つぶやき
歪み (仙道夢)
2021/05/05 15:33夢つぶやき
⚠️タイトル通りちょっと歪んでます。
なんでも許せる方どうぞ。
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春一番の強い風が吹き、私の髪の毛はブワッとなびく。それを手で抑えながら下を向き、風が止むのを待つ。数秒後、風が止んだのを確認して顔をあげた。
すると私の視界に入ってきたのは、1組の男女のキスシーン。それもかなり濃厚なやつ。
場所は体育館裏、ちょうど建物と建物の間でその男女は抱き合いながら口付けを交わしている。
たまたまだった。こんな場所を昼休みに通ることなんて普段ない事で、それでも今日だけはどうしてもここを通らなければいけない用事があったのだ。偶然が偶然を呼ぶとはこの事を言うのだろう。私から見て後ろ向きになっている女の子の頭の上からからツンツン頭が見えた。
見覚えのあるその頭は、私がマネージャーをしているバスケ部の部員である仙道の頭だった。
コイツは女の子との噂が耐える事の無いヤツで、そんな噂を聞く度に私の心が痛む日があった。けれど、そんなのはとうの昔の話。もうコイツの噂話に振り回される日々は卒業した……ハズだったのに。
チクリと針が刺さったような胸の痛みに気付いてしまった私は「マズイ」と思った。
この痛みはどんどん広がる事を知っているから。ほんの数ミリの針で刺された後、グイグイと傷口が広がっていくのを知っているから。
まるで自らの手で広げていくかのように。
早くこの場から去りたい。
そう思っているのに、私の足は言うことをきかない。足の裏に接着剤を付けたかのように、地面に張り付いたままの私の足。
その時、私の身体全身に悪寒が走った。
バチりと目が合ってしまったのだ。仙道と。
そして仙道は女の子の後頭部に手を寄せたまま、空いている片方の手で人差し指を自分の口元に持っていき、「シー」と私にジェスチャーをした。
その表情は少しだけ楽しそうで、ついさっきは悪寒を感じた私の身体に今度は一気に暑い熱が走る。ーと、同時に私の足は地面から離れ、ようやく走り出すことができた。
「仙道くん?」
目の前にいる女の子は顔を上げながらオレの名前を言う。先程交わした熱い口付けの余韻のせいか彼女の瞳は潤んで、頬は薄紅色に染まっている。艶っぽい表情がたまらない。
「仙道くんの家行きたいな」
こんな嬉しい誘い、それも可愛い可愛い女の子からのお誘い……男なら断る理由なんてねぇよな。
「いいよ、このまま行こっか」
「やったぁ。2人でゆっくりしよ」
「あ、わりぃ。ゆっくりはできないんだ」
「え?!どうして?」
「部活行かなきゃ」
「え~、仙道くんって真面目なんだね」
真面目。
違うんだな、それが。
真面目じゃない、欲望なんだ。完全にオレの欲。
あの子に会いたいっていう。
さっき目が合ったあの子に。
いつからだろう、迂闊に近づけなくなったんだ。女の子にそんな感覚を覚えたのは初めてだった。
手を出したら、後に引くことができない。そう思ったんだ。
こわい?いや、そんな感情でもない。
自分でも感じたことの無い感情がオレの心の中、身体全身にまとわりついているんだ。
「ね、仙道くんのお家行ったらまたたくさんキスしてね?」
「ははは、キスだけでいいの?」
「もぉっ!仙道くんのエッチ!」
「いいよ、たくさんしよ」
いくらでもできる。
あの子以外となら。
いくらでも、何回でも、どんな事でもーーー。
なんでも許せる方どうぞ。
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春一番の強い風が吹き、私の髪の毛はブワッとなびく。それを手で抑えながら下を向き、風が止むのを待つ。数秒後、風が止んだのを確認して顔をあげた。
すると私の視界に入ってきたのは、1組の男女のキスシーン。それもかなり濃厚なやつ。
場所は体育館裏、ちょうど建物と建物の間でその男女は抱き合いながら口付けを交わしている。
たまたまだった。こんな場所を昼休みに通ることなんて普段ない事で、それでも今日だけはどうしてもここを通らなければいけない用事があったのだ。偶然が偶然を呼ぶとはこの事を言うのだろう。私から見て後ろ向きになっている女の子の頭の上からからツンツン頭が見えた。
見覚えのあるその頭は、私がマネージャーをしているバスケ部の部員である仙道の頭だった。
コイツは女の子との噂が耐える事の無いヤツで、そんな噂を聞く度に私の心が痛む日があった。けれど、そんなのはとうの昔の話。もうコイツの噂話に振り回される日々は卒業した……ハズだったのに。
チクリと針が刺さったような胸の痛みに気付いてしまった私は「マズイ」と思った。
この痛みはどんどん広がる事を知っているから。ほんの数ミリの針で刺された後、グイグイと傷口が広がっていくのを知っているから。
まるで自らの手で広げていくかのように。
早くこの場から去りたい。
そう思っているのに、私の足は言うことをきかない。足の裏に接着剤を付けたかのように、地面に張り付いたままの私の足。
その時、私の身体全身に悪寒が走った。
バチりと目が合ってしまったのだ。仙道と。
そして仙道は女の子の後頭部に手を寄せたまま、空いている片方の手で人差し指を自分の口元に持っていき、「シー」と私にジェスチャーをした。
その表情は少しだけ楽しそうで、ついさっきは悪寒を感じた私の身体に今度は一気に暑い熱が走る。ーと、同時に私の足は地面から離れ、ようやく走り出すことができた。
「仙道くん?」
目の前にいる女の子は顔を上げながらオレの名前を言う。先程交わした熱い口付けの余韻のせいか彼女の瞳は潤んで、頬は薄紅色に染まっている。艶っぽい表情がたまらない。
「仙道くんの家行きたいな」
こんな嬉しい誘い、それも可愛い可愛い女の子からのお誘い……男なら断る理由なんてねぇよな。
「いいよ、このまま行こっか」
「やったぁ。2人でゆっくりしよ」
「あ、わりぃ。ゆっくりはできないんだ」
「え?!どうして?」
「部活行かなきゃ」
「え~、仙道くんって真面目なんだね」
真面目。
違うんだな、それが。
真面目じゃない、欲望なんだ。完全にオレの欲。
あの子に会いたいっていう。
さっき目が合ったあの子に。
いつからだろう、迂闊に近づけなくなったんだ。女の子にそんな感覚を覚えたのは初めてだった。
手を出したら、後に引くことができない。そう思ったんだ。
こわい?いや、そんな感情でもない。
自分でも感じたことの無い感情がオレの心の中、身体全身にまとわりついているんだ。
「ね、仙道くんのお家行ったらまたたくさんキスしてね?」
「ははは、キスだけでいいの?」
「もぉっ!仙道くんのエッチ!」
「いいよ、たくさんしよ」
いくらでもできる。
あの子以外となら。
いくらでも、何回でも、どんな事でもーーー。