7.わだかまり
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「連絡先教えて♪」
ぐいっと顔を近づけてくる雨宮君。
これは逃げられそうにない……。
「……。」
「…ありがと~!じゃあ、また放課後♪」
連絡先を教えたら満足したのか笑顔で去って行った雨宮君。
はぁ……。
しんどかった。
ドクドクと鳴っている胸へと手を当てて呼吸を整える。
共通の話題がある訳でも無い。
私の反応だって、雨宮君からしたら素っ気なく感じてると思うのに。
それでも、何回も…ずっと笑顔で話しかけてくる雨宮君。
どうしてそんなに私の事を気にかけてるのかな。
あ、やばい。
時間だ。
手にしていたスマホを確認すると、いつもの時間になってしまっていたので駆け足で教室へと向かった。
そして放課後。
雨宮君が持ってきたテスト範囲の過去の問題。
その紙を昨日と同じメンバーで囲みながら確認する。
朝、先輩に去年の問題のコピーを貰ったとか雨宮君言ってたような。
スルーしてたからあまり覚えてないけど。
今日は左隣りにヨータが座り、その奥には俊也君。
私の正面には雨宮君がいて、その隣に美姫、こゆんが座っている。
「ミナト…!神!!コレでもう暗記教科は"勝ち"だわ。」
「安心出来る立場じゃないだろ。油断すな。」
過去問を手にして微笑む美姫に、雨宮君はスパッと言い放つ。
2人のやりとりを嬉しそうに見ているヨータ。
そんな彼を見ていたらそういえばと思い出したので、ヨータの左腕を軽く掴む。
「あ、ヨータこの間のチョコありがとう!すごく美味しかった。」
「でしょ~、あれ好きなんだよ。」
ニッと笑ったヨータに私も笑顔を向ける。
「……。チョコ?」
雨宮君が右手を頬に当てて、首を傾げながら私を見つめる。
「この前、廊下でたまたますれ違って…持ってたチョコをおすそ分けして貰ったんだ。」
「へー、そうなんだ。」
その問いに答えると、少しだけ目を細めた雨宮君。
雨宮君からの視線にどきりと鼓動が鳴る。
「なので今日は私のおすすめのチョコを持ってきたよ。」
逃げるように立ち上がると、鞄からチョコを取り出す。
それぞれの机に配り、椅子に座り直した瞬間……。
「……唯ちゃんってさー、彼氏いる?」
またこちらを見ていた雨宮君と目が合った。
え……?
今、そんな事聞く…?
「いない、けど…?」
「そっか♪」
私の答えを聞くと、いつもより声のトーンを高くして満足そうに笑う雨宮君。
何がしたいの?
反応に困っていたら、横から伸びてきた腕。
「唯を狙うのはやめてね。」
私を守るように広げられたヨータの大きい手のひら。
「……ダメですか、お父さん。」
「娘はやらん。」
なんだ。
冗談ノリだった……。
「これは聞き流していいやつだよね?」
「そ♪唯、覚えてきたね。」
そう呟けばヨータは微笑む。
ただ、雨宮君は少し不機嫌そうな表情に変わっていた。
てか、こんなこと……話してたら……。
雨宮君の隣に座る美姫へと視線を移す。
やっぱり…!
美姫から発せられている黒いオーラ。
ど、どうしよ……。
美姫、ごめん。
雨宮君となるべく関わらないようにするから、そんな顔しないで。
「………。私、飲み物買ってきま~す。」
え?
急に立ち上がった美姫はみんなにそう伝える。
「ちょっと自販機行ってくる。こゆんと唯、ヨータと北村君の分も買ってくるね~!」
「いや、俺は?」
「ミナトの分は自分で。」
「オイ。」
雨宮君が悲しそうにツッコミを入れる。
いつもの美姫に戻ったと思ったけど……
何か変だ。
雨宮君の腕をそっと掴む美姫。
「だから、ミナトも来て。」
何かを感じ取ったのか、雨宮君は文句を言いつつも立ち上がる。
そして2人は教室から出て行った。
……。
なんか、やばいことになっちゃった?