5.思考
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それから世界史も復習したところで、18時前になる。
そろそろ帰らないと…。
試験前という事もあり、いつもより早く部活を終えた生徒達が帰り支度を始めたようで、がやがやと廊下が騒がしくなってきた。
「校舎閉まっちゃう前に帰ります、ね。」
「そうだね。上城さん電車?駅まで送るよ。」
「いや、悪いので……。」
「えー、遠慮しないで。もう暗いしさ。」
「この後こゆんと美姫と合流するから、大丈夫です。」
「美姫とも友達なんだ、なら安心だね。……じゃあ、お願い聞いてよ。」
お願い…?
左肘を机につき、体を私の方へ向け微笑みながら見つめてくる雨宮君。
「名前、呼んでいい?」
「名前……?」
「唯ちゃん。」
「は、はい…?」
息を呑みながら彼を見上げる。
「ヨータも名前で呼ぶでしょ?仲良いの羨ましいなーって!」
「お好きにどうぞ。」
「唯ちゃんも、俺の事名前で呼んでいいよ?」
断るのも面倒だし、名前くらい…。
そう思いOKしたら、まさかのこっちも名前呼び。
うーん、それはちょっと…。
俊也君に聞かれたらまた文句言われそうだし。
「………。」
「ははっ、ごめん。…もう少し"仲良く"なってからでいいや。」
「はぁ……。」
もしかして揶揄われた?
これ以上仲良くなるのは…色々とややこしくなるのは勘弁してほしい。
「せめて敬語はやめない?」
「…う、分かった。」
敬語くらいならいいか。と思い頷く。
その返事に雨宮君は満足したのか、席から立ち上がる。
その後教室の電気を消し、校舎を出るまで一緒に歩く。
じゃあまたねー。とあっさり帰って行った雨宮君を見て深くため息をついた。
彼が見えなくなると、そのまましゃがみ込んだ。
しんどかった。
ばくばくと音を鳴らす胸を手で抑える。
悪い人じゃない、そう思っていても身構えてしまい気を許せない状況に疲れてしまった。
今日はもう帰ろうかな。
それで早く寝よう……。
あ、そういえばスマホ見てなかった。
勉強中スマホ開いて無かったなと思い、鞄からスマホを取り出す。
やっぱり。
数分前にこゆんから連絡がきていてメッセージを確認する。
自習室混んできたから今日は早めに切り上げたよ。
今どこ?
そうだったんだ。
私も今から帰るとこだよ、っとメッセージを送ると直ぐに返信がきた。
駅で待ってるとのことだったので私は立ち上がると駆け足で駅へと向かった。
「こゆん~っ!」
ぎゅ……
駅の前に立っていたこゆんと美姫の姿を見つけて、走り出す。
その勢いのままこゆんへと抱きつく。