つぶやき
大掃除(三井夢)
2020/12/30 16:00夢つぶやき
1年なんてあっという間だね、そんな言葉がチラホラ聞こえ出してきた12月……気がついたら昨日で仕事納めをしていた。
時の速さに愕然としている暇はない。あと3日で今年が終わるのだ。という事は…やるべき事があるよね。
そう!大掃除!!!!
「三井さん、換気扇ありがとう」
「ったく、しゃーねぇな」
トンっと、軽快に踏み台から降りて私の頭をクシャっと雑に撫でる男性は三井寿。
高校生の時から付き合っている彼氏で付き合って10年、同棲して3年目になります。
「てか、もうそのタオル捨てたら?」
「いいんだよ!これには色々詰まってんだから」
頭に巻いていたタオルを取った三井さんはソレをフワリと私に投げつける。高校の頃から見覚えのあるタオルを受け取った私はクスリと笑みがこぼれる。
(思い入れあるんだね)
高校生の時を思い出しながら私はタオルを洗濯カゴの中へ入れるために歩き出した。ーと、その時三井さんが私に声をかける。
「リビングはオレやるから、残りのキッチンしっかり頼むな」
「了解でーす」
意外と率先して大掃除に協力してくれる三井さん。一人暮らしの時はここまでやっていなかったらしいんだけど「人と住むんだから、最低限の事はするだろ」と言って毎年頑張ってくれるのだ。
「冷蔵庫の中整理しなきゃなぁ」
一方の私はというと…実はそこまで掃除が得意ではなかった。もちろん三井さんが言うように同棲しているんだから、必要最低限な事はしているつもりだけど。大掃除は毎年始めるまで気が重くて仕方ない。その証拠に私は早速冷蔵庫の中にあったチョコレートをひとつ、口の中へと放り込んでいた。
「おい、何してんだ?」
後ろから聞こえてくる低い声に私は反射的に体をビクつかせた。そしてゆっっっくりと後ろを向く。もちろんそこには腰に両手をあてて私を睨むように見ている三井さんの姿があった。
「い、いや…その、冷蔵庫の整理を……」
「早速サボってんじゃねーか」
三井さんは指をさす。私が手に持っているチョコレートを。
「あ、はは。三井さんもどぉ?疲れた時には甘い物って言うし!」
私はヘラヘラと困ったように笑いながら三井さんへチョコレートを差し出した。
「……そうだな、オレももらうわ」
三井さんはそう言ってつかつかと歩いて私に近寄ってくる。そしてチョコレートを持っていた私の手首を掴んだかと思うと、グイッと引き寄せそのまま私の唇にキスをした。
「疲れた時は甘いもん、なんだろ?」
私の鼻を軽くつまんだ後、三井さんはキッキンからリビングへと歩いて行った。何も言えずにただ突っ立っている私を置いて。
するとリビングから声が聞こえてくる。
「お前さ、年明けたら自分も『三井』になるんだから、そろそろ呼び方変えろよな」
私に背を向けたまま言う三井さん。
不思議だな…どんな顔で言ってるのか私にはわかっちゃうんだもん。三井さん自体がわかりやすい人っていうのもあるけどね。でも、彼のことなら誰よりもわかっているつもりだ。
「そうだね、寿くん」
私のそんな言葉に「おぅ」と小さく返事をした彼は相変わらず背中を向けていたけど、今どんな顔をしているのか安易に想像がつく。そのため、私は1人で聞こえないようにクスクスと笑いながら、冷蔵庫の整理を始めるのだった。
時の速さに愕然としている暇はない。あと3日で今年が終わるのだ。という事は…やるべき事があるよね。
そう!大掃除!!!!
「三井さん、換気扇ありがとう」
「ったく、しゃーねぇな」
トンっと、軽快に踏み台から降りて私の頭をクシャっと雑に撫でる男性は三井寿。
高校生の時から付き合っている彼氏で付き合って10年、同棲して3年目になります。
「てか、もうそのタオル捨てたら?」
「いいんだよ!これには色々詰まってんだから」
頭に巻いていたタオルを取った三井さんはソレをフワリと私に投げつける。高校の頃から見覚えのあるタオルを受け取った私はクスリと笑みがこぼれる。
(思い入れあるんだね)
高校生の時を思い出しながら私はタオルを洗濯カゴの中へ入れるために歩き出した。ーと、その時三井さんが私に声をかける。
「リビングはオレやるから、残りのキッチンしっかり頼むな」
「了解でーす」
意外と率先して大掃除に協力してくれる三井さん。一人暮らしの時はここまでやっていなかったらしいんだけど「人と住むんだから、最低限の事はするだろ」と言って毎年頑張ってくれるのだ。
「冷蔵庫の中整理しなきゃなぁ」
一方の私はというと…実はそこまで掃除が得意ではなかった。もちろん三井さんが言うように同棲しているんだから、必要最低限な事はしているつもりだけど。大掃除は毎年始めるまで気が重くて仕方ない。その証拠に私は早速冷蔵庫の中にあったチョコレートをひとつ、口の中へと放り込んでいた。
「おい、何してんだ?」
後ろから聞こえてくる低い声に私は反射的に体をビクつかせた。そしてゆっっっくりと後ろを向く。もちろんそこには腰に両手をあてて私を睨むように見ている三井さんの姿があった。
「い、いや…その、冷蔵庫の整理を……」
「早速サボってんじゃねーか」
三井さんは指をさす。私が手に持っているチョコレートを。
「あ、はは。三井さんもどぉ?疲れた時には甘い物って言うし!」
私はヘラヘラと困ったように笑いながら三井さんへチョコレートを差し出した。
「……そうだな、オレももらうわ」
三井さんはそう言ってつかつかと歩いて私に近寄ってくる。そしてチョコレートを持っていた私の手首を掴んだかと思うと、グイッと引き寄せそのまま私の唇にキスをした。
「疲れた時は甘いもん、なんだろ?」
私の鼻を軽くつまんだ後、三井さんはキッキンからリビングへと歩いて行った。何も言えずにただ突っ立っている私を置いて。
するとリビングから声が聞こえてくる。
「お前さ、年明けたら自分も『三井』になるんだから、そろそろ呼び方変えろよな」
私に背を向けたまま言う三井さん。
不思議だな…どんな顔で言ってるのか私にはわかっちゃうんだもん。三井さん自体がわかりやすい人っていうのもあるけどね。でも、彼のことなら誰よりもわかっているつもりだ。
「そうだね、寿くん」
私のそんな言葉に「おぅ」と小さく返事をした彼は相変わらず背中を向けていたけど、今どんな顔をしているのか安易に想像がつく。そのため、私は1人で聞こえないようにクスクスと笑いながら、冷蔵庫の整理を始めるのだった。