6.矢印
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中学時代。
ハル君と別れてから数日後。
まだ実感がわかなくて、これからハル君と花凜にどう接していいか分からなくて。
ずっと暗い表情もまま過ごしていた。
学校でもクラスメイトとはほとんど話さない。
そんな私を心配したのか、俊也君は学校での帰り道で…
広場のある公園で話しを聞いてくれた。
夕方で、周りに人影は無かった。
誰かに聞かれる心配も無かったので、俊也君に別れた経緯を話す。
「…それ、マジな話しなのか?」
「うん。」
泣きながらそう呟く。
俊也君も暫くは無言のままだった。
「ハル君の友達なのに…こんなこと言ってごめん。でも、もう耐えられない。仲良さそうにしてる2人を見るの辛いの。」
「……唯乃。」
立ったまま私を引き寄せ、軽く抱きしめてくれた。
その暖かさにどんどん涙が溢れてきた。
「私、何かしたかな?私がいけなかったの?…なんでこんな事になっちゃったんだろう。」
ただハル君の事が好きだっただけ。
これからもずっと一緒にいたかっただけなのに。
全部無くなっちゃった。
「唯乃は何も悪くない。……アイツ、何考えてんだ。」
「…わた、し……これからどう、すれば…いい、の?」
「大丈夫。俺が一緒にいるから。俺は絶対裏切らない。」
「一緒に?」
「…あぁ。唯乃が忘れられるまで、傍にいる。」
その言葉に安心した。
1人ぼっちになっちゃって凄く不安だったから。
俊也君がそう言ってくれてほんとに嬉しかった。
「ありが、とう。…ありがとう、俊也、くん……。」
暫くすると、溢れていた涙は止まり冷静になる。
え、そういえば今…俊也君に……。
抱きしめられてる…?
意識もはっきりして、この状況に体が熱くなる。
軽く押して俊也君から離れて距離をとる。
「えっと、俊也君ごめんっ!」
「俺は別にいいけど。」
「色々ありがとね。嘘でも嬉しかったよ!」
「………。」
少し気まずくて、そのままじゃあまた学校で!と手を振り歩き出した。
後ろから視線を感じたが、今は何も考えずに家へと向かう。
そして次の日からも俊也君は優しかった。
学校でも基本1人で過ごしていたが、必要な時は私を気にして話しかけてくれる。
その距離感が丁度良かった。
これが中学時代の俊也君との約束。
って言っても冗談というか…励ますために言ってくれた言葉だと思っていたから…。
今でも気にしてくれているのなら、申し訳ない事をしたと思う。
「あの言葉、もう気にしなくていいよ。高校生活にもだいぶ慣れたし。」
「……。そう、だな。」
電車が来たので乗り込み、空いていた座席に並んで座る。
「あの2人と関わらない方がいいって言ったけど。あれ、撤回する。」
「え?どうしたの、急に……。」
「意外と馴染んでるなって思って……。」
「一緒に勉強したりしてたから…かな…。」
急に話しかけられたりすると驚いたり、困惑することもまだあるけど。
最初に会った時よりは警戒心も薄らいだ気がする。
「悪い奴らじゃないんだ……。それは分かってるんだけど……。」
うん。
ちゃんと分かってるよ。
「心配してくれてありがとう。」
降りる駅に近づいたので、立ち上がりお礼を伝える。
「送ろうか?」
「ううん。駅からそんなに歩かないし、大丈夫。」
電車が止まりドアが開いたので歩き出す。
外から手を振り、俊也君を見送る。
勉強してた時よりも、俊也君の顔つきが柔らかくなっていたような気がして安心した。