つぶやき
3月3日(花道夢)
2022/03/03 22:33夢つぶやき
今日は3月3日ひな祭り、通称女の子の日。と言っても高2にもなるときっとお家で盛大にお祝いなんてしないし大きなホールケーキも出てこないだろう。あ、それでも晩ご飯はちらし寿司な気はする。だって去年もケーキはなかったけど、ちらし寿司は出て来たもん。でもさぁ、高校卒業するまでは『女の子』って言われても良いよね。
少しずつ暖かくなってきたいつもの通学路を歩きながら、空を見上げた。真っ青な空には雲ひとつない。朝の日差しが眩しくて目を細めながら曲がり角を曲がると、これから真上に向かってのぼってくる太陽よりも真っ赤な『赤色』が目に入ってきた。
「花道くん?!」
「おはようございます!!」
少し先の道に立っていたのは数ヶ月前から私の彼氏になった、花道くんだった。赤色は彼のトレードマークでもある髪の毛の色だ。花道くんの家は私の家の方向とは反対のため、今この場所にいる事に驚きを隠せない。わざわざ来てくれたって事だよね?
「どうしたの?」
「今日は女性を大事にしなければいけない日だと洋平から聞いたので、この天才が〇〇さんの通学を守りに来ました!」
洋平とは花道くんの親友でクラスメイトでもある水戸くんの事だ。通学を守るって?どういう事?でも、こうして一緒に登校できるのは超嬉しいから、水戸くん、グッジョブです!
「ふふふ、じゃあ今日は大事に扱ってもらおうかな」
「今日だけじゃないっす!」
花道くんはぎゅっと私の両手を大きな手で包み込んだ。その手はとても暖かく…ううん、熱いと感じるほどに熱を持っている。
「ずっと、ずっと大事にします!!」
自身の髪の色のように真っ赤にした顔で、痛いほどに熱い視線をぶつけてくる花道くんに私は目をパチパチさせる事しかできないでいた。もちろん嬉しいっていうのが1番率直な感想なんだけど、それ以上に彼の想いに感動すら覚えてしまい、なんだか言葉を発すると泣いてしまいそうになってしまったから。
「あ、あの…それで」
花道くんは1度私の手を離し、自分の手首にぶら下がっているコンビニの袋に手を入れ、何かを私に差し出した。さっき私の手を握ってくれた時にカサカサと揺れていたので、この袋の存在には気付いていた。そしてその中身というのが……
「あんまん?」
「はい!さっきそこのコンビニで買いました!」
私の手の上に置かれたソレはまだ少しだけ暖かかった。あんまんから視線を花道くんへとうつすと、彼は満足そうな顔で私を見ている。……朝ご飯食べたばっかりでお腹いっぱいなんだけどな。でもキラキラと目を輝かせている花道くんに、その事実を言うにはあまりにも酷だ。そこで私はパカッとあんまんを真ん中から割った。思いのほかキレイに割れたソレを花道くんへと渡す。
「半分こね」
「え?!でもっ…」
「私からのプレゼント、受け取ってくれないの?」
「あ、ありがとうございます!」
そう言うと一気にあんまんへとかぶりつく花道くん。あっという間に全て口の中へと消えていった。それは数秒の出来事で、私は食べようと思っていたあんまんを食べもせず、口をあんぐりと開けたままになってしまう。
「どうかしましたか?」
不思議そうに私の顔を覗き込む花道くんにハッとして、そのままの勢いで手の中にあるあんまんに私もガブリとかぶりついた。口の中に広がるあんこの甘味に自然に「おいしい」と声が出る。すると「良かった!」と花道くんの弾んだ声が聞こえてきた。顔を見なくてもわかるほどに、嬉しそうな声だ。チラッと隣にいる彼を見上げると、やっぱりこれでもかと言うぐらい目を細め、嬉しそうな顔をしている。ホントに感情全てを顔にさらけ出す人だなぁ…。そんな花道くんにつられ、私まで顔が緩んでしまう。
「歩きながら食べてもいい?」
「もちろんです!」
「花道くんと登校できるなんて嬉しいな」
「オレも!…オレもすごく幸せです」
どちらからとも無く手を繋ぐと、花道くんはしばらく「幸せだ」と何回も心を込めて言っていた。うん、私も幸せだよ。だから、ずっとこの手を離さないでねーーーー。
少しずつ暖かくなってきたいつもの通学路を歩きながら、空を見上げた。真っ青な空には雲ひとつない。朝の日差しが眩しくて目を細めながら曲がり角を曲がると、これから真上に向かってのぼってくる太陽よりも真っ赤な『赤色』が目に入ってきた。
「花道くん?!」
「おはようございます!!」
少し先の道に立っていたのは数ヶ月前から私の彼氏になった、花道くんだった。赤色は彼のトレードマークでもある髪の毛の色だ。花道くんの家は私の家の方向とは反対のため、今この場所にいる事に驚きを隠せない。わざわざ来てくれたって事だよね?
「どうしたの?」
「今日は女性を大事にしなければいけない日だと洋平から聞いたので、この天才が〇〇さんの通学を守りに来ました!」
洋平とは花道くんの親友でクラスメイトでもある水戸くんの事だ。通学を守るって?どういう事?でも、こうして一緒に登校できるのは超嬉しいから、水戸くん、グッジョブです!
「ふふふ、じゃあ今日は大事に扱ってもらおうかな」
「今日だけじゃないっす!」
花道くんはぎゅっと私の両手を大きな手で包み込んだ。その手はとても暖かく…ううん、熱いと感じるほどに熱を持っている。
「ずっと、ずっと大事にします!!」
自身の髪の色のように真っ赤にした顔で、痛いほどに熱い視線をぶつけてくる花道くんに私は目をパチパチさせる事しかできないでいた。もちろん嬉しいっていうのが1番率直な感想なんだけど、それ以上に彼の想いに感動すら覚えてしまい、なんだか言葉を発すると泣いてしまいそうになってしまったから。
「あ、あの…それで」
花道くんは1度私の手を離し、自分の手首にぶら下がっているコンビニの袋に手を入れ、何かを私に差し出した。さっき私の手を握ってくれた時にカサカサと揺れていたので、この袋の存在には気付いていた。そしてその中身というのが……
「あんまん?」
「はい!さっきそこのコンビニで買いました!」
私の手の上に置かれたソレはまだ少しだけ暖かかった。あんまんから視線を花道くんへとうつすと、彼は満足そうな顔で私を見ている。……朝ご飯食べたばっかりでお腹いっぱいなんだけどな。でもキラキラと目を輝かせている花道くんに、その事実を言うにはあまりにも酷だ。そこで私はパカッとあんまんを真ん中から割った。思いのほかキレイに割れたソレを花道くんへと渡す。
「半分こね」
「え?!でもっ…」
「私からのプレゼント、受け取ってくれないの?」
「あ、ありがとうございます!」
そう言うと一気にあんまんへとかぶりつく花道くん。あっという間に全て口の中へと消えていった。それは数秒の出来事で、私は食べようと思っていたあんまんを食べもせず、口をあんぐりと開けたままになってしまう。
「どうかしましたか?」
不思議そうに私の顔を覗き込む花道くんにハッとして、そのままの勢いで手の中にあるあんまんに私もガブリとかぶりついた。口の中に広がるあんこの甘味に自然に「おいしい」と声が出る。すると「良かった!」と花道くんの弾んだ声が聞こえてきた。顔を見なくてもわかるほどに、嬉しそうな声だ。チラッと隣にいる彼を見上げると、やっぱりこれでもかと言うぐらい目を細め、嬉しそうな顔をしている。ホントに感情全てを顔にさらけ出す人だなぁ…。そんな花道くんにつられ、私まで顔が緩んでしまう。
「歩きながら食べてもいい?」
「もちろんです!」
「花道くんと登校できるなんて嬉しいな」
「オレも!…オレもすごく幸せです」
どちらからとも無く手を繋ぐと、花道くんはしばらく「幸せだ」と何回も心を込めて言っていた。うん、私も幸せだよ。だから、ずっとこの手を離さないでねーーーー。