つぶやき
見捨てられる不安(藤真夢)
2022/02/17 16:23夢つぶやき
見捨てるとか見捨てられるとか考えたことなんてなかったけど、今、この現状はどうしてもそんな事が頭をよぎってしまう。しかも、『見捨てられる』側で。
「か、監督?」
「監督兼キャプテンを頼まれた」
「……そ、そんな事ってあんの?すごいね」
もうさすがとしか言いようがない。私の彼氏である健司はバスケ部で、神奈川ではちょっとした…ううん、ちょっとじゃない、かなり有名なプレイヤーだ。しかも我が校、翔陽高校は神奈川でバスケをしていたら、知らない人はいないぐらいの強豪校。そんな学校の監督兼キャプテンになっただなんて、ますます遠い存在になってしまう気がした。てゆーか、『監督』ってどういう事?!同じ高校生なのに?!本当にそんなスゴい人の彼女が、どこにでもいるごくごく一般的な女子高生である私なんかでいいのだろうか……こうして隣に並んで歩いている事すら、信じられなくなるぐらいに思えてくる。
「お前さ、何考えてんだよ」
「え?」
「なーんか変な事考えてんだろ?」
「えっ…そ、そんな事は」
立ち止まり何も言わずに、眉をしかめてじっと私の目を見つめてくる健司の視線を必至に交わす。けれどこんな事をするのは逆効果で、彼の無言の圧に逆らえるわけがなかった。観念した私はポツリポツリと弱々しい声で自分の思いを告げる。
「……いや、ますます健司が遠くなっちゃうなぁ~なんて、ね!」
なるべく語尾を明るく言ったつもりだった。重い女だなんて思われたくなかったから。ただでさえ健司はこの端正な顔立ちのせいで、女の子からは超絶モテモテだし、正直不安は募るばかりで、さっきも思ったけど、私なんかが彼女でいいのかと…付き合って半年、そう思う日々なんだよね。
「オレがお前を見捨てると思うか?」
そんな言葉と共に後頭部が大きな手に包まれ、私の唇は奪われた。言葉を発した本人、健司の唇によって。突然の事で棒立ちになった私にキスの嵐が降ってくる。待ってよ、ここ道端だよ?!いくら人通りが少ない夜道とは言え、いつ誰が通ってもおかしくは無い。それなのに健司はハムっと私の下唇を自分の唇ではさむと、感触を楽しむかのように何度も角度を変え、キスをしてくる。一瞬だけ離れたその隙に私は健司の胸をバシッと叩き、大きな声を我慢して彼に怒った。
「ちょっと!!ここどこだと思ってんの?!」
「んなもん、知ったことかよ」
「はぁ?!知ったことかよって…んッ!!」
再び唇を塞がれたかと思うと、今度は口内に健司の舌が入ってきた。まるで「逃げんなよ」と言わんばかりに私の舌を追いかけてくる。気付けば街灯の下に照らされた私たちは、息遣いが荒くなるほどに、お互いを求め合っていた。唇にだけじゃなく、首筋に健司の舌が這うと思わず「んぅッッ…」と甲高い声が出てしまう。
「はっ、えっろい声…ここどこだと思ってんだよ」
ニヤリと悪い顔で口角をあげる健司は私の手首をつかみ、ズンズンと歩き出した。私の家とは反対の方向へ。
「ちょっ、どこ行くの?」
「オレの大事な彼女が自信ねーみてぇだから、たっぷり愛して自信つけさせてやんねーと」
「えっ…えっっ?!?!」
「覚悟しとけよ?」
この後私は、大好きな彼氏に溢れるほどの愛情を注がれたのでしたーーー。
「か、監督?」
「監督兼キャプテンを頼まれた」
「……そ、そんな事ってあんの?すごいね」
もうさすがとしか言いようがない。私の彼氏である健司はバスケ部で、神奈川ではちょっとした…ううん、ちょっとじゃない、かなり有名なプレイヤーだ。しかも我が校、翔陽高校は神奈川でバスケをしていたら、知らない人はいないぐらいの強豪校。そんな学校の監督兼キャプテンになっただなんて、ますます遠い存在になってしまう気がした。てゆーか、『監督』ってどういう事?!同じ高校生なのに?!本当にそんなスゴい人の彼女が、どこにでもいるごくごく一般的な女子高生である私なんかでいいのだろうか……こうして隣に並んで歩いている事すら、信じられなくなるぐらいに思えてくる。
「お前さ、何考えてんだよ」
「え?」
「なーんか変な事考えてんだろ?」
「えっ…そ、そんな事は」
立ち止まり何も言わずに、眉をしかめてじっと私の目を見つめてくる健司の視線を必至に交わす。けれどこんな事をするのは逆効果で、彼の無言の圧に逆らえるわけがなかった。観念した私はポツリポツリと弱々しい声で自分の思いを告げる。
「……いや、ますます健司が遠くなっちゃうなぁ~なんて、ね!」
なるべく語尾を明るく言ったつもりだった。重い女だなんて思われたくなかったから。ただでさえ健司はこの端正な顔立ちのせいで、女の子からは超絶モテモテだし、正直不安は募るばかりで、さっきも思ったけど、私なんかが彼女でいいのかと…付き合って半年、そう思う日々なんだよね。
「オレがお前を見捨てると思うか?」
そんな言葉と共に後頭部が大きな手に包まれ、私の唇は奪われた。言葉を発した本人、健司の唇によって。突然の事で棒立ちになった私にキスの嵐が降ってくる。待ってよ、ここ道端だよ?!いくら人通りが少ない夜道とは言え、いつ誰が通ってもおかしくは無い。それなのに健司はハムっと私の下唇を自分の唇ではさむと、感触を楽しむかのように何度も角度を変え、キスをしてくる。一瞬だけ離れたその隙に私は健司の胸をバシッと叩き、大きな声を我慢して彼に怒った。
「ちょっと!!ここどこだと思ってんの?!」
「んなもん、知ったことかよ」
「はぁ?!知ったことかよって…んッ!!」
再び唇を塞がれたかと思うと、今度は口内に健司の舌が入ってきた。まるで「逃げんなよ」と言わんばかりに私の舌を追いかけてくる。気付けば街灯の下に照らされた私たちは、息遣いが荒くなるほどに、お互いを求め合っていた。唇にだけじゃなく、首筋に健司の舌が這うと思わず「んぅッッ…」と甲高い声が出てしまう。
「はっ、えっろい声…ここどこだと思ってんだよ」
ニヤリと悪い顔で口角をあげる健司は私の手首をつかみ、ズンズンと歩き出した。私の家とは反対の方向へ。
「ちょっ、どこ行くの?」
「オレの大事な彼女が自信ねーみてぇだから、たっぷり愛して自信つけさせてやんねーと」
「えっ…えっっ?!?!」
「覚悟しとけよ?」
この後私は、大好きな彼氏に溢れるほどの愛情を注がれたのでしたーーー。