8.警告
夢小説設定
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真っ暗な空間。
歩いても、走っても出口なんかなくて…
ずっと変わらない景色が広がっている。
そんなとき、どこからか声が聞こえてきて…勢いよく振り返った。
しかし暗闇が続いているだけで誰も居ない。
あれ…。
今確かに声が……。
気のせい…?
もう1度前を向いた瞬間……
風が吹き抜けた。
んんっ……!
いきなり……。
その奥が光っていて、私は目を細めながら見つめる。
誰かが立っている気配がした。
次第に目も慣れてきて、その人物の顔がはっきりと見えるようになる。
なんで。
私の前にいるの…?
"唯乃、……。"
え?
聞こえないよ。
何て言ったの?
ハル、くん…。
バッ
「……嫌な夢。」
目が覚めて体を起こす。
そういえば、今日ハル君が来てるんだっけ。
だからあんな夢、見たのだろうか…。
体調はだいぶ良くなっていて頭痛と吐き気はおさまっていた。
てか、保健室こんなに暗かったっけ?
ベッドから降りていつの間にか閉められていたカーテンをゆっくり開ける。
ノリコ先生が閉めてくれたのかな。
ん…。
眩しい。
暗いところに目が慣れてしまっていて、カーテンの隙間から漏れ出す光に目を細めた。
「……っ!」
目が明かるさに慣れたとき、次に視界に飛び込んできたのは……
ハル君だった。
窓のすぐ近くでサッカーボールとドリンクボトルを手にして、休憩しているハル君と雨宮君は笑い合っていた。
さっきの夢と同じ状況。
びっくりしてそのまま地べたに座り込み頭を抱える。
久しぶりに見た。
一瞬だったけど中学の時と全然変わっていないように感じた。
ドクドクと心臓が鳴り出し、締め付けられて痛くなる。
何の話しをしてるんだろう。
ガヤガヤと周りに居る生徒達の声で2人の会話が聞こえない。
会いたくないのに、どうしても会話が気になってしまう。
雨宮君…。
私のこと口に出してないかな?
いや、でも雨宮君のことだから……ハル君に話しを振りそうだ。
いやだ…。
知られたくない。
私に関わらないでほしい。
不安になり暫く胸をぎゅっと手で押さえていたら、いつの間にか声が聞こえなくなっていた。
立ち上がりカーテンの隙間から外の様子を窺うと、2人は近くにはもう居なくて…グランドの中心で練習試合をしていた。
その様子を少し見た後、またベッドに戻る。
あと少しの辛抱だ。
あと2時間ほど経てばハル君達は帰るだろう。
そしたら私も帰ろう……。
眠くなくなっちゃったし、それまで小説の続きを読もうと鞄から取り出し、ベッドへと戻った。
「具合どう?」
「ノリコ先生!だいぶ良くなったよ。」
保健室に入って来たノリコ先生はカーテン越しに声をかけてきた。
私の返事を聞いて安心したのか、カーテンを開ける先生。
「小説……?もう、ちゃんと休まなきゃ駄目でしょ。」
「んー、だって外が騒がしくなって目覚めちゃったんだもん。」
手にしていた小説本を見て先生はため息をつく。
優しく怒る声、明日の授業は大丈夫そう?と心配する声が胸に響いた。
「部活をしていた生徒達も帰ったし、上城も早く帰らないと暗くなるよ。どうする?親に迎えに来てもらう?」
「体調はもう大丈夫だからそのまま帰るよ。」
ハル君が帰ったことも分かったし、安心して帰れる。
鞄に本を入れ、制服のスカートのシワを整えてから保健室を出た。
「じゃあね、ノリコ先生。また明日。」
「また明日。試験勉強で疲れたのよ、今日は早く寝なさいね。」
はーい、と返事をして歩き出す。