5.思考
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試験勉強するために階段を登り2組の教室へと戻ってきた。
中に入ると生徒がまだ数人残っていた。
帰り支度をしてる人、机に座り勉強してる人がいるだけの静かな空間。
これなら私も勉強していける、な……。
自分の席へと座り、鞄と机の中から教科書を出す。
今日は最初に英語をやろうかな。
で最後に昨日教わった数学の復習をしよう。
そう思いながら筆記用具も取り出し、ノートに書き込みをはじめる。
1時間ほど経過すると教室に残っていた生徒は全員居なくなっていた。
誰も居ない教室。
って静かでいいかも。
こゆんも朝はこんな気分なのかな。
私もたまには早く学校に来てみよう。
窓際に行き、窓の扉を少し開けて外の空気を入れる。
寒いけど、心地良い風が吹き抜ける。
「あれ、上城さんっ!」
えっ!
空けた窓から外を眺めていたので、急に後ろから声をかけられて肩が大きく跳ねる。
驚きながら振り返ると雨宮君が教室へと入って来た。
うわ…。
このタイミングで、1番会いたくない人…。
って言ったら失礼だけど。
にこっと笑った雨宮君はこちらへと歩み寄る。
「あ、雨宮君……。」
「何してるのー?」
「試験勉強中。今は少し休憩してるとこ。」
「そうなんだ。いつも氷川さんと一緒にいるのに1人なんだ、珍しいね。」
「まぁ、そうですね……。」
……。
お互い無言になり重苦しい空気が漂う。
どうしよう。
ちらっと横に並ぶ雨宮君を見上げると目が合ってしまった。
「えっと…。雨宮君は帰らないんですか?」
「上城さんは?…ヨータと約束してるんじゃなかったの?」
「私はまだ…。約束というか公民館で試験勉強しようってこゆん達と話してただけで……。」
「…そっか!じゃあ俺もここで勉強しよっかなー。」
え?
ええぇぇぇぇー!?
なんで……。
こうなるの。
私の席の左隣に座る雨宮君は笑顔で教科書を広げる。
ここ教えてよ、って机を近づけてきた雨宮君にどんどん鼓動が早くなる。
どうしよ。
どうしたらいいの……?
とりあえず適当に勉強したら用事があるって逃げるしかない、か……。
雨宮君の教科書を見て問題の答えを小さい声で説明する。
説明を終えて彼の顔を見上げたら……。
「……聞いてました?」
「聞いてる、聞いてる♪」
教科書やノートでは無く、私の顔を見ながら説明を聞いていたようで…。
ちゃんと聞いていたのかと疑問に思う。
「あ、上城さん英語苦手なの?」
「…苦手。でも数学よりマシかなぁ。」
「じゃあお礼に数学教えてあげるよ。」
ちらっと私の机を見て、進んでいない英語の教科書とノートの下に置かれていた数学の教科書を笑顔で指さす雨宮君。
その笑顔がどういう意図なのか全く分からなくて、困惑しながらも英語の教科書とノートは机の中に片付けた。
そして数学の教科書を広げると、試験範囲の応用問題を説明し始める雨宮君。
ち、近い……。
さっきよりも近づいてきた雨宮君の肩が触れそうになる。
やばっ、と咄嗟に触れそうな左腕を引っ込める。
雨宮君ってさっきの問題絶対分かってたよね。
この数学の問題も結構難しいはずなのに、すらすらと解き方を教えてくれる。
私よりも勉強出来そうな雰囲気で、どうして私なんかと一緒に勉強してるんだと思った。