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【ユリアリ】一日千秋

「…何日経ったのかしら。」


いつも通り、書斎の片付けをしているとすっかり夜になってしまっていた。

この世界では、朝と昼と夜がすぐに入れ替わってしまう。元々時間が経つのが早いせいでもある。
おかげで、わたしがこの世界に居続けて何日経ったのか覚えてる訳がない。


「でも、確かあの日から…」


この世界で過ごしていくうちに小瓶の中の液体が貯まっていき、これで元の世界に帰れる様にはなった。
最初はこんなところ、さっさと帰りたい、夢?そんなの覚めてしまえばいいのに。としか思ってなかった。

でも、余所者であるわたしを居候という形だけど、受け入れてくれた人がいる。わたしは、その人と過ごしていく度に気持ちが揺らいでしまい、元の世界に帰ることを拒んだのだ。


「なんだ、ここに居たのか」


その人というのが、ユリウス・モンレー
時計屋という役職でここの塔の領主。
頼めば、いつも持ってるスパナで時間だって自由に変えることも出来る。


「もしかして、ユリウスが時間変えたの?」
「そんな訳がないだろう。」

ですよね〜…と苦笑い。


「掃除してくれるのは助かるが、お前も少しは自分の時間を作ったらどうだ?」

「そうね…でもやっぱり慣れちゃってて、つい…」


この世界に留まってから、わたしはこれといった何かはしてない。
いつも通り、部屋の掃除をして、ユリウスの為にコーヒーを作ってあげるの繰り返し。
ユリウスの為になるのなら、全く苦でもない。

むしろ、

「こうやって、今まで通りの生活を送るのも嫌じゃないわ。ユリウスの傍に入れて嬉しいもの」


そう言って、ユリウスの元に駆け寄ると、頭にぽんっと手を置かれ、そのままクシャッと頭を撫でられた。


「アリス。ありがとう」

「…こちらこそ」


ユリウスの方を見ると、ちょっと照れくさそうにして、そっぽを向かれた。
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