は済ませてある」
偽傑の言葉黙って聞いていた私は、この傑と闘っていたときからずっと偽の傑の目的がわからないでいた…
その話を聞いた私は
頭の中でのパズルのピースがはまったかのように傑の目的の答えがわかってしまった
かつて加茂憲倫として自分の可能性の域を越えるため、呪胎九相図を生み出した…
それも過程の一つだったのだろう
そして自分の可能性の域を超えることのできる術式を持った傑の肉体を使い、呪霊操術で真人を取り込んだ今
この傑は…
取り込んだ真人の術式…
無為転変を使って人の可能性を実験するつもりだ!
「九十九由基!今すぐ私ごと傑を殺して!!貴方なら出来るでしょ!」
傑の言葉と私の叫びに九十九由基の表情が一変した
「真人とかいう呪霊がいるだろう!!魂に干渉できる術式を持った奴!!」
九十九由基は側にいた悠二へと聞くと、アイツが取り込んだけどと伝えるとマジんが〜!?!と叫んだ
その瞬間偽の傑は私を左手で担ぐと、右手を地面に向ける無為転変を発動した
「無為転変!!!」
担がれた私は最悪と呟き、物凄い音が響き辺り空に向かって模様が伸びた
それを見上げた九十九由基は驚きを隠せないでいた
天元の結界…じゃない!!
これは術式の遠隔発動!?
「礼を言うよ虎杖悠二。
呪霊操術で取り込んだ呪霊の術式の精度は取り込んだ時点でその成長を止める。君との戦いで真人は成長した、本当は漏瑚も欲しかったけど。まぁ仕方ないね」
偽の傑は笑うと真人をさらに強くしてくれた悠二へと感謝した
「何をした」
九十九由基は偽の傑へと睨むと、傑は自分がしたことを教え始めた
「マーキング済の二種類の非術師に遠隔で無為転変を施した。
虎杖悠二のように呪物を取り込ませた者、吉野順平のように術式を所持しているが脳の構造が非術師の者。
それぞれの脳を術師の形に整えたんだ。
前者は器としての強度を後者は術式を発揮する仕様を手に入れた。
そして…今、その呪物達の封印を解いた。
マーキングの際私の呪力にあてられて寝たきりになった者もいたが、じきに目を覚ますだろう。
彼らにはこれから呪力への理解を深めるため殺し合いをしてもらう。
私が厳選した子や呪物を達だ、千人の虎杖悠二が悪意を持って放たれたとでも思ってくれ」
傑の話を聞いた私は恵の姉である病室で眠っている津美紀が頭に浮かんだ
津美紀はこの偽の傑にマーキングされ寝たきりだったわけね…
こいつが関わってたから私の紅眼の力で津美紀の過去が見れなかった訳か…
あんな時からこいつの掌の上で私達は転がされてたのか…
恵と約束したのに…
今の私じゃ津美紀を守れないや
ごめん、恵…
前鬼と後鬼が私の代わりに恵を守ってくれるからね
傑に担がれた私は身体に突き刺さっている刀が担がれている為もっと深く刺さり、大量に血を吐いた
「千人か…控え目だな。それに人間の理性をナメすぎだ、力を与えただけで人々が殺し合いを始めるとでも?」
九十九由基は偽の傑へと睨み言い放った
「物事には順序があるのさ、その程度の仕込みを私が怠るわけないだろう。
質問が軽くなってきているよ」
傑の言葉に九十九由基は苛立ったのか一瞬固まると悠二へと振り向いた
「ムカつくから皆でアイツボコろう」
「いや、今動けないんだけど…」
パシャと急に悠二達の身体を拘束していた氷が解けた
それと同時に私の側にいたオカッパ頭の裏梅が息を荒立て蹲っていた
「どうした裏梅」
血を流しすぎた私は閉じていた目を少し開け、蹲っているオカッパへと笑った
「オカッパちゃん、脹相の穿血喰らって反転術式で傷は治したけど毒が入ってるからね…大丈夫〜?フフッ、辛いでしょ」
腸相の毒で裏梅の技が弱まり、凍りが溶けたようだ
「毒か!!女狐め忌々しい…笑うな!!」
凍っていた脹相と前鬼が動けるようになり、悠二の隣に立った
「由奈言った通り。穿血で俺の血が混じったんだ、当然だ」
前鬼は悠二と脹相達を偽の傑から守るように立っていた
「待って真依ちゃんの援護がない、あっちにもまだ仲間がいるのかも」
動けるようになった桃は真依の援護がないことで別の敵の存在を疑った
「葵と銃の子あとスーツの子は私の仲間が保護しているよ。場違いだからね」
だが九十九由基の仲間が保護したと知り、桃は安心した
「動けるか?」
「あぁ、私は体温を調整できる問題ない。問題はどうやって君の姉である由奈を取り戻すかだ」
動けるようになったパンダは加茂くんと互いの状態を確認し合い、囚われている私を見つめた
篤哉はやる気なく地面に寝転んだまま、わざと起き上がらないでいた
「まだ話の途中だよ。
私が配った呪物は千年前から私がコツコツ契約した術師達の成れの果てだ。
だが私と契約を交わしたのは術師だけじゃない、まぁそっちの契約はこの肉体を手にした時に破棄したけどね」
傑の言葉に九十九由基はまさかと言い、傑は不敵に笑った
「これがこれからの世界だよ」
次の瞬間、偽の傑は大量の呪霊達を解き放った
血を流しすぎた私は意識が朦朧とする中、パンダと前鬼に最後の言葉を託した
「パンダ…悪いけど、弟の貴方にお父さんを任せたよ。前鬼、貴方は命令通りに…」
そう言って限界の私は意識が遠のき、偽の傑の肩の上で再び意識を失った
それを見たパンダと前鬼は私の名を叫んだが、意識のない私には聞こえなかった
「じゃあね、虎杖悠二」
獄門疆を持って意識を失った由奈を担いだ偽の傑は笑っていた
「由奈!五条先生!!」
獄門疆を見た悠二は叫んだが偽の傑の元へ近づくことが出来なかった
得体のしれない数々の呪霊達から脹相と前鬼は悠二を守るように立ちはだかった
「聞いているかい?宿儺、始まるよ。
再び呪術全盛平安の世が…!!」
悠二の中にいる宿儺へと楽しそうに笑い呼びかけると、由奈と獄門疆を持ってその場から消え去った