委員会のお手伝いシリーズ
お名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
前回の保健委員会、もとい善法寺伊作委員長のお手伝いの件はさっそく学園に広まったらしく、次の冰琉の暇暇 時間はいつかと話題になっているという。約束を取り付けようと直接予定を聞きにきた下級生もいた。よっぽど人手が欲しいのか、大変だなと思う。
私も委員会活動には参加してみたいし力になれることがあれば是非やってあげたい。でもあの日からなかなか時間がなく、10日後にやっと2回目のお手伝い日となった。
今日のお手伝い先は火薬委員会。
5年生の委員長代理、久々知兵助くんが手を挙げてくれたらしい。
その日の夕刻、久々知くんはなんと私を迎えに来た。
「冰琉さん、火薬委員会の久々知です。今日は宜しくお願いします」
「宜しくね、久々知くん」
いきましょうと手を取られる。線の細い人だと思っていたけど、手は意外に大きい。
案内されたのは火薬庫、ではなく食堂だった。
「火薬庫じゃないの?」
「ええ。今日は親睦会です!」
親睦会?!手伝いじゃなくて?
「ね、ねぇそれって私、必要?」
「何言ってるんですか!冰琉さんが主役みたいなものなんだから必要不可欠に決まってます」
ええーどういう...と困惑していると、奥からタカ丸くんの声がした。
「冰琉ちゃーん、久しぶり!おいでよこっちこっちー」
間延びしたような甘い声、私はタカ丸くんの声を聞くと安心する。ニコニコと私たちが歩いてくるのを待っている。見れば下級生たちも勢揃い。
久々知くんは少し強めの口調で言った。
「タカ丸さん、冰琉さんは真ん中です」
「わかってるよ兵助くん。ちゃんと委員長代理の隣に座ってもらうからね。本当に兵助くんは冰琉ちゃんが好きだなぁ」
「なっ!!?」
真っ赤になってタカ丸さんに食ってかかる久々知くん。口をパクパクさせながら声にならない文句を言ってる。
「冰琉さん、どうぞ」
そんな二人を横目に三郎次くんが席へ促す。
「ありがとう三郎次くん。火薬委員会は賑やかで楽しそうだね?」
「うちは比較的静かなメンツが揃ってますけど、タカ丸さんが入ってからは少しうるさくなりました」
「うるさいってなにー?」
わざとらしく頬を膨らませてこちらを見るタカ丸くん。伊助くんが間をすり抜ける。両手には大きな皿を持って。時々開催されるという火薬委員会の親睦会、もとい委員の間では豆腐会というそうだ。食堂のテーブルに並べられる数々の料理たち。みんなどれも美味しそう。
久々知くんが小さく咳払いをして挨拶をした。
「冰琉さん、今日は来てくれてありがとう」
「いえいえ、すごく美味しそうだね。噂に聞く得意料理の豆腐フルコースとか?」
途端に久々知くんが目を輝かせた。
「冰琉さんは豆腐好きですか?!」
火薬に行くなら豆腐に注意だ。
これは留三郎の助言。話を聞いても訳がわからないと思っていたけどこういうことか。
もう延々と豆腐のうんちくを聞いている。そしてお腹いっぱい...。下級生は課題があるとかなんとかで帰って行った。
「〜〜だから、醤油などの調味料との相性も大事で...「あ、あの久々知くんっ」」
思い切って話を切ってみる。
「おかわりですか?冰琉さんあんかけ豆腐がそんなにもお好きなんですね!」
「えっ、や、ちがっ」
いそいそとあんかけ豆腐を継ぎ足しにむかう久々知くん。斜め向かいではタカ丸くんが笑顔で私を見ている。他人事のようなその顔にムッとして小声で話しかける。
「ねぇタカ丸くん!何なのこれ!どうやったら抜けられるの?!」
「さぁ?僕は知らないなあ」
ニヤニヤするタカ丸くん。
「私が困ってるの見て楽しんでるでしょ?!もうお腹ぱんぱんなんだけど」
「んー、いらないって言っちゃえば?」
「そんなハッキリ言うのは無理!第一さっきから私の話聞いてくれなくて、ずっとおかわり持ってくるんだけど」
だんだん声が荒くなってきた。
「じゃあ兵助くんに口吸いでもして、おしゃべりを止めてみたら?多分豆腐地獄から抜け出せるよぉ」
「はぁ?!」
「お待たせ、冰琉さん」
断じて待ってない!けれど、久々知くんの善意しか感じられない笑顔を見るとそんなこと言えない。
結局あんかけ豆腐を箸でつつく。
それにしてもタカ丸くんのさっきの...
「口吸いって意味わかんない」
「えっ」
しまった。
「ご、ごめん、何でもないよ」
「意味がわからなかったですか?すみません、もう一回説明しますね」
「えっっ」
あんかけ豆腐の楽しみ方。さほど興味がないテーマを二度繰り返す久々知くん。
「ごちそうさまでした」
結局解放されたのは夕刻。今日は流石に夕飯は要らない。
久々知くんが長屋の私の部屋まで送ってくれるという。律儀な人だと思う。
タカ丸くんは最後までニタニタしていただけだった。
「今日はありがとうございました、冰琉さん」
長屋の自室まで来ると久々知くんが丁寧にお礼をした。
「こちらこそ、補佐なのに何もせずご馳走になっちゃって。お豆腐料理すごくおいしかったよ!」
少し照れる様子の久々知くん。
「うんちくも面白くて勉強になりました」
「そう言ってもらえると嬉しい...でも、冰琉さん途中で止めても良かったんですよ?」
どういう意味だろうかと考えあぐねていると
「...すみません、タカ丸さんとの会話、聞こえてしまいました」
「え...」
と驚く間も無く久々知くんの顔が間近に迫ってきた。
「口吸いで止めていただいても良かった。って言ったんです」
久々知くんの顔が近い。顔が赤いのは夕日のせいだけではないはず。
「く、くく、ちくん、近いっ」
「冰琉さん、タカ丸さんと仲良いですよね」
顔が近いまま話し出す。
「う、うん、そうだよ。年が同じで話しやすいから..相談とか乗ってもらってる」
久々知くんは目に見えて落ち込み出した。声が小さくなり、
「それだけですか?お付き合いされてるんじゃないですか?」
「そんなわけないよ!ただの友達。どうしたの?久々知くん」
「友達...本当ですね?」
「そうだよ。私はお付き合いしている人なんていません」
真っ直ぐに私を見つめる久々知くん。
目を合わせているのが辛くなる端正な顔。
「久々知くん、、その、ちょっと一旦離れよう?こんなの誰かにみられたりし....んんっ!」
勢いよく久々知くんは私に口吸いしてきた。
熱く、薄い唇が角度を変えて吸い付く。でも決して強い力ではなく、私が彼の胸を少し押すと唇はあっさりと離れた。
「おしゃべりを止めました」
「!なっ...!ふざけないで」
「ふざけているわけではありません。でもすみません、...俺の気持ちです。」
「え...気持ちって、」
久々知くんは真っ赤になっている。私もどんな顔をしているのかわかったもんじゃない。彼の気持ちが「おしゃべりを止めたいだけ」のものではないことくらいわかってる。
「それでは失礼します。今日はありがとうございました」
そう言うと久々知くんは踵を返し早々に長屋を後にした。
残された私はただひとり、顔を赤くして呆然と突っ立っていた。唇がどこよりも熱い。
自室に入り唇を指で撫ぜると酷く恥ずかしくなり、冷えた床に座り込み手で顔を覆った。
私も委員会活動には参加してみたいし力になれることがあれば是非やってあげたい。でもあの日からなかなか時間がなく、10日後にやっと2回目のお手伝い日となった。
今日のお手伝い先は火薬委員会。
5年生の委員長代理、久々知兵助くんが手を挙げてくれたらしい。
その日の夕刻、久々知くんはなんと私を迎えに来た。
「冰琉さん、火薬委員会の久々知です。今日は宜しくお願いします」
「宜しくね、久々知くん」
いきましょうと手を取られる。線の細い人だと思っていたけど、手は意外に大きい。
案内されたのは火薬庫、ではなく食堂だった。
「火薬庫じゃないの?」
「ええ。今日は親睦会です!」
親睦会?!手伝いじゃなくて?
「ね、ねぇそれって私、必要?」
「何言ってるんですか!冰琉さんが主役みたいなものなんだから必要不可欠に決まってます」
ええーどういう...と困惑していると、奥からタカ丸くんの声がした。
「冰琉ちゃーん、久しぶり!おいでよこっちこっちー」
間延びしたような甘い声、私はタカ丸くんの声を聞くと安心する。ニコニコと私たちが歩いてくるのを待っている。見れば下級生たちも勢揃い。
久々知くんは少し強めの口調で言った。
「タカ丸さん、冰琉さんは真ん中です」
「わかってるよ兵助くん。ちゃんと委員長代理の隣に座ってもらうからね。本当に兵助くんは冰琉ちゃんが好きだなぁ」
「なっ!!?」
真っ赤になってタカ丸さんに食ってかかる久々知くん。口をパクパクさせながら声にならない文句を言ってる。
「冰琉さん、どうぞ」
そんな二人を横目に三郎次くんが席へ促す。
「ありがとう三郎次くん。火薬委員会は賑やかで楽しそうだね?」
「うちは比較的静かなメンツが揃ってますけど、タカ丸さんが入ってからは少しうるさくなりました」
「うるさいってなにー?」
わざとらしく頬を膨らませてこちらを見るタカ丸くん。伊助くんが間をすり抜ける。両手には大きな皿を持って。時々開催されるという火薬委員会の親睦会、もとい委員の間では豆腐会というそうだ。食堂のテーブルに並べられる数々の料理たち。みんなどれも美味しそう。
久々知くんが小さく咳払いをして挨拶をした。
「冰琉さん、今日は来てくれてありがとう」
「いえいえ、すごく美味しそうだね。噂に聞く得意料理の豆腐フルコースとか?」
途端に久々知くんが目を輝かせた。
「冰琉さんは豆腐好きですか?!」
火薬に行くなら豆腐に注意だ。
これは留三郎の助言。話を聞いても訳がわからないと思っていたけどこういうことか。
もう延々と豆腐のうんちくを聞いている。そしてお腹いっぱい...。下級生は課題があるとかなんとかで帰って行った。
「〜〜だから、醤油などの調味料との相性も大事で...「あ、あの久々知くんっ」」
思い切って話を切ってみる。
「おかわりですか?冰琉さんあんかけ豆腐がそんなにもお好きなんですね!」
「えっ、や、ちがっ」
いそいそとあんかけ豆腐を継ぎ足しにむかう久々知くん。斜め向かいではタカ丸くんが笑顔で私を見ている。他人事のようなその顔にムッとして小声で話しかける。
「ねぇタカ丸くん!何なのこれ!どうやったら抜けられるの?!」
「さぁ?僕は知らないなあ」
ニヤニヤするタカ丸くん。
「私が困ってるの見て楽しんでるでしょ?!もうお腹ぱんぱんなんだけど」
「んー、いらないって言っちゃえば?」
「そんなハッキリ言うのは無理!第一さっきから私の話聞いてくれなくて、ずっとおかわり持ってくるんだけど」
だんだん声が荒くなってきた。
「じゃあ兵助くんに口吸いでもして、おしゃべりを止めてみたら?多分豆腐地獄から抜け出せるよぉ」
「はぁ?!」
「お待たせ、冰琉さん」
断じて待ってない!けれど、久々知くんの善意しか感じられない笑顔を見るとそんなこと言えない。
結局あんかけ豆腐を箸でつつく。
それにしてもタカ丸くんのさっきの...
「口吸いって意味わかんない」
「えっ」
しまった。
「ご、ごめん、何でもないよ」
「意味がわからなかったですか?すみません、もう一回説明しますね」
「えっっ」
あんかけ豆腐の楽しみ方。さほど興味がないテーマを二度繰り返す久々知くん。
「ごちそうさまでした」
結局解放されたのは夕刻。今日は流石に夕飯は要らない。
久々知くんが長屋の私の部屋まで送ってくれるという。律儀な人だと思う。
タカ丸くんは最後までニタニタしていただけだった。
「今日はありがとうございました、冰琉さん」
長屋の自室まで来ると久々知くんが丁寧にお礼をした。
「こちらこそ、補佐なのに何もせずご馳走になっちゃって。お豆腐料理すごくおいしかったよ!」
少し照れる様子の久々知くん。
「うんちくも面白くて勉強になりました」
「そう言ってもらえると嬉しい...でも、冰琉さん途中で止めても良かったんですよ?」
どういう意味だろうかと考えあぐねていると
「...すみません、タカ丸さんとの会話、聞こえてしまいました」
「え...」
と驚く間も無く久々知くんの顔が間近に迫ってきた。
「口吸いで止めていただいても良かった。って言ったんです」
久々知くんの顔が近い。顔が赤いのは夕日のせいだけではないはず。
「く、くく、ちくん、近いっ」
「冰琉さん、タカ丸さんと仲良いですよね」
顔が近いまま話し出す。
「う、うん、そうだよ。年が同じで話しやすいから..相談とか乗ってもらってる」
久々知くんは目に見えて落ち込み出した。声が小さくなり、
「それだけですか?お付き合いされてるんじゃないですか?」
「そんなわけないよ!ただの友達。どうしたの?久々知くん」
「友達...本当ですね?」
「そうだよ。私はお付き合いしている人なんていません」
真っ直ぐに私を見つめる久々知くん。
目を合わせているのが辛くなる端正な顔。
「久々知くん、、その、ちょっと一旦離れよう?こんなの誰かにみられたりし....んんっ!」
勢いよく久々知くんは私に口吸いしてきた。
熱く、薄い唇が角度を変えて吸い付く。でも決して強い力ではなく、私が彼の胸を少し押すと唇はあっさりと離れた。
「おしゃべりを止めました」
「!なっ...!ふざけないで」
「ふざけているわけではありません。でもすみません、...俺の気持ちです。」
「え...気持ちって、」
久々知くんは真っ赤になっている。私もどんな顔をしているのかわかったもんじゃない。彼の気持ちが「おしゃべりを止めたいだけ」のものではないことくらいわかってる。
「それでは失礼します。今日はありがとうございました」
そう言うと久々知くんは踵を返し早々に長屋を後にした。
残された私はただひとり、顔を赤くして呆然と突っ立っていた。唇がどこよりも熱い。
自室に入り唇を指で撫ぜると酷く恥ずかしくなり、冷えた床に座り込み手で顔を覆った。
2/2ページ