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つぶやき

溶ける(藤真夢)

2021/08/07 12:27
夢つぶやき
連日のこの猛暑日についての文句は一体誰に言ったらいいの?神様に言えばいいの?言ったら少しは涼しくしてくれる?
……こんな事を思うほどだいぶ暑さにやられているのです。

「健司~、アイス食べる?」

冷凍庫を覗いたまま私はリビングにいる彼氏の健司へと声をかける。すると「いや、いらね」と声が返ってきた。どうやら彼はテレビ画面に映っているオリンピックに夢中らしい。
自分の分だけとひとつ、カップアイスを取り出して私はスプーンと一緒にそれを持ってヘナヘナと腰を曲げながらリビングへと歩く。

「あづぅぅういぃ」

テーブルにアイスを置き、そのまま床に座ってテーブルに項垂れる。そしてチラッと壁に設置されているクーラーを見た。

「なんでこんな時に壊れるかな…」

私はこれでもかというぐらい恨めしく思い、ジト目でクーラーを睨みつけた。1番活躍して欲しいこの時期に壊れてしまったクーラーを。
業者さんが修理に来てもらえるのはどうしても明日になってしまうらしい。今日の夜のことを考えると今からゾッとしてしまう。
それでも暑さはなくならないんだけど……。

「扇風機があって助かったけどな」
「そうだけどさぁ…あーーもう、暑いよぉ暑いよぉ…」
「つか、お前食わねぇの?」

ソファに座っている健司の声が頭の上から聞こえてくる。私は首をあげて「ちょっと溶かすと美味しさ倍増」と得意げに答えた。CMとかでもよくやっているように、この手のカップアイスは少しだけ溶かすとちょうどよい舌触りになって、私はそれが大好きなのだ。

「ふぅん、今ならすぐ溶けんじゃね?」
「ホントだね…ヤバいよこの暑さ。暑い暑い~~~!!!」
「うるっせぇな」
「だって暑いんだもん!!!」

私はくるりと後ろを向き、健司の膝をバシバシと叩く。健司はハーフパンツをはいているため、直接肌を叩くいい音がリビングに響いた。

「そんなに暑いなら脱げばいいじゃねぇか」
「え?」
「ほら」


健司はソファの上から腕を伸ばし、ヒョイと私を抱えて自分の太ももの上に私を座らせた。そしてスルスルと私のTシャツの中へと手を滑らせる。

「脱ぐの手伝ってやるよ」
「ちょっ…」
「どーせなら限界まで暑くなろーぜ」

そう言って私にひとつ口付けを落としかと思うと、ニヤリと口角をあげ、唇で唇をこじ開け、舌を絡め合う。こうなってはもうとめられない、健司だけじゃなくて、私も。

健司のその艶っぽい瞳に溶けそうになりながら、横目でテーブルの上に置いてあるアイスを見て(こっちも溶けちゃうんだろうな…)なんて思いながら目を閉じたーーー。








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