逃げる貴女の影となり
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「手裏剣を滑らせ、それほど深く腕を切るとは……前代未聞だ」
「うぅ……。心得ています……」
「名無しさん、貴様は伊賀忍としては破門だ」
「破門も何も……私を忍にする気なんて最初からなかったんじゃないですか!」
「さぁ。どうだろうな」
不敵に笑う半蔵に、名無しさんは布団の中でぷぅと頬を膨らませるが、後に深刻な顔を作り、半蔵に尋ねる。
「あの子は……無事に牢から出られましたか」
「ああ。今頃は親元に戻っているだろう」
その言葉にパッと彼女の顔が明るくなる。
「よかったぁ。頑張って半蔵様を迎えにいった甲斐がありましたよ」
そう笑う名無しさんに
「その傷で出歩くなど無謀」
と半蔵はピシャリといい放つ。
「はい……」
これに関しては返す言葉がない。
「そういえば半蔵様、お土産は買ってきて頂けましたか?」
「応。ふっ……その傷で食すのか?」
半蔵は苦笑いを浮かべる。
「はい。色々あってお腹すいちゃいました。一緒に食べませんか?今夜は雪で月は全然見えませんが。雪見団子、ということでどうでしょうか」
ゆっくりと上半身を起こそうとする名無しさんの背に腕を回し半蔵は優しく介助する。
「承知」
半蔵が優しく微笑めば、名無しさんも優しく微笑み返す。
「あの……今宵なのですが……私の部屋に泊まっては頂けませんか?ちょっと、身体も怠くて1人だと不安で……」
恥ずかしそうに言う名無しさんの姿に、半蔵は優しく彼女を抱き寄せる。そして、耳元でそっと囁く。
「先程の続きが所望か?」
その言葉に、名無しさんの身体が一気に熱を持っていくのが分かる。
「嫌、あの……そうゆうわけでは……」
図星を突かれ、濁した返事をする名無しさんの様子に、半蔵もまた良からぬ衝動に駆られていく。
「伊賀の秘術にて傷の痛み等分からぬ程蕩かす事も可能。どうする?」
「えっと……その……え、と……半蔵さまが、の、望むなら……私は……」
真っ赤になって動揺する名無しさんの首筋を半蔵はツゥと舌で撫ぜる。
ビクッと少し身体を跳ねさせて半蔵の方を向いた名無しさんの唇を奪い、舌を差し入れ深く彼女の口内を堪能する。
「んっ……あん……」
「今宵はここまでだ」
唇を離せば、惚けたような、名残惜しそうな表情を浮かべる名無しさんが半蔵を見つめる。
「半蔵様……」
「その傷が癒えた時、影と契りを交わしてもらう。それまでは、ただ影は名無しさんに寄り添おう」
半蔵の真摯な目が名無しさんを射抜く。
「はい。半蔵様」
「口付けだけでは足らぬか?」
「もう!!からかわないで下さい」
「ふっ……」
その時、半蔵の姿が逃げる様に一瞬で消え、部屋に名無しさん1人が残される。
恐らく、団子と茶を取りに行ったのだろう。
自分の伊賀での役割。
何も果たすことが出来ず、申し訳なく思っていたここでの生活。
今度はちゃんと果たすことが出来るかしら?と名無しさんは障子超しに降る雪を見つめる。
でも、半蔵様の妻としての役割って……
それってやっぱり……
これからの自分の役割。
それに思い至った名無しさんは、1人頬を赤らめ、布団の中で悶々と足をくねらせた。
fin.
「うぅ……。心得ています……」
「名無しさん、貴様は伊賀忍としては破門だ」
「破門も何も……私を忍にする気なんて最初からなかったんじゃないですか!」
「さぁ。どうだろうな」
不敵に笑う半蔵に、名無しさんは布団の中でぷぅと頬を膨らませるが、後に深刻な顔を作り、半蔵に尋ねる。
「あの子は……無事に牢から出られましたか」
「ああ。今頃は親元に戻っているだろう」
その言葉にパッと彼女の顔が明るくなる。
「よかったぁ。頑張って半蔵様を迎えにいった甲斐がありましたよ」
そう笑う名無しさんに
「その傷で出歩くなど無謀」
と半蔵はピシャリといい放つ。
「はい……」
これに関しては返す言葉がない。
「そういえば半蔵様、お土産は買ってきて頂けましたか?」
「応。ふっ……その傷で食すのか?」
半蔵は苦笑いを浮かべる。
「はい。色々あってお腹すいちゃいました。一緒に食べませんか?今夜は雪で月は全然見えませんが。雪見団子、ということでどうでしょうか」
ゆっくりと上半身を起こそうとする名無しさんの背に腕を回し半蔵は優しく介助する。
「承知」
半蔵が優しく微笑めば、名無しさんも優しく微笑み返す。
「あの……今宵なのですが……私の部屋に泊まっては頂けませんか?ちょっと、身体も怠くて1人だと不安で……」
恥ずかしそうに言う名無しさんの姿に、半蔵は優しく彼女を抱き寄せる。そして、耳元でそっと囁く。
「先程の続きが所望か?」
その言葉に、名無しさんの身体が一気に熱を持っていくのが分かる。
「嫌、あの……そうゆうわけでは……」
図星を突かれ、濁した返事をする名無しさんの様子に、半蔵もまた良からぬ衝動に駆られていく。
「伊賀の秘術にて傷の痛み等分からぬ程蕩かす事も可能。どうする?」
「えっと……その……え、と……半蔵さまが、の、望むなら……私は……」
真っ赤になって動揺する名無しさんの首筋を半蔵はツゥと舌で撫ぜる。
ビクッと少し身体を跳ねさせて半蔵の方を向いた名無しさんの唇を奪い、舌を差し入れ深く彼女の口内を堪能する。
「んっ……あん……」
「今宵はここまでだ」
唇を離せば、惚けたような、名残惜しそうな表情を浮かべる名無しさんが半蔵を見つめる。
「半蔵様……」
「その傷が癒えた時、影と契りを交わしてもらう。それまでは、ただ影は名無しさんに寄り添おう」
半蔵の真摯な目が名無しさんを射抜く。
「はい。半蔵様」
「口付けだけでは足らぬか?」
「もう!!からかわないで下さい」
「ふっ……」
その時、半蔵の姿が逃げる様に一瞬で消え、部屋に名無しさん1人が残される。
恐らく、団子と茶を取りに行ったのだろう。
自分の伊賀での役割。
何も果たすことが出来ず、申し訳なく思っていたここでの生活。
今度はちゃんと果たすことが出来るかしら?と名無しさんは障子超しに降る雪を見つめる。
でも、半蔵様の妻としての役割って……
それってやっぱり……
これからの自分の役割。
それに思い至った名無しさんは、1人頬を赤らめ、布団の中で悶々と足をくねらせた。
fin.