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つぶやき

おべんきょー(仙道夢)

2022/05/17 08:24
夢つぶやき
もしかしたら結構マズイ状況なのかもしれない。オレが思ってた以上に深刻なのかもしれない。

「ねえ彰、聞いてる?」

目の前から聞こえてきた声にオレは窓の外から、声の方へと視線をうつした。そこには明らかに眉をしかめ、不機嫌そうな顔をしている彼女の顔。オレの大事な人にこんな顔をさせているのは……オレ自身なんだよなぁ。

「あのさ、ホントにヤバいってわかってる?進級できないかもしれないんだよ?」
「あぁ。わかってるさ、だからこうやっておべんきょーを教えてもらってるんだろ?」
「……じゃあ、今ひとつでも英単語覚えた?」
「は、ははは」

こりゃ完全にバツが悪くなってるな。これもまたまたオレ自身のせいなんだけど…どうも集中ができねぇんだよな、むいてないんだよべんきょーっていうやつは。顔を下に向けると、キレイな文字で英単語がズラっとならんだノートが机の上に開かれている。これは彼女がオレ用に作ってくれたものだ。本当にありがたい。だからこそ感謝の意味を込めてオレは頑張らなければいけないんだけど。だけど今はそれよりもーーー

「部活行きてぇな」

ん?アレ?今オレ声に出した?いや、出してねぇよな。って事は今の声は……ゆっくりと顔をあげるとじぃぃっと薄目でオレを睨む彼女の顔。そう、今の声の主はこの子だ。

「そう思ってんでしょ?」
「すごいな!エスパーじゃねぇか」
「なによ、いつもは部活遅れて行ったりしてじゃん!」
「いや、わりぃわりぃ」

てっきりこのまま怒鳴られると思った。それなの聞こえてきたのは「なんで…」と小さな声だった。オレから目を背け、うつむき加減で今にも消えてしまいそうなか細い声で彼女は言葉を続ける。しっかりと耳をすまして聞かないと、聞こえなくなってしまいそうな声で。

「彰はいいの?私はヤダよ…彰と違う学年になるなんて。一緒に卒業したいのに……」

彼女の目の奥にキラキラと光るモノを発見したオレは、自分のバカさ加減に嫌になる。謝罪の言葉を発するよりも先に彼女の唇に自分の唇を重ねる。今にも頬をつたいそうだった光るソレは目の奥に引っ込んだらしく、その変わりに彼女の頬は、いや…顔全体はみるみるウチに真っ赤になっていった。

「どういうつもり?!」
「どういうって…してぇと思ったから」

まいったな。
こりゃまたまた怒らせちまったらしいーーと、思ったんだけど、彼女は口元を手で隠して「ずるい」と消えてしまいそうな声で呟いた。オレはその手をどかし、再び彼女の唇にキスをした。角度をかえ、その柔らかな感触に愛しさがどんどん溢れてくる。それに対して、拒否もせず全てを受け入れながら合間に、彼女は2度目の「ずるい」という言葉を吐いた。

おべんきょー?
このあとするさ、たぶんな。

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