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つぶやき

それさえも(流川夢)

2022/04/21 08:28
夢つぶやき
朝の駐輪場で珍しい光景を見た。驚きすぎて思わず、自分が乗ってきた自転車の鍵をかけ忘れるほど。

「流川くんおはよ」
「はよ」

これまた珍しい。
いつもなら目をしょぼしょぼさせて、絞り出すような声で「……おう」って言ったり、声も出さずにコクンと頷くだけの日もあるのに。そんな流川くんがハッキリと朝の挨拶をするなんて…。今日は雨?はたまた雪でも降る?今は4月だけど。
2年生に進級してマサカの先輩自覚がでてきた?いや、流川くんに限ってそんな事はないよね。


「なに珍しそーな顔してんだ?」

乗ってきた自転車を、まだスカスカに空いている駐輪場へ停めると、流川くんは私の顔を覗き込んで言った。

「だって流川くんが朝からこんなに意識ハッキリしてるだなんて…」
「なんか目が覚めた」
「極端すぎない?まだ8時前だよ?」

私はクスクスと笑いながら、先程かけ忘れていた自分の自転車の鍵をかける。なんにせよ朝イチで大好きな人に会えたことはハッピーだ。鍵をかけ終えた私は顔が緩みっぱなしのまま、流川くんの隣に並び駐輪場から歩き始めようとしたその時、彼はじっと私の顔を何も言わずに見つめてきた。

「え、な…なに?なんかついる?」
「ついてる」
「え?!」

そう言われ、私はペタペタ自分の顔を触る。冬の風にあたったせいか、頬を冷たくなっている。条件反射的に触ったけど、鏡で見ないとわかんないよね…そう思った私はカバンの中にあるポーチから鏡を取り出そうとカバンのチャックを開けた時「おい」と頭上から声が聞こえてきて、顔をあげる。そこには想像よりもはるか近くに、流川くんの顔が目の前にあった。前髪が触れ合ってしまいそうなほど。

「クマ」
「へ?」
「ついてんのは、クマだ」

く……ま?あぁ!目の下にクマができてるってことね!え、恥ずかしい!!思わず私は両手で自分の目を塞いだ。確かに昨日は寝るのが遅くなってしまって寝不足なんだよね。こんな顔見られたくなかったなぁ…というよりも

「よく気付いたね」

そっと目を覆っていた手を離し、流川くんへと問いかけたその瞬間…私の目の前は暗くなり、唇に柔らかな感触を感じた。幾度となく触れ合った事のあるソレは流川くんの唇だ。イコール、私はたった今彼にキスをされた事になる。

「?!る、流川くん?!」
「どーした」
「どーしたじゃなくて、ここ学校です!」
「んなもん知ってらー」

だからどうしたと言わんばかりの顔に、なぜか私がおかしな事を言っているような雰囲気に持っていかれている。その証拠に流川くんの顔が再び私の目の前まで近づいてきているのだから。そしてソレに抗う事ができない私は全てを彼に支配されている証拠。

でもそれさえも心地よいーーーー。

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