3.心の距離
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夏が過ぎ秋ももう終わり。
だんだんと肌寒くなる季節。
今ではこゆん、美姫とはすっかり仲良くなってしまった。
特に同じクラスのこゆんとは一緒にいることが多くなったし、今も2人で保健室に来て体を温めながらお昼ごはんを食べている。
入学したばかりの頃は友達なんか要らないって思っていたのに。
こゆんと美姫の隣にいると落ち着くし、安心する。
あの時、こゆんが話しかけてくれてほんとに良かったと思う。
こゆんは女王。
美姫は女神。
そして私は天使…と噂されているのをこの間聞いてしまった。
変なあだ名を勝手につけられて陰でコソコソと言われたりするのやだなぁ。
5組にいる美姫をたまに見かけるとまぁ女神って言われるのは納得だ。
本人は凄く嫌そうな顔をして、中学時代みたいにゴリラって呼んでらしいけど。
こゆんはあまり気にならないらしい。
……どちらかと言うと天使なのはこゆんだと思うんだよね。
普段からは想像できない程、優しく微笑むときがある。
そんな笑顔を見せられたら、私だって顔を赤くしちゃうくらい可愛い。
はぁ……。
保健室落ち着くなぁ。
ノリコ先生も優しくて私やこゆんの話しをよく聞いてくれる。
このまま授業をサボってずっと保健室に居たいって思ったのに……。
「ノリコ~!」
保健室のドアが急に開き男子生徒が数人入って来た。
腕を怪我したのだろう、先生に血が出ている左腕を見せる生徒。
連れ添いの生徒も何やら話し始めて賑やかになった保健室に、私達は急いで食べていた菓子パンを平らげた。
そしてこゆんの顔を見て頷くと、私達はそっと保健室から出て行った。
外の空気を吸いに校舎の周りを散歩する。
暖房が聞いた保健室から出たからなのか、時折吹く風がいつもより冷たく感じた。
「うー、寒い。」
「唯いつも薄着だよね?もっと暖かい格好しなよ。」
こゆんはブレザーの下にはカーディガンを羽織り、タイツを穿いている。
それに比べて私はブレザーの下は普通のワイシャツ、足元は靴下だ。
「だってさ、来年になったらもっと寒くなるんだよ。今からそんな暖かい格好してたら1月、2月耐えられないでしょ?」
「その時はその時!」
少し考えた後、こゆんは答える。
頬を少し膨らませているこゆんに笑みが零れた。
こゆんのこの表情が好きだ。
ハッキリとした口調も、急に優しく微笑む表情も好き。
「…あ。」
……?
こゆんが急に立ち止まり、目の前にいた男子生徒数人を見つめている。
赤いスリッパを履いているので私達と同じ学年の生徒だ。
知り合い?
大きな笑い声がここまで響いていて、こゆんにしては珍しいタイプの知り合いだと思った。
私はこゆんを見つめた後、また男子生徒達へと視線を向けた。
するとこちらを見ている茶髪の生徒が手を上げた。
「え?あ、こゆん!待ってよ。」
しかし目の前に居たこゆんはその男子生徒と目が合った瞬間、逃げるように歩いてきた道を引き返す。