‪「キレイ～」

次々に打ち上げられる光目ばゆい花火をうっとりしながら見ていると、グイグイと浴衣の袖を引っ張られた。

「なに？」

隣りにいる彰の方へと顔を向けると一瞬だけ唇が重なり合う。もちろん彰と私のだ。

「何すんのよ！こんな人混みで！」

私は小声で彰に怒った。きっとその顔は真っ赤だろう。

「誰も見てないよ。みんな見てるのは上」

そう言って彰は人差し指を空に向けた。私は思わずその指の先へと顔をあげた。
そこにはやはり、綺麗な花火が打ち上げられている。

「いや、たしかにそうだけ」

視線を空から彰へと戻した瞬間、再び彰は私にキスをした。