8.警告
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「唯ちゃんってここ来たことある?」
「初めて来た。放課後あまり寄り道しないから。」
こゆんと一緒に帰ることがほとんどだが、寄り道は基本しない。
たまにこゆんの団地の前で喋ったりすることはあるけど……。
あとは美姫を含めた3人のときはゲーセンに寄ったりする。
「……。」
「……?」
そう答えた後、暫く沈黙が続く。
横から圧力を感じ、美姫へと視線を向ければ雨宮君を指さしながら何かを伝えていた。
「わぁ、違うって…。バイトはしてるの?」
「バイトはしてない。」
「家着いたら何してんのー?」
家に着いたら……。
何もしてない、よね?
本を読む、スマホゲームをするくらいだ。
「…特に何も。寝るのも早いし。」
「えー、そうなの?勿体ない。何時に寝てる?」
「用事が無ければ時には10時にはベッドに入るよ。最近は試験勉強してたからそんなに早く寝てないけど。」
「そうなんだ!寝るの早いねー。休みの日もそんな感じ?」
「…唯は私とこゆんと遊んだりで忙しーの!」
質問に答えるとまた質問される。
永遠に質問されるんじゃないかと、どんどん不安な気持ちになる。
どう返せば納得するのか。
どう言えば否定されないのか。
そんな事ばかりが頭をよぎる。
痺れを切らした美姫が雨宮君を睨みながら助け船を出してくれた。
その後も小さい声で雨宮君へと何やら話しかけている美姫。
このやり取りだけ見れば、やはり美姫は雨宮君のことが好きなのかと勘違いしそうになる。
美姫にははっきり否定されたから、私を助けてくれているだけだと思うけど……。
そしてその後。
注文した料理が運ばれてきたので平らげる。
入り口付近のソファには空くのを待っている人達が座っていたので、私達はそのまま席を立ち会計をしてファミレスを後にした。
ヨータ、雨宮君と別れて4人で駅へ向かう。
その途中で美姫から甘いものを食べに行こうと誘われたので、駅の近くにあるパフェが美味しいカフェに入る。
俊也君は今日もバイトがあるみたいなので、1人で駅へと歩いて行った。
「そう言えば、北村君ってあまり喋らないイメージだったけど…こゆんとは何気に絡みあるよね?さっきも何か話してたし……。」
「あ、うん。唯が質問攻めされてるときに……。北村君はバイトのシフト結構入れてるって言ってたよ。私もシフトは少ないけどバイトしてるって話しをした。」
「全然気が付かなかった!通学するだけでもお金がかかると思うから、バイト頑張ってるのかも。最近はあまり人と話さなくなったから心配してたんだけど、こゆんとは仲良くしてるみたいで良かった。」
「そーなの?バイトの話しをしただけだけどね。」
「確かにねー。たまに他の男子と一緒に居るところ見かけるけど…だいたいはヨータとミナトと一緒にいるよね。」
「中学の時はそんなこと無かったんだけどね。ハル君と仲良かったし、俊也君も私のことで色々と感じることがあったのかも。」
「あー、元彼か。」
ハル君の話題になると2人は顔を曇らせた。
「ねぇ、そいつ1回ぶん殴ろうよ。」
そんな事を言う美姫に同意するように頷くこゆん。
ハル君と別れた経緯を美姫にも話したことがある。
その時、美姫も凄く怒ってくれた。
それだけで心が軽くなって、ちゃんと話しを聞いてもらえるってこんなに嬉しんだって思った。
「こゆんまで…。ハル君とはもう会いたくないし、2人を会わせたくないよ。」
もめるのも嫌だし。
それに…。
明日の午後、ハル君が明天に来るなんて知ったら待ち伏せして本当に殴ってしまうんじゃないかと心配になる。