7.わだかまり
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次の日。
いつもより少し早い電車に乗った。
昨日の夜、寝る前に復習していたところが分からなくて、こゆんに朝聞いておきたかったからだ。
でも電車から降りたら同じ制服を着た生徒が思ったよりも歩いていたのでため息が出た。
やっぱりいつも通りぎりぎりの電車にすれば良かった。
「唯ちゃん!おはよー。いつもこの時間?」
声をかけられるとは思わなくて、ビクッと身体を震わせる。
後ろを振り向けば雨宮君が駆け寄って来て、私の隣に並んだ。
「おは、よう…。」
「俺、今日早く来過ぎたかな~とか思ってたんだけど。唯ちゃん、偉いね。」
「いや…。私もいつもはもっと遅いよ。」
「そうなんだ!でも今まで見かけたことないかも……。」
「結構ぎりぎりに来てるから、周りに生徒ほとんどいないし…。」
「そっか!じゃあ、俺もたまにはもっと遅くしてみようかな。」
え?
なんで…?
反応に困り、返事をせずに黙っていたら雨宮君も無言になってしまった。
ほら、雨宮君が話しかけてくれないと会話なんて続かないのに。
わざわざ同じタイミングで登校する理由が見つからない。
「あ、唯ちゃんってさー、原田くんって知ってる?」
……。
え?
今原田って言った?
一瞬でこの場の空気が凍りついた気がした。
原田なんて在り来たりな名字だけど。
星流の同級生って言ったらハル君しか思い浮かばない。
「……なんで?知り合い?」
まさか俊也君以外からハル君の話題を振られるとは思ってもみなかった。
息を呑み、そうゆっくりと口を開いた。
「俺、サッカー部なんだけど。うちのサッカー部、せいりゅーや他の学校ともよく合同練習するんだけどその時知り合って…。唯ちゃん、仲良かった?」
雨宮君サッカー部なんだ。
俊也君、教えてくれたら良かったのに。
もっと早く知りたかった…。
「唯ちゃん?」
「…同じクラスだったから知ってる。でも、そんなに接点は無かった、かな……。」
殴られたみたいに頭がズキンと痛む。
何も考えられなくて、嘘を言ってしまった。
「そっか。じゃあ今度、せいりゅーが明天に来るけど…。」
「えっ!?いつ?」
明天に来る?
いやいやいや…。
無理。
一気に吐き気が押し寄せた。
「試験最終日の午後の部活。」
そう、なんだ…。
その日は早く帰ろう。
いや、むしろ部活が終わるまで教室に残ってた方が鉢合わせる心配は無い?
どうしよう。
俊也君に相談する?
でもまた余計な心配かけちゃうし……。
試験最終日までまだ少し時間がある。
ゆっくり、落ち着いて考えよう。
ふぅっと小さく深呼吸する。
校門を抜け校舎に入る。
雨宮君が何か話しているが、全然頭に入ってこない。
適当に相槌を打ちながら自分の赤いスリッパを取り出し、靴を履き替える。
「じゃぁ…。」
「そうだ…!」
このまま教室へ行くと厄介な女子生徒達に目を付けられそうなので、距離をあけてから教室へ行こうと雨宮君に別れを告げる。
しかし、スリッパに履き替えた雨宮君は何かを思い出したようにこっちに近づいて来た。