渋谷事変-変身-
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
二十三時三十六分
渋谷警察署宇田川交番跡
「助けてあげようか、真人」
偽の夏油傑は地に這いつくばる真人を見下ろしながら言った
悠二は偽の夏油傑の額の傷を見て悟を封印した本人だと気づき、囚われている由奈を見て叫んだ
「由奈!!」
特級術師の由奈までアイツにやられたのか!
なんで自分の手で刀をブッ刺してるんだ!?
叫んでも気づかないってことは意識不明で危険な状態だな…
早く助けないと!!
「…返せ!由奈と五条先生を返せ!!」
偽の夏油傑へと走る悠二に対して、偽の夏油傑はナマズの呪霊を手から出した
「悪いが由奈は私のものだからね、君には返せない。やっと捕まえたのだから…
それはそうと、鯰が地震と結びつけられ怪異として語られたのは江戸中期。地中の大鯰が動くことで地震が起こると信じられていたんだ。」
突進してくる悠二の足元に鯰の呪霊が口を開き、悠二は穴に落ちたと錯覚し地面へと転がった
「な!?」
何が起こった…!?
転がった拍子に頭を打った悠二だが、すぐに立ち上がった
「落ちたと思っただろう、傍から見れば君が勝手に引っくり返っただけなんだかね。呪霊操術の強みは手数の多さだ。
準一級以上の呪霊を複数使役し、術式を解明・攻略されようとまた新しい呪霊を放てばいい。勿論、その間を与えずに畳みかけるのもいいだろう。」
偽の夏油傑は悠二へと由奈の身体に巻きついているような百足を悠二へと放ち、身体に絡ませて攻撃した
「去年の百鬼夜行新宿と京都に戦力を分散させなければ、勝っていたのは乙骨ではなく彼だったろう。君には関係ない話だったかな」
悠二は血だらけになり、その場に平伏した
偽の夏油傑の側で百足に囚われている由奈の目が少し動いた
由奈!
私を誰かが呼んでる…
あっ、この声は
蘭姫の声だ
由奈!!目を開けて!!
開けたいけど力が入んない
なんかもう…疲れた
由奈!
貴方の大切な人が死んでしまう!!
大切な人が…死んでしまう…?
大好きな人が死ぬのは
もう見たくない!!
蘭姫の言葉に意識を落としていた私はハッと目を覚ました
目を開けると真人が私の側でボロボロの状態で蹲っており
悠二が偽の夏油傑と戦い血だらけで倒れていた
数珠に縛られている手を動かそうとしたが、一ミリも動かすことができなかった
今の私は千紅万紫を握ったまま刺されてる影響で、私の術式は無力化されてる…
式神も紫電呪術も無理
私が囚われた今…
あの子達は恵の元にいる
侍従関係じゃないけど…
お願い!
助けて!!
「お願い!悠二を守って!前鬼!!」
私の悲痛な叫びに前鬼は応えてくれたのか、ボロボロの悠二の前に前鬼が現れた
「今の主は伏黒恵だが、儂らの主は由奈だけ、その声を聞き馳せ参じたぞ。由奈よ安心するがよい、恵には後鬼がついておる。」
偽の夏油傑と悠二の間に立ち塞がった
「おはよう由奈、少しやりすぎて血を流しすぎたようだ。よかった、意識が戻ったんだね。
前鬼か、刀の無力化で式神も使えないはずなんだけど…ふーん、そうか。
由奈が捕まった場合、前鬼後鬼の侍従関係を強制的に伏黒恵を主として従うようにでもしていたかな?やるね…
主は伏黒恵なのに由奈の声を聞き従うとは…侍従関係を超えた絆か。面白い」
「主が愛した夏油傑の皮を被った輩ごときが、主の名前を軽々しく呼ぶとは…宿儺の器の小僧、いつまで平伏しておる!!立たぬか!」
前鬼は目の前の夏油傑が偽者だと気付き、血だらけの悠二を無理矢理引っ張ると立たせた
「…返せ」
「我ながら流石と言うべきか、宿儺の器タフだね」
私の側にいた真人は偽の傑の背後に回り、傑へと攻撃を仕掛けた
だが偽の傑は真人の攻撃を予想していたのか、簡単に避けた
「知ってたさ、だって俺は人間から生まれたんだから」
偽の傑…!
真人を取り込むつもりだ!!
「真人ダメ!傑に取り込まれる!!離れて!!」
私の声も虚しく、偽の傑に呪霊操術で取り込まれ
真人は黒い玉へと姿を変えてしまった
私は叫んだことにより口から血を吐き、傷口から再び大量の血が流れた
私の口から流れる血を偽の傑は舌で舐め取り、静かにしてないと死んじゃうよと耳元で囁いた
「続けようか、これからの世界の話を」
真人の黒い玉を持ち、悠二と前鬼へと向かい合った