7.わだかまり
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ガラッ
そんな事を言い合っていたら、教室のドアが音を立てながら開いた。
「ごめん、おまたせ~!」
いつも通りの笑顔で戻ってきたと思ったのに。
近づいていた美姫の顔を見てみんな固まる。
…!
目が少し腫れてる?
赤くなった目元。
泣いたのは明らかだった。
だけど誰も理由を聞けずにいた。
美姫は椅子に座ると手にしていた紙パックを俊也君、こゆん、ヨータに手渡している。
「はい、唯ちゃん。」
「…うん、ありがとう。」
正面に座った雨宮君から紅茶を受け取る。
雨宮君はいつも通り…だよね?
え、どうしよう……。
私のせい?
その後勉強会を再開したが、美姫のことが気になって全然集中出来なかった。
俊也君はバイトがあるとのことで、先に駆け足で帰って行った。
それに続くよう私達も片付けをはじめた。
ヨータ、雨宮君と校門前で別れて駅まで歩く。
話しかけても、どこか元気がなさそうな美姫に不安が押し寄せた。
電車に乗り込み3人で座る。
周りに人はほとんど居なかったので、ここで切り出すしかない…と、ちらっと美姫の様子を窺う。
しかし、真ん中に座っていたこゆんが先に口を開いた。
「飲み物買いに行ったとき、雨宮君と何かあった?」
「あー、えっと…。」
美姫は気まずそうにこゆんから顔を逸らしている。
「こゆんがカレードリンク買った話しとかしてた。…間違えて買わせちゃったからって2人の分、ミナトが払ってくれたよ。」
「えっ!意外と美味しかったし、気にしないでいいのに……。」
美味しかったんだ。
てか、こゆんの分を払うのは分かるけど、なんで私の分まで…?
「美姫、あのさ……。」
疑問は残ったが、このままだと話しが終わってしまいそうだったので、今度は私が美姫に問いかけた。
「今までごめん、ね…。」
「え?唯…?」
「私、美姫が雨宮君のこと好きなの全然気づかなくて……。嫌だったよね、これからは…。」
「ちょっと待って!好きってなんで??」
私の言葉を最後まで聞かずに、美姫は慌てた様子でぐいっと体をこちらに向けた。
「雨宮君のこと好きでしょ?だから私が雨宮君と2人で勉強してた時も、嫌な顔したんだよね……?」
「ち、違うよ!?やめてよー、好きじゃないし!」
「「え?」」
好きじゃないの?
じゃあ、なんで……。
「私も美姫は雨宮君が好きなのかと……。」
「こゆんまで~!そんなに私、嫌な態度出てた?」
「「うん。」」
こゆんと2人で頷くと、美姫はため息をつく。
「なんで泣いたの?」
好きじゃないならどうして?
嫌なことされた?言われたの?
どうしても気になってしまう。
こゆんと同じくらい、美姫のことも大切だから。
「んー、唯のことは全然関係ないよ。ただ、中学の時塾でミナトと初めて会ったときのことを思い出してさ…。その時のモヤモヤ?を全部ぶちまけちゃった。」
「そうなんだ。」
「もう和解したから安心して!これからもよろしく~って言ってきたから!!」
「…なら、いいんだけど。」
塾で何かあったのかな。
でももう過去のことだし……。
言いたくないことを無理に聞くのはやめよう。
「じゃあ…唯、気を付けてね。」
「なんか心配かけてごめん!もう大丈夫だから!」
「うん。また明日ね!」
電車から降り、2人に別れを告げる。
美姫が大丈夫ならいっか……。
でも雨宮君とは少し距離をおきたい。
質問ばかりで疲れるし……。
それに……。
ハル君のこと、中学でのことがいつかバレるかもしれない。
そうなった時、私はどうしたらいいんだろう。
だからなるべくは関わらないようにしたい。
まぁ、試験が終われば関わることも減るだろうと、この時は簡単に思っていた。