彼女と彼女の事情①
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静かな沈黙が流れる。
ど、どうしよう~。
とりあえず、自分の職務を全うしなければ!鏡台の傍に置かれた化粧箱を見つけたので、ゆっくりと蓋を開ける。
「お蘭様、では、始めにお化粧を致しましょう。どんな感じに仕上げますか?」
鏡台の前に化粧道具を広げながら尋ねるが返答はない。
「お蘭様……?」
目をお蘭様に移せば、困ったように微笑んでいる。
話せない……のかしら……。
「では、私の好みで仕上げてみてもよろしいでしょうか?」
これには、コクンと軽く頷く。
「じゃあ、失礼しますよ……」
紅の入った貝殻を開き、自分の人差し指ですくい、お蘭様の唇に差していく。
「でも、お蘭様程の美しさがあれば、化粧等、不要かもしれませんね。勿論、紅を差したらより一層鮮やかにおなりですが……」
言葉を掛けるが、彼女は何も言わない。ただ、美しい顔を軽く伏せるだけ。長い睫毛に、思わず見惚れてしまう。
「今日は紅だけに致しませんか?お蘭様の場合、変に飾り立てる必要はないと思います。そのままの姿が、きっと、一番美しい」
紅を差し終えると、スッとお蘭様が立ち上がり、部屋の奥へ姿を消していく。立ち上がった姿は意外にも背が高く、一般男性をゆうに超えている。
彼女は何かを手に持ち、戻ってきたようだ。その中のものを開くと、それを指ですくい……
「お蘭様……?な、何でしょうか……。って、痛~!!」
私の鼻頭に塗りだした。
「傷薬でしたか……」
それにしても……やっぱり、鼻頭擦りむいていたのか……。
こんなお間抜けな容姿じゃ、そりゃ女中頭さんも心配するよね。(けど、転んだ原因の半分は女中頭にもあるはずだ。)
「ん~。でも、お蘭様~。この傷薬、沁みすぎじゃないですかぁ~」
私の間抜けな物言いいに、お蘭様はくくっと、声を上げずに笑う。
すると部屋の外から「お蘭様。信長様がお待ちです」と女中の声が掛かる。
声を受け、お蘭様は再び立ち上がると私の手をとり、部屋の奥へと連れていく。
「お蘭様。信長様がお待ちですよ。何処へ……」
手を引かれ、辿り着いたのは彼女の寝所。そこに、ちょこんと座らされる。
「ここで待ってろ、ってことでしょうか?」
彼女はコクンと頷くと、そのまま自室を後にしていく。
布団はとても滑らかで暖かく、彼女の匂いが残されている。
ここで、寝るのは……ちょっと無理そうだった。
ど、どうしよう~。
とりあえず、自分の職務を全うしなければ!鏡台の傍に置かれた化粧箱を見つけたので、ゆっくりと蓋を開ける。
「お蘭様、では、始めにお化粧を致しましょう。どんな感じに仕上げますか?」
鏡台の前に化粧道具を広げながら尋ねるが返答はない。
「お蘭様……?」
目をお蘭様に移せば、困ったように微笑んでいる。
話せない……のかしら……。
「では、私の好みで仕上げてみてもよろしいでしょうか?」
これには、コクンと軽く頷く。
「じゃあ、失礼しますよ……」
紅の入った貝殻を開き、自分の人差し指ですくい、お蘭様の唇に差していく。
「でも、お蘭様程の美しさがあれば、化粧等、不要かもしれませんね。勿論、紅を差したらより一層鮮やかにおなりですが……」
言葉を掛けるが、彼女は何も言わない。ただ、美しい顔を軽く伏せるだけ。長い睫毛に、思わず見惚れてしまう。
「今日は紅だけに致しませんか?お蘭様の場合、変に飾り立てる必要はないと思います。そのままの姿が、きっと、一番美しい」
紅を差し終えると、スッとお蘭様が立ち上がり、部屋の奥へ姿を消していく。立ち上がった姿は意外にも背が高く、一般男性をゆうに超えている。
彼女は何かを手に持ち、戻ってきたようだ。その中のものを開くと、それを指ですくい……
「お蘭様……?な、何でしょうか……。って、痛~!!」
私の鼻頭に塗りだした。
「傷薬でしたか……」
それにしても……やっぱり、鼻頭擦りむいていたのか……。
こんなお間抜けな容姿じゃ、そりゃ女中頭さんも心配するよね。(けど、転んだ原因の半分は女中頭にもあるはずだ。)
「ん~。でも、お蘭様~。この傷薬、沁みすぎじゃないですかぁ~」
私の間抜けな物言いいに、お蘭様はくくっと、声を上げずに笑う。
すると部屋の外から「お蘭様。信長様がお待ちです」と女中の声が掛かる。
声を受け、お蘭様は再び立ち上がると私の手をとり、部屋の奥へと連れていく。
「お蘭様。信長様がお待ちですよ。何処へ……」
手を引かれ、辿り着いたのは彼女の寝所。そこに、ちょこんと座らされる。
「ここで待ってろ、ってことでしょうか?」
彼女はコクンと頷くと、そのまま自室を後にしていく。
布団はとても滑らかで暖かく、彼女の匂いが残されている。
ここで、寝るのは……ちょっと無理そうだった。