1.無色
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私らしいってなんだろう?
常に笑顔でいること?
その場に合わせて空気をよむこと?
まるで色を失ったみたいに全てが淀んでいるみたいだった。
そんな世界で時間だけが過ぎていく。
高校生活もきっと同じなんだろうな、なんてこの時は思っていた。
-灰色の天使-
「大丈夫……?」
降りしきる雨。
校門から出た先の横断歩道の手前を傘も差さずにぼうっと立っていたら、
後ろから声をかけられた。
振り向けば心配そうにこちらを見つめるクラスメイトが立っていた。
この人、知ってる。
氷川さんだ。
クールで……。
クラスの人達と話しているところは見たこと無くて……。
いつも1人で教室にいて……。
自分みたいな子だなって気になっていた人。
高校へ入学して2ヵ月が過ぎた。
もうすぐ梅雨の季節。
今日は強い雨が降っていて、私を濡らしていた。
制服も体もびしょ濡れだ。
ただ不思議と不快感は無かった。
心地良いとすら思えてくる。
「……大丈夫。」
「傘、良かったら使って。」
そう言って差していた傘を私に差し出す氷川さん。
「でも……。」
「折りたたみ傘あるから大丈夫。……じゃぁ……。」
私の腕を掴み傘を握らせると氷川さんは鞄から小さい水色の傘を出して、逃げるように私の前から姿を消した。
似てる。と思ったのは勘違いだったようだ。
こんな優しさ、私には無い。
大切な人に裏切られて。
どうしたらいいのか分からなくなって。
泣き疲れてしまって。
私の世界はその時から止まってしまった。