つぶやき
まぁ、いいか(流川夢)
2022/01/07 08:18夢つぶやき
バスケに関しては妥協はしねぇ。それでも少しだけ…まぁ、いいかと思えるようになったんだ。コイツがオレの中でいつの日からか大事な存在になったその時から。
「ねえ!流川くん見て」
オレの部屋の窓を指さし、首だけをこちらに向けて話す女子、コイツがオレのダイジナヒト。冬休みがあと数日で終わるという日、体育館が使えないらしく部活がなくなった。その知らせをオレはコイツに言ってはいなかったのだが、どこかからかその情報を仕入れたらしく、今こうしてオレの家に遊びに来ている。別にワザと言わなかったわけじゃない、ただ単に忘れていただけだ。それに近くの公園でバスケをしに行ったあと、コイツの家にも寄ろうと思っていたし。
それでも、どうしても何がなんでもバスケがしたい気持ちを抑えられないオレに「じゃあ行こっか」と承諾をしてくれたコイツと共に外に出ようとした矢先の事だった。
「雪降ってきたよ」
「む」
オレと比べると短くて華奢なその指が指した窓の外には、チラチラと白い雪が舞っていた。どうりでクソさみぃはずだ。これじゃバスケ行けねぇか……窓の外に釘付けになりながら立っているコイツをチラッと見ると、舞っている雪に負けず劣らずキラキラした目で外を見ていた。オレはそんなコイツの頭をクシャクシャと軽く撫でる。雪よりも輝く目がキレーだな…なんて思いながら。
「雪、好きなのか?」
「好きってゆーか、綺麗だよね。寒いのは苦手だけど」
「わかる。さみぃのはキツい」
「ふふ、一緒だね」
後ろから抱きしめるとフワリと甘く優しい香りがする。オレが落ち着く香りだ。でも少しだけ困ってる…何よりもバスケ優先で、それ以外に好きなモンも夢中になれるモンも無かったのに、つーか、バスケだけあればいいと思っていたのに。そんなオレが1丁前に『守りてぇ』とか『そばにいてぇ』とか思っちまってる。
……まぁ、いいか。
お前がそばにいてくれるなら。